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2020年12月20日

同志と目標を共有することが進歩を妨げるケース

自分のゴールを他の人に伝たり、他の人のゴールを聞くことは、相互的な励ましを促し、有効だと言われています。しかし、最近のある研究で、特定の状況では、そうした行為が私たちを競争的にしてしまい、逆効果になることがあると報告されました。

似たような目標を持つ、能力的にも似た人たちが集まると、他人を競合とみなすようになり、彼らの努力を妨げたり、究極的には自分の努力も緩めようとする場合があるそうです。


今回の研究では6つの実験を行いました。最初に200人の参加者が「ワードクリエイティビティー」と言って、一連のアルファベットからできるだけたくさんの単語を考えつくゲームをします。そして参加者はパートナーがいると告げられ、彼らは少し参加者よりもうまくやっていると伝えられます。実際はパートナーはなく、架空の存在です。参加者は個人的な目標を与えられ、達成するとギフト券がもらえます。そして、参加者はパートナーの課題を難しくも易しくもできます。

たとえパートナーのパフォーマンスが自分のゴール達成とは無関係であっても、参加者はゴール達成に近づくにつれて、パートナーの課題を難しくしていきました。さらに参加者はその後、少し努力を緩めるようになりました。

その他の実験でも同じような傾向が見られました。自分のゴールに近づくにつれて、パートナーの課題を難しくし、自分の努力を緩める。この行為はパートナーが自分よりも少し先を行っている場合でも、少し後ろを行く場合でも見られました。しかし、最後に自分の努力を緩めた参加者は、パートナーの課題を難しくしたことが実際にパートナーの進歩を遅らせたと知った人たちだけでした。

つまり、パートナーを少し蹴落とすことができたら、参加者は少し気を抜く。気を抜くことは全く自分のゴール達成には役立たないにもかかわらず参加者はそのような行為を取りました。

この研究の大事なポイントは、私たちが同じような目標を持つ人と進歩を共有しながらすると競争的になってしまい、自分の目標達成から目が逸れて、他人との比較に焦点が向いてしまう。そして、他人の進歩が緩んだら、自分の進歩も緩めてしまう、ということです。


この結果はグループで何かをする際に、避けたい心理状況を報告すると同時に、自分の目標に対して自分がどれだけ進むかを常に念頭に置いておくことの大切さを教えてくれる研究だと言えます。

参照
https://digest.bps.org.uk/2019/02/26/how-competitiveness-leads-us-to-sabotage-other-peoples-personal-goals-at-the-expense-of-our-own/
posted by ヤス at 06:30| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月06日

セラピストの共感能力がクライアントの相性の基本となる

どのようなトレーニングや経験を得ても、特定の性質がなければ本当に良いセラピストにはなれないと近年の論文で報告されました。心理療法において、クライアントの抱える悩みに対してセラピストが持つ共感は必須です。


そこでこの研究では、セラピストの性質的な共感を調べました。プロのセラピストを集めて、彼らの持つ共感について調査をしました。そこで次の4つの要素を調べました。

他人の視点を理解する度合い;
想像上の物語のキャラクターに共感する度合い;
苦しんでいる人への思いやりの度合い;
他人が苦しんでいるところを見ると自分がどれだけ影響されるかという度合い。


参加したセラピストの23%が、一般データの平均以下のスコアを出し、これはつまり、「自分に夢中かつ感情コントロールがそれほど上手ではない」ことを示します。この部類のセラピストは他人の立場を理解するのが上手ではなく、他人の悩みに共感する力がそれほどなく、同じ状況に対して自分の感じたネガティブ感情を投影している可能性を示唆します。

26%のセラピスとが平均以上のスコアを出し、つまり、高い共感度を示しました。この部類のセラピストは他人の感情に没頭でき、他人の感情を察する能力に長けています。

最も多いグループのセラピスト(38%)は、クライアントに対して、適当なレベルの感情移入と彼らの視点の理解度を持っていました。

第四のグループに入るセラピスト(13%)は、「合理的な共感」をし、つまり、クライアントの悩みに対して、感情同化することなく、合理的な理解をすると出ました。

今回の研究から、セラピストの共感度や柔軟性が、クライアントのニーズと「合う」かどうかは今後調べていくべき問いだと言えます。また共感性が発揮できないセラピストに対してどう教育していくかも課題となりそうです。

参照
https://medicalxpress.com/news/2019-03-qualities-good-psychotherapist.html
posted by ヤス at 22:46| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月28日

ポジティブ心理学をストレスマネジメントに活用する

ポジティブ心理学は比較的新しい分野の心理学で、近年注目を集めてきました。この心理学は心的症状に焦点を当てるのではなく、人の幸せや心の健康に焦点を当てた心理学です。従って、強さ、美徳など、人に充実感を与える要素を考えたり、またそれによってストレスに対処しようとすることを狙いとします。



ポジティブ心理学はアブラハム・マズローら、ヒューマニスティック(人文主義的な)心理学者がその礎を作ったとされますが、より注目されるようになったのは1998年、マーティン・セグリマンがアメリカ心理学会の会長時代にこの心理学を強く推奨したことが発端だと考えられています。

セグリマンが自分の幼い娘の教育を考えたときに、ポジティブ心理学の必要性は明らかになったと言います。彼は心の問題の原因であるとか、それをどう処理すべきかはわかっていましたが、強み、レジリエンス、心の健康などをどのように養っていくかはあまりわかっていなかったのです。こうしたポジティブな分野の研究はそれまであまり進んでいなかったのです。

ポジティブ心理学では何が私たちを生き生きとさせるのかを研究します。従って、「何が幸せに影響するか?」「ポジティブな感情がもたらす健康面への効果は?」「どのような習慣や行動がレジリエンスを構築するのか?」といった質問と向き合います。

これまでわかっていることとして、怒り、不安、悲しみといったネガティブな感情は私たちの健康にも悪く影響し、ストレス反応を生み出し、慢性的なストレスとなり、それが心血管系の病気へのリスクを高める、などがあります。しかしポジティブ心理学の研究で、ポジティブな感情が、それらの身体的反応を阻止する働きがあることも報告されています。

ポジティブ心理学でストレスに対処する要素として以下のものがあります。それぞれ見ていきましょう。

感謝
自分が持っているものについて感謝をすることは、より良い満足と幸せにつながります。こうしたことは、感謝日記をつけることでも振り返ることができます。感謝の気持ちに気づくことで、自分は十分に必要なものを持っているんだという感覚や人生への満足感などを感じることができます。

楽観性
人にはそれぞれもともと悲観的なものの見方をする人や、楽観的なものの見方をする人がいますが、楽観的な見方を練習して養うことは可能です。楽観主義者は人生により多くの良いことを見つけるので、練習すべき見方だといえます。

フロー
何かに没頭して、時間も忘れているようなときは、この「フロー」状態にあると言われます。趣味に没頭するときや、何か新しいことを学ときなど、チャレンジと易しさのバランスが良いときにこの状態になります。フローがあるとその行動が楽しくなるだけではなく、習得力が高められたりします。

マインドフルネス
価値判断をせず「今」に意識を向けることだと言われます。これには少し練習が必要ですが、習得できればストレス対処、不眠、うつの再発、認知力の低下に非常に有効な手段です。

スピリチュアリティ
どのような信念であっても、スピリチュアリティは、人生の意味を強く感じさせ、苦難に対してレジリエンスをもたらします。祈りや瞑想によって、心の強さを感じたり、また同じ信念を持つグループで行動することで、ソーシャルサポートも得ることができます。

まだまだ研究が必要で、新たなコンセプトも生まれつつある分野ですが、非常に興味深いポジティブ心理学。私もいくつか研究をしましたが(例)、今後の研究が楽しみです。

参照
https://www.verywellmind.com/using-positive-psychology-for-stress-management-3144620
posted by ヤス at 18:10| Comment(0) | 心理学理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月22日

社会的比較理論:上向き比較と下向き比較

私たちは生活をする中で周りと比較をします。このことを社会的比較理論と言いますが、これについて少し考えてみましょう。

この理論は心理学者、レオン・フェスティンガーによって1954年に作られたもので、人は他人と比較することで自分を評価したいという内的な欲求があるというものです。例えば、ある高校生が高校のブラスバンド部に入ってクラリネットを習おうとしたとします。この生徒は周りと比べることで自分が上手いのか下手なのかを判断するでしょう。同じ部内でも、特にクラリネットを弾く他の生徒と比べるかもしれません。

フェスティンガーは、私たちは自分自身を評価するためのベンチマークを作るために、このような比較のプロセスに介入すると唱えました。非常に優秀な生徒と比べることもあるでしょう。すると自分がいかに下手かに気づき動機付く生徒もいるかもしれません。

このように周りと比較することで私たちは自分を評価し、行動を決めることができます。

社会的比較理論には、上向き比較下向き比較の2種類があります。

上向き比較では自分が、自分より上だと思う人たちとの比較をします。この比較は自分を高めたいという動機からすることが多いです。より上の人たちと比較することで、彼らと同じレベルになるための方法を見出そうとします。下向き比較では、自分より下だと思う人たちと比べます。こうすることで、自分についてよりよく思えたりします。

しかし比較をしすぎることで、そこに求められるレベルが高すぎて、どうしようもない状況に陥ることもあります。例えば、ダイエットをしようとマラソンを始めたとします。そして毎日練習をし、マラソンの当日がやってきました。マラソンの現地ではあなたよりアスリートとして優れた人ばかりです。ここであなたは当初設定した比較基準が高すぎたと気づきます。つまり、現実社会では、周りと比較をしないでいることも大事な時があるということです。

上向き比較では自分の改善点などを知ることができますが、同時に自信をなくしたり、不安の原因にもなりえます。下向き比較では、自分についてよりよく思うことはできますが、改善点を知るためには難しいかもしれません。日常生活の中で自分がどういった比較をしているか、気をつけてみるのも良いかもしれません。


参照
https://www.verywellmind.com/what-is-the-social-comparison-process-2795872
posted by ヤス at 23:36| Comment(0) | 心理学理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月17日

うつ病の予防に社会的なつながりが最強

マサチューセッツ総合病院の研究者が成人のうつ病を防ぐ100以上の要素を調べました。その結果、社会的なつながりがうつ病予防として最も強い要素だとわかりました。従って、孤独を感じるような行動(例:テレビ鑑賞や昼寝)を減らすことが、うつ病のリスクを下げると報告しました。


うつ病は世界的に見ても、障害をもたらす大きな理由であるにも関わらず、これまでの研究ではうつ病から守る要素についてはあまり研究されてきませんでした。そこで今回の研究では2つの段階を経て、うつ病に対する保護要素を調べました。

最初の段階では10万人以上の患者データからうつ病に関わりそうな要素(例:社交的なやりとり、メディアの利用、睡眠パターン、食事、運動、自然との触れ合い)を洗い出しました。第二の段階では、最初の段階で強い関連性があるものを絞り、その中からうつ病と因果性のありそうなものを見つけ出します。

その結果、ずば抜けてうつ病から守ってくれると出た要素が、他人とどれだけ打ち解けた話をするのか、友人や家族をどれだけ頻繁に訪れるのかなどといった「社会的なつながり、一致感」でした。反対に、うつ病に影響しそうな要素としては、「テレビ鑑賞の時間」だと出ましたが、これはメディアの影響なのか、それともテレビ鑑賞に伴う独りでいることが影響しているのか調べる必要があります。


非常にシンプルなことですが、効果は莫大ですね。非常に有意義な研究だと思います。

参照
https://medicalxpress.com/news/2020-08-social-strongest-factor-depression.html
posted by ヤス at 05:12| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする