【心の理屈メルマガ】登録はこちらから!

【TOEFL(R) Test 対策】 AdmissionsBuffet (アドミッションズ・ビュッフェ) プレミアム・プラン

2021年07月02日

ワークライフバランスはサイクルとして実行、改善されるもの

長時間労働は従業員にも雇用主にも悪影響を及ぼすことが明らかになっているにもかかわらず、多くのプロフェッショナルは、労働時間に関する思い込みや、深く刻み込まれた習慣を克服するのに苦労しています。このような不健康なパターンから解放され、より持続可能で実りあるワークライフバランスを実現するためには、何が必要なのでしょうか?


この疑問を解決するために、ある研究では、ロンドンで働く法律事務所と会計事務所に勤務する78名のプロフェッショナルに、約200件の詳細なインタビューを行いました。インタビューに参加したのは男女同数で、年齢は30〜50歳、扶養している子どもが少なくとも1人いて、中間管理職か上級管理職に就いている人がほとんどでした。

彼らの大半は、自分たちの仕事が非常に厳しく、疲弊し、混沌としていると述べており、仕事で成功するためには長時間働くことが必要だと考えているようでした。しかし、男性の約30%、女性の約50%は、意識的に長時間労働に抵抗しているようで、より健康的なワークライフバランスを維持するために、さまざまな戦略を立てていました。そこには何らかの共通の心理的プロセスが見えてきました。

1つは、自己理解を深めるための「振り返り」と、もう1つは意図的に役割を「再定義」することが重要であるとわかりました。重要なことは、これは一度だけすれば良いものではなく、状況や優先順位の変化に応じて継続的に取り組むべきサイクルだということです。このライくるには5つの段階があります。



1.一旦、止まってみる。

一歩下がって、自分自身に問いかけてみましょう。現在、私にストレス、バランスの崩れ、不満を与えているものは何か?これらの状況は、私の仕事の進め方や関わり方にどのような影響を与えているか?それらは私生活にどのような影響を与えているか?自分は何を優先しているか?私は何を犠牲にしているか?何を見失っているのか?

心を落ち着かせ、これらの要因を認識して初めて、改善することができます。


例えば、法律事務所のシニアアソシエイトであるマヤ(以下、全て仮名)は、数年間キャリアに集中した後、どん底に落ちたような気持ちになったと言います。このとき初めて、自分の過労が家族や自分の心身の健康に影響を与えていることを認識したのです。

「私はかなりの長時間労働をしていました......それはひどい時期でした......私にとってはそれが重要なポイントだったと思っています。もうこんなことはしたくない、こんなのは馬鹿げていると思いました。それ以来、私は本当の意味で一歩下がったのだと思います。」

同様に、リーガルパートナーのケイトは、息子の誕生後、精神的に大きな変化があったと話しました。「働かなくてはならない、働かなくてはならない、働かなくてはならない」という考えが「自分の中に植え付けられていた」が、その考えと母親としての「今の自分」との間に「衝突」があることを認識したのである。この出来事をきっかけに、彼女は一歩下がって、自分の現状と優先順位のミスマッチを自覚し、長時間労働の習慣をやめていきました。

もちろん、私たちが話を聞いたプロフェッショナルたちは皆、とても忙しい生活を送っていました。彼らの多くは、普段は立ち止まって考える時間やエネルギーがないと言い、インタビューという反省の場を与えてくれたことに感謝していました。しかし、このような気づきを得るきっかけは、出産や家族の死など、人生における大きな出来事であることが多いのですが、一旦立ち止まって優先順位を考え直すことはいつでも可能です。長時間労働が苦にならない人もいるかもしれませんが、このような疑問を持ち、(意図的であるかどうかにかかわらず)自分が行ってきたトレードオフを考え直す時間を持つことは、別の働き方や生き方を模索している人にとって有益だと言えます。



2. 自分の感情に注意を払う。
自分が置かれている状況への認識が深まったら、その状況が自分にどのような感情を抱かせるかを調べてみましょう。「自分は元気があって、充実していて、満足しているだろうか」と自問してみてください。それとも、怒りや憤り、悲しみを感じるだろうか?例えば、ある回答者は、現在のワークライフバランス(あるいはその欠如)が、かなりネガティブな感情を生み出していることに気づいたと述べています。

「根本的に人生の本質にとってそれほど重要ではないものが、自分から貴重な時間を奪っていることに憤りと苦しさを感じる......命を落とした人や、残り時間を教えられた人を見ると、さらに強調される」。ある監査ディレクター

自分の人生を動かしている決定や優先事項を合理的に理解することは重要ですが、それと同じくらい重要なのが感情に気づくこと、つまり状況が自分をどのように感じさせているかを認識する能力です。自分の感情の状態を認識することは、自分が仕事や人生でどのような変化を起こしたいかを判断するために不可欠です。



3. 優先順位を変える。
認知と感情の意識を高めることで、物事を前向きに捉え、優先順位をどのように調整すべきかを判断するために必要なツールが得られます。自分に問いかけてみてください。自分は何をどのくらいの期間犠牲にしてもいいのか?例えば、家族よりも仕事を優先してきたとしたら、なぜそのように人生を優先させることが重要だと感じるのだろうか?それは本当に必要なことなのか?それは本当に避けられないことなのか。私はすでにどんな後悔をしていて、このままの道を進んだらどんな後悔をするのだろうか?

私たちの優先順位は、日々の時間配分の習慣よりも早く変化することがよくあります。ワーク・ライフ・バランスが良好であると答えた人たちは、本来の優先順位に合わせて、時間の使い方を意図的に変えていました。ある参加者は、自分はまだプロフェッショナルであると考えていますが、そのプロフェッショナルとしての役割を、親としての役割など、他の価値ある役割も含めて再定義しました。

「人生で何が重要かを理解すればするほど、それは仕事ではなく、仕事の相対的な重要性を理解することになります。今でも仕事から多くの満足感などを得ていますが、以前は仕事がすべてでしたが、今は半分以下になってしまいました」。ある監査ディレクター



4. 代替案を検討する。
解決策に飛びつく前に、まず、自分の優先順位に合わせるために、仕事や生活のどの部分を変えればいいのかを考えてみましょう。自分の仕事を変えたいと思うことはありますか?家族との時間や趣味の時間をどれだけ確保したいですか?ある回答者が示したように、自分の状況を改善するには、時間と実験が必要です。




5. 変化を実行する。
最後に、優先事項を認識し、改善のための選択肢を慎重に検討したら、いよいよ行動に移します。例えば、時間的な制約が少ない新しい役割を引き受けたり、週休2日制を導入したりするなど、同僚の期待を明確に変化させる「公」の変化と、必ずしも同僚の期待を変えようとはせず、自分の仕事のパターンを非公式に変える「私」の変化があります。

私たちの調査では、持続可能な方法で実施する限り、公的な変化も私的な変化も効果的な戦略であることがわかりました。個人的な変化としては、自分で境界線を設けたり(夜間、週末、休日に仕事をしないことを決め、その決定を守るなど)、自分の役割に付随する要求を断ったり(新規プロジェクトや出張の依頼など、プレッシャーを感じても断るなど)します。公的な変化については、単に上司に「休みを増やしたい」「時間をもっとフレキシブルにしたい」と伝えるよりも、重要なメンターやパートナー、同僚のサポートを得たり、さらには社内の新しいポジションやフレキシブルな勤務制度を正式に申請したりする方が、より持続的な変化をもたらすでしょう。



重要なのは、上記の5つの段階は一度きりの活動ではなく、継続的な再評価と改善のサイクルであるということです。特に、圧倒的な長時間労働の文化の影響を受けていると、意識的か無意識的かにかかわらず、「いつものこと」に戻ってしまいがちです。この研究で実施されたインタビューでは、人々が自分の人生に真の変化をもたらすためには、プライベートでも仕事でも、常に立ち止まり、自分の感情とつながり、優先順位を考え直し、代替案を評価し、変化を実行することを忘れてはならないと述べられていました。

今後ますます大事になるテーマ、研究だと思います。


参照
https://hbr.org/2021/01/work-life-balance-is-a-cycle-not-an-achievement
posted by ヤス at 19:40| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月25日

目で判断する日本人、口で判断するアメリカ人

ハッピーな顔文字には、なぜ目の部分にキャレット(^^)が付いているのでしょうか?研究によると、表情豊かな目を持つ顔文字がアジア(特に日本)のユーザーに好まれるのは、異文化間の心理の違いによるものだと考えられています。2005年に発表された研究では、個人の文化的背景によって、顔の表情を解釈する方法が異なるという仮説を立てています。

研究者は、
「人が感情を表現するとき、目は口よりもコントロールが難しいことから、日本のように感情を沈めることが当たり前になっている文化圏の人は、他人の感情を解釈するときに、口よりも目をより強く意識すると予測しました。対照的に、あからさまな感情表現が主流の文化(米国など)では、顔の中で最も表情豊かな部分である口の位置に基づいて感情を解釈する傾向があると考えました。」

2つの実験が行われました。1つ目の実験では、イラストで描かれた顔を使用し、2つ目の実験では、実在の人物から撮影した編集済みの表情を使用しました。2つ目の実験では、口と目の感情表現を調整しました。いずれの実験でも、被験者はアメリカ人と日本人のみであり、この2つの文化を比較しました。

研究者らは、西洋人と東洋人では、周囲の世界をどのように解釈し、理解するかが異なる可能性があると説明しています。具体的には、欧米人は個人主義を重視しており、感情を否定することは本当の自分を否定することに等しいと考えられます。一方、日本、中国、韓国などでは、集団主義、相互依存の傾向があるため、人間関係の調和を保つために感情を抑制することが多いです。

笑顔としかめっ面は、大頬骨筋と眼輪筋という2つの筋群によってコントロールされています。大頬骨筋は口の動きを、眼輪筋は目の動きをコントロールしています。口よりも目の方が感情表現を抑えにくいため、日本をはじめとする東洋文化圏では、目が最も正確な感情の指標であると考えられているのです。

これに関連して、偽の笑顔(ファイクスマイル)は口だけを動かしますが、真の笑顔は目と口を動かします。写真を撮るために笑顔を装ったことがある人は、この違いがわかると思います。

今回の調査結果は、顔文字の違いを説明するのに役立ちます。例えば、文章を書くとき、アメリカ人は通常、嬉しいときには :) 、悲しいときには :( と入力して顔のアイコンを表します。一方、日本人は嬉しいときには(^_^)、悲しいときには(;_;)と入力します。このような違いは、上記の研究にあるような目と口の違いにあるのかもしれません。


参照
https://www.psychologytoday.com/gb/blog/the-red-light-district/201608/the-cross-cultural-significance-emoticons
posted by ヤス at 17:40| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月17日

リモートワークの孤独感にはセルフコンパッション

リモートワークが世界中で活用されています。コロナの後でも引き続き、リモートワークの活用は続くと思われます。メリットが多いですが、健康上の問題があることも近年、報告されています。インディアナ大学の研究者は、リモートワークが孤独感をもたらし、うつ病のリスクを高めることを発見しました。

職場での孤独感は、従業員のメンタルヘルスや行動にどのように影響するのか。この研究では、孤独感を助長するとされる3要因、「仕事の不安感」、「在宅勤務の頻度」そして、「パンデミックへの対応に関する会社からの十分なコミュニケーションの有無」が調べられました。

2020年3月中旬から5月中旬までの間、研究者は様々な業種の従業員を対象に毎週調査を行いました。

その結果、リモートワークをしている人は、うつ病の症状が出やすいことがわかりました。また、同僚を助けようとしたり、プロジェクトを率先して進めようとしたりすることも少ないとわかりました。


リモートワークの憂鬱を解消するには?
研究チームは、人々が在宅勤務のライフスタイルにうまく適応できるようにするには、セルフコンパッション、つまり、自分を理解してやることが必要であると述べています。日常生活にセルフコンパッションの行動を加えた人は、うつ病の症状が顕著に減少しました。

辛い時に自分に思いやりを与えることで、孤独感を減らし、仕事へのパフォーマンスを維持することができます。セルフコンパッションによって、自分自身に優しくなり、自分と同じような辛い気持ちを抱えているのは一人ではないと認識しやすくなり、ネガティブな感情を意識しながらも、それに飲み込まれないようにすることができるからではないか、と研究者は考えています。また、セルフコンパッションが高い人は、必要な休憩をとる傾向が高いこともわかったそうです。

今後、研究チームはセルフコンパッションを高める介入法などを考えていく予定です。

リモートワーカーが孤独にならないようにしたいと考えている企業にとって、雇用主は3つの簡単なことができると研究チームは言います。

一貫性のある明確なコミュニケーション
従業員のためのバーチャルな交流会
セルフコンパッションを奨励するような環境を作る


私の研究でも出ているのですが、セルフコンパッションは極めて大事なメンタルヘルス要素です。この分野での研究がさらに進んでいくことを願っております。


参照
https://www.studyfinds.org/self-compassion-remote-work/
posted by ヤス at 06:56| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月07日

インパクトファクター(IF)は注意して解釈を

ジャーナルを評価する指標の1つにインパクトファクター(IF)というものがあります。これが高いジャーナルで出版される論文はインパクトが高く、この数字が低いとインパクトも低いと大雑把には言われます。

このネイチャーの記事ではIFは注意して解釈をした方がいいよ、と述べています。

この記事ではネイチャー・ニューロサイエンスの引用数の分布を調べたのですが、非常に歪んでいて、中央値は平均値よりもかなり低く、このジャーナルに掲載された特定の論文への被引用数の可能性を予測するものとしては、ほとんど役に立たないと述べています。


IFの高いジャーナルでは、長い尾部(つまり、引用数が100、150といったずば抜けて高い論文が1、2件ある状態)です。これは、例外的に高い被引用度を持つ比較的少数の論文が存在することを意味します。これらの論文がIFを釣り上げ、ジャーナルの評判に貢献しています。これとは対照的に、IFの低いジャーナルは、引用数の少ない論文を多く出版する傾向にあります。

もちろん引用数だけで論文の総合的な価値が判断できるわけではないですが、このようなスター論文があるかどうか、これがIFの高いジャーナルと低いものの大きな違いの一つと言えそうです。

その他、興味深い点としては、すべての参考文献の8割は、元の論文からではなく、他の参考文献リストから転記されていることです。つまり、多くの著者は自分が引用したすべての論文を読んでおらず,代わりに他の著者の参考文献リストに最も多く掲載されている論文を引用する傾向があることが推測されます。これは、社会学者のロバート・マートンが35年前の古典的な論文で、科学の分野でもマシュー効果(経済学で金持ちがより金持ちになるという理論)があると指摘したことと関係します。

IFは何らかの参考にはなるものの、やはりイギリスの大学間でも行われているような、一つ一つの論文に対して、詳細なジャッジメントが必要なのは、明らかに言えそうです。IFについて詳しく教えてくれる良い記事でした。


参照
https://www.nature.com/articles/nn0803-783
posted by ヤス at 05:50| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月07日

国際学術誌で論文を出版する

大学でアカデミックとしてやっていくには(アカデミックのタイプはあれども)論文出版はすごく大事です。私もこれまで数々の論文を書き、研究結果をまとめたり、新たな治療法を提案したりしてきました。おかげさまで今では100件を超える出版物があります(RG参照)。

日本の研究者の方々ともご一緒させていただき、その他、研究経験はないけれども、論文出版に興味がある学生さんや労働者の方々の指導もさせていただいております。

そこで、当ブログ読者の方々の中でも、国際学術誌に論文を出版したい!興味がある!という人は、以下コメント欄からご連絡ください。コメントは承認しない限り非表示なので、この件でのご連絡は基本、非表示とさせていただき、そこから連絡を取るという形にさせていただきます。

コメントにはお名前(フルネーム)、メールアドレス、所属、どういった研究分野に興味があるのか、などをご記入ください。

分野や論文の種類によって、出版までの時間はさまざまですが、大抵の場合、1〜2年くらいです。アカデミックの分野でのキャリアを志すにしろ、そうでない分野にしろ、国際学術出版があることは非常にプラスになると思います。よろしくお願いいたします。
posted by ヤス at 21:15| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする