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2016年08月28日

仕事パフォーマンスとポジティブ心理学

ビジネスを長期的に成長させるには、人材開発と人材が健康であることが欠かせません。近年の研究では、ポジティブな感情がより強いモチベーション、仕事での充実感、ストレス対処に有効だと出ています。そこでどうしたら仕事での感情をポジティブにしたり、パフォーマンス発揮できるのか研究をベースにご紹介します。

1.強み、美徳、自己決断
仕事に集中して取り組み、内的なモチベーションがある人は、パフォーマンスも高いと報告されています。自己決断をさせるようなアプローチを取ることで、労働者は自由と自主性を持ち、仕事により集中できます。これによって自分の強みを発見したり、それを使えたりします。フロー状態をより得やすいとも言えます。


2.感情知性
感情知性とは自己や他人の中の感情を特定したり、自分の感情をコントロールする能力のことです。感情知性が高いと、自分や他人の性格を察することができ、よりよく交流することができます。また、ストレスや怒りといった非生産的な感情によく対処でき、楽観性、希望、クリエイティビティーなどといったポジティブな感情を使えるようになります。したがって、モチベーションの維持や潜在能力の発揮につながります。


3.心理的資源とポジティブな組織行動
ポジティブな組織行動に関する研究が、仕事への満足とパフォーマンスに関する4要素として挙げたのが、自己効力感、希望、楽観性、そして、レジリエンスです。これらのレベルが高いとより自信があり、ストレスや逆境をより上手に対処でき、モチベーションも高く、成長する可能性も高くなります。これらはポジティブな心理的資源だと言われています。


4.革新と変化のレベル
健康な組織文化とは、組織の価値観と、従業員の価値観が合っていることです。例えば、変化と安定の二つの極に対して、組織はどれくらい変化/安定を求めているのかを知ることは重要です。そして、労働者がどれほど変化/安定を求めているのか。ここがマッチすると労働者はよりポジティブに働き、そして、自分の役割に安定を感じます。


5.美徳のある組織
経済が苦しい状況にある時、組織は誠実、信頼、尊敬の文化を養うことが大事だと言われます。ネガティブな感情や不信のある環境では、ポジティブな感情、地震、楽観、希望、レジリエンスのある環境と比べると、生産性は下がります。


従って、組織は、チャレンジで、計測でき、個人に取って価値のある目標、そして、現実的な達成方法を設定し、障害に打ち勝つことが必要です。強みを生かし、成長をすることで、ポジティブな心理的資源が集まり、仕事への満足感やパフォーマンスを高めることができます。


参照
http://blogs.psychcentral.com/positive-psychology/2011/11/5-ways-positive-psychology-can-improve-the-workplace/
posted by ヤス at 18:46| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月23日

努力と才能。13歳時の学力がその後に影響する

いかなる分野でもベストになるには才能と努力が必要だと言われます。例えば、エリクソンらが行った実験では、練習が成果に大きく影響すると説かれています。この研究ではより練習するほど、その対象スキルが上達すると説かれています。


また、才能も必要です。メイケル、ケル、プタラズ、ベンボーら(2016)は、頭を使った仕事での長期的成功と、学力との関係を調べました。この調査ではデューク才能特定プログラムに入った、学術的な才能のある13歳の生徒が、その後どのようなキャリアを歩んだのかを見ました。このプログラムに入った生徒にはSATという数学と国語の大学入試用のテストを受けるチャンスが与えられます。ここで高得点(国語は630/800点、数学は700/800点)を取った生徒のその後を調べようというものです。

1981〜1994年にこのプログラムに入った生徒で高得点者、250人を調べました(平均年齢40歳)。ほとんどが白人かアジア人。この250人がその後、どのような学位や特許を取ったのか、どのような職業を得たのかを調べました。

37%が博士号取得、8%が終身在職権取得、39%が少なくとも1つは学術的な記事を出版、9%が特許取得、2%が本を出版していました。これらの数値は一般数値よりも高いものになりました。

またSATで数学に優れていた生徒と国語に優れていた生徒で分けると、数学に優れた生徒はその後、科学、工学、医学といった分野に進み、国語に優れた生徒は、芸術、人文科学や物を書く仕事に進んでいたそうです。


この実験において言うと、13歳時の才能は、その後に影響すると言えそうです。

参照
https://www.psychologytoday.com/blog/ulterior-motives/201608/talent-matters-excellence
posted by ヤス at 00:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月20日

自主的なチームは生産性が30〜50%高い

自主的なチーム(self-directed work team)というのがあります。これは、従来のトップが方向性を決めるのではなくて、従業員にある程度の決定権を持たせて、計画や行動を決めさせるというものです。これを導入することによって、特にアメリカでは1990年代に多くの企業が生産性を高めました。ある専門家の分析では、この仕組みによって顧客に最も近い人や、現場の人がもっと決定権を持てるからだと述べています。


ビジネス誌『ビジネス・ウィーク』によると自主的なチームは、伝統的なチームよりも、平均して30〜50%生産性が高いと報告されています。その一部が以下です。

・AT&Tでは、オペレーターのサービス度が12%向上した。
・フェデックスでは、サービスでの過失が13%削減された。
・ジョンソン&ジョンソンでは、600万ドルの在庫削減が出来た。
・シェナンドア生命保険では、年間で業務が33%増えたにもかかわらず、20万ドルの人事に関する費用を削減できた。


自主的なチームの強みは何か?500社が参加した調査によると以下が挙げられました。

・質、生産性、サービスの向上
・柔軟性の増加
・業務コストの削減
・技術変化に素早く反応できる
・業務分類のシンプル化
・従業員の価値へよりよく対応できる
・組織への従業員コミットメントの増加
・良い人材の確保



では難しい点は何か?それは、そこまで従業員がコミットをしてくれるまでに、時間がかかるということです。従業員が自己マネジメントできるようになるまでには2〜5年かかると言われています。

またそれに向けた研修も欠かせません。単に問題解決力や決断力を身につけるだけではなく、マネジメントスキルも身につけないといけません。また、他のジャンルにいるチームメンバーの仕事も知らなければなりません。従って、仕事の2割の時間をこういった研修やトレーニングに使うケースも稀ではありません。


これを導入した3Mでは以下の5つが重視されています。

・顧客が最優先だという考えを養う。
・共通のビジョン、ミッションを意識し、役割と業務規律の理解を高める。
・決断し、計画を立て、問題を解決し、ミーティングを実施するために協働する力をつける。
・求められる結果を達成するために仕事の成果を向上させるよう権限を持つ。
・改善していくためにゴール設定と問題解決をする。




自主性の力を教えてくれる試みだと思いました。

参照
http://www.qualitydigest.com/magazine/1995/nov/article/self-directed-work-teams-competitive-advantage.html
posted by ヤス at 06:19| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月11日

嘘を見分けることに関する実験

他人の嘘を見抜くことはできるのか。嘘は人間行動においてよく見られるものです。ある調査によると96%の人が少なくとも何らかの嘘をついたことを認めています。アメリカの成人1000人を対象にした調査によると60%の反応が、嘘を全くついていないと主張しています。しかし研究者の発見では半分以上の嘘は、5%の参加者によって報告されていると述べられています。


現実のところ私たちのほとんどが時おり嘘をつきます。それが人が傷つくのを防ぐための嘘だったり、また、学歴詐称などや、その他犯罪に関わる、深刻な嘘だったりします。

一方で多くの人が嘘を見抜くのが上手だと思っています。そして、そのための知恵などが言い回っています。例えば、嘘をつくとそわそわしたり、変な動きをする、質問者の目を見ない、目が泳いでいる、など。しかし研究ではこういったものに根拠はないとしています。

2006年の実験によると、参加者が、実験室という環境の中で嘘を見分ける確率が54%だったと述べています。50%がランダムな確率ですから、高い数字だとは言えません。他の研究では経験のある尋問者が参加しましたが、その数字は低いものでした。

嘘を見分けるのは非常に難しいと言えます。しかし近年の研究でいくつかの有効な嘘を見分けるためのヒントがわかってきました。

ボディランゲージがその一つです。しかしこれにも様々な噂が飛び交っています。例えば目をそらしたら嘘をついていると言われますが、1970年代から目の動きを研究しているハワード・アーリクマン(Howard Ehrlichman)は、目の動きから嘘を見分けるのは不可能だとしています。目が横に動くのは、長期記憶にアクセスしている可能性があると述べています。

近年、カリフォルニア大学ロサンゼルス校が嘘を見分けるための研究、60個を見直したところ、以下の5つが嘘を思わせるものだと報告しています。

・曖昧さ。詳細について少ししか述べない。
・答える前に質問を繰り返す。
・文章を断片的に言う。
・話したことについて聞かれたら、詳細が答えられない。
・髪の毛で遊んでいたり、指を唇に強く当てたりしている。


しかしながら大事なのは実際に訓練を積むということです。多くの人が嘘を見抜けたと勘違いしていますが、それが本当なのかどうか、フィードバックを得て、修正することが大事です。

上記のように他人を読む他に、能動的な方法もあります。より脳を使わせた方が、嘘を見分けやすくなります。例えば、話を逆向きに話してもらいます。嘘をつくこと自体が、真実を述べるよりも、脳の力を必要とするので、それを時間軸で反対向けに話させるとさらに能力が必要になります。すると、さらに嘘が見分けやすくなります。

また嘘をついている人は、他人がその話を信じているかに繊細になっているので、聞き手のリアクションに敏感です。それも考慮して話を聞くと良いでしょう。

ある実験では80人の参加者が集められ、嘘をつくグループと本当のことを言うブループに分けられました。そのうちの何人かは話を逆向きに言うように命じられました。これを55人の警官が見て、誰が嘘をついているかを当てます。結果は、逆向きに話す場合の方が、嘘を正しく見分けられたそうです。

2014年の研究では、人が腹の底で感じるような感覚、直感が最も正確だと述べられています。72人の参加者が本棚から100ドル札を盗んだ人(全員俳優)が誰かを見分けます。すべての容疑者は自分はしていないと言います。


上記の結果と同じように正しい解答率は高くありませんでした。嘘をついている人を見分ける確率は43%、真実を話す人を見分ける確率は48%でした。

面白かったのは、この時、研究者は参加者の自動的で無意識的な考えも記録しました。すると、嘘をついた人を見た時には「正直じゃない」「胡散臭い」といった言葉を使っているのに対し、本当のことを言っている人を見た時は、「正直」「妥当」といった言葉を使っていたのです。

研究者は、我々は直感的な嘘を見分ける力があるのではと述べています。では、どうして嘘を見分けるのがこうも難しいのでしょうか?研究者は、私たちの意識的な思考が正しい判断の邪魔をしているのではと述べています。直感を聞くよりも、そわそわしているとか、目を合わさないといった意識的な情報に惑わされているのでは、と言っています。

嘘ではありませんが、感情を顔の表情から見分ける方法を説いたポール・エクマンがいます。非常にためになります。一読の価値ありです。


原著


エクマンの発見をベースにしたTVドラマがこちらです。僕も全エピソード見ましたが、非常に面白かったです。


参照
http://psychology.about.com/od/socialpsychology/ss/How-to-Tell-If-Someone-Is-Lying.htm
posted by ヤス at 01:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月26日

グーグルのサーチ・インサイド・ユアセルフ

グーグルの当時、エンジニアだったチャディー・メン・タン(通称、メン)は、社員がストレスを溜めていて、仕事を楽しんでいなかったことに気づき、マインドフルネスをベースにしたコースを作ります。このコースはEQや心の健康度を高めることを目的とします。メンは大きく3つのステップにしています。



1.心を落ち着かせる

マインドフルネスの効果は近年の研究がよく報告しています。世界で最も幸せな人とされるフランス人のマシュー・リカルドもマインドフルネスについて本を書いています。マインドフルネスは不安やストレスを軽減し、これは労働者の間においても同じです。209個の研究をまとめた報告書によると、マインドフルネスは鬱、不安、ストレスに有効だと言えると記しています(一部の研究では老化を遅らせる効果があるとも)。



2.嬉しい瞬間を記録する

例えば、「好きなコーヒーを飲んで、嬉しかった」とか「欲しかった服を買った」などを書き留めることです。ネガティブなことが起きると、私たちはそれを持ち続ける傾向があります。逆にポジティブなことはすぐに手放してしまいます。なので、意識的にポジティブなことを書き留めることで、一日の終わりに、今日は良い日だったと言える可能性が高まります

ポジティブ心理学者のバーバラ・フレドリクソンによると、ポジティブ思考とネガティブ思考の比が3:1で、初めて、ネガティブに打ち勝つことができるそうです(しかしこの研究は数学的な強みがないと批判されていますが)。

2006年の研究では、ポジティブな経験を日常的に書き留めている人は、人生への満足感が高く、その効果は2週間後のフォローアップでも見られたと報告されています。



3.他人の幸せを願う

メン曰く、利他の行動が、私たちに与えることに対する喜びをもたらすと言っています。これは与えられる喜びよりも大きいと言います。フレドリクソンの瞑想では、他人に対してポジティブなことが起こるように思うことが含まれています。これを一日数分間、数週間にわたって実践した参加者は、人生により楽しさと希望を感じたと報告しています。

しかしこれらの実験はまだ試験的であり、他の幸せ要素(自主性、働く意義、人間関係、心の安定など)と比べるとまだ強める必要があります。

BBCの心理学者、トム・スタッフォードは幸せは測るのが難しい事柄だと言います。「石を足に落としたら痛いか?」というようは主観的な質問と、「タバコを吸うことは歯に悪いか?」というような客観的な質問の中間にあるからです。


今後の研究でこういった部分に焦点を当てて、探っていくと面白いでしょう。

参照
http://www.bbc.com/future/story/20141110-googles-algorithm-for-happiness
posted by ヤス at 17:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする