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2017年10月11日

内的モチベーションが健康とパフォーマンスに好影響

サザエさん症候群があるように、日曜の夜や月曜の朝に気分が落ち込む人も少なくないと思います。例えば、アメリカでは多くの労働者の気持ちが金曜日の夕方に急激に高くなり、日曜の夜から月曜の朝にかけて落ち込むとわかっています。なぜ働くこと、また、働くことを考えるだけで、気分にネガティブな影響が出るのか?


これを考えるのに内的、外的モチベーションがヒントを与えてくれます。内的モチベーションはそれをするだけで楽しい、純粋に興味があることです。例えば幼い子供が塗り絵をしたり、あなたがゴルフをすることかもしれません。労働はしばしば外的モチベーションと考えられます。しかし常にそうでしょうか?

人々は様々な理由で働きます。生計を立てるために働くでしょう。これには衣食住にかかる費用や子どもの教育費もあるでしょう。

しかしそれ以外にも働く理由はあると思います。それはお金よりも大事なものだったりします。自己価値観を高めたり、周囲に違いを出したり、また、個人的な興味を満たすこともあります。そしてこの働く理由は、人のパフォーマンスと気分に大きな影響を与えます。

お金のために働くのは外的なモチベーションです。外的モチベーションはお金だけではなく、昇格や資格、他人からの承認や、他人からの批判を避けようとすることも含まれます。研究では、高い外的モチベーションだと、労働者は最低限の仕事しかしなく、時には仕事を端折ったりすると報告されています。この傾向は特にボーナスという金銭的な報酬があると強く出ます。彼らはプレッシャーを感じるので、健康も下がります。

誰でもある程度は、自尊心を高めたり、批判や恥を避けようと働く部分はあります。しかし、それだけでは健康に悪影響をもたらします。


内的モチベーションには、対象行動が自分の価値観とフィットして、意義を感じられることが大事です。自分の仕事が、自分の大事にする顧客や環境、関係者にどんなポジティブな影響をもたらしているかを考えることで、仕事の意義により気づくことができます。このようなモチベーションは健康や気分、パフォーマンスに良い影響を与えます。

仕事は全てが内的モチベーションになるとは言い難いケースも多いですが、知っておくと有効なコンセプトだと言えます。


参照
https://www.psychologytoday.com/blog/getting-monday-morning/201709/what-gets-you-monday-mornings?
posted by ヤス at 16:46| Comment(0) | 心理学理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月02日

儲かる仕事よりも、愛する仕事。内的モチベーション

1980年にロチェスター大学の心理学者、エドワード・デシとリチャード・ライアン人にお金を払うと、彼らのモチベーションと生産性は下がると言って、心理学会、ビジネス学会、教育学会に衝撃を与えました。そこから自己決定理論(self-determination theory、SDT)が生まれ、内的モチベーションと外的モチベーションという概念が生まれました。

デシとライアンは自己コントロール(自己決定)の度合いが、生産性と仕事満足感につながると言いました。極端な例だと、自営業で自分が自分のボスである場合は、仕事にやる気を燃やすということになります。

そこから数十年間、この概念は特にビジネス界で脚光を浴びます。内的モチベーションは、ワークエンゲージメント、ポジティブ感情、生産性などと高い関係を持つと、ノルウェーの研究者、バード・クヴァース等によって報告されます。

内的モチベーションはそれをすることが快感でそれをする。逆に、外的モチベーションはそれをすることで、何らかの快感を得られたり、不快感を避けられるから、それをする。そこで研究者は、これらのモチベーションは、どちらも同時に起こるものなのか?それとも、一方が出たら、他方を消してしまうのか?考えました。

ある研究では約6000人の労働者にアンケートに答えてもらいました。このアンケートでは、バーンアウト、離職意志、感情的にどれだけ組織にコミットしているか、継続して働こうという意志、仕事と家庭の葛藤度合いを含みます。

この研究では、内的モチベーションが高いほど、生産性が高く、会社に対してよく思っていて、仕事と家庭の葛藤度合いが低く、離職意志やバーンアウト度合いも低いと出ました。逆に、外的モチベーションが高いと、この逆の結果となりました。つまり、労働モチベーションにおいては、その仕事への愛がお金を勝るということです。

またこれには例外があって、仕事が非常につまらなく、労働量に応じて報酬がもらえるとき、外的モチベーションの方がよく働くそうです。

仕事への愛が、仕事満足感につながり、その辛さをも乗り越えさせてくれると言えます。報酬も大事ですが、最大の満足感をもたらすのは、あなたの本当のアイデンティティー、スキル、価値観を発揮させる仕事でしょう。長期的な満足感を望むのであれば、単に給料が良い仕事を選ぶのではなく、愛情を感じる仕事を選ぶことが大事だと、この理論からも言えそうです。

参照
https://www.psychologytoday.com/blog/fulfillment-any-age/201709/when-love-is-the-driving-force-in-work
posted by ヤス at 01:44| Comment(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月29日

思いやりが攻撃性につながる

思いやりを促すのは良い事ばかりだと言われていますが、そうでもないようです。新たな研究で、思いやりは優しい感情や利他的な行動を促すとともに、攻撃性にも繋がると報告されました。

特定の状況において、温かさ、優しさ、同情といった「思いやり」とされる気持ちの性質が、攻撃的な行動につながる。研究者たちは、神経ホルモンに目を向けました。神経ホルモンとは、血流に紛れて移動することもできるし、また、脳内物質として脳内でも移動できる化学物質のことです。


今回、バッファロー大学の研究者が目を向けたのは、2種の神経ホルモンでした。オキシトシンとバソプレシン。これらは「接近行動」を促します。他人に近づこうとする行動です。しかし、人が他人に近づくには様々な理由があります。攻撃もその理由の一つです。

したがって、共感や思いやりがオキシトシンやバソプレシンと関連しているのであれば、共感・思いやりと攻撃に関係ができる。これが実験の仮説です。

実験の結果が示すところ、共感や思いやりは、そこで労っている他人のために感じる攻撃性と繋がっていると出ました。例えば、意地悪な上司にいじめられているAさんの話を聞いて、Aさんに共感し、思いやりを感じると、Aさんの上司に対して怒りを抱くというように。

実験の第一部はアンケートによるもので、自分の大事な人が、誰かから脅威を感じさせられているとどういう気持ちがするかを尋ねました。すると、思いやりが攻撃性と繋がっていることが見受けられました。

実験の第二部では、唾液サンプルを見て、神経ホルモンを調べました。参加者は思いやりを促すストーリーを聞きます。これは参加者が会ったことのない人(「思いやりダミー」と呼びましょう)に関するもので、この人(思いやりダミー)別室にいると告げられます。この別室にはもう一人(「単ダミー」と呼びましょう)いると告げられます。

彼ら(思いやりダミーと単ダミー)は数学のテストを受け、肉体的苦痛(辛いものを食べる等)がパフォーマンスにどう影響するかの実験に参加すると告げられます。彼らは数学のスコアを競争します。

そこで参加者に、単ダミーに対してどのレベルの苦痛を与えるかが問われます。

結果は面白いことに、思いやりダミーの敵である単ダミーに対して、参加者はかなり高い苦痛を設定すると答えました。単ダミーが別に何か悪いことをしたわけでもないのに、高い苦痛を設定すると答えました。


思いやりが攻撃性を促す面白い実験だと思います。

参照
https://psychcentral.com/news/2014/11/07/compassion-can-drive-aggression/77067.html
posted by ヤス at 02:52| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月21日

どんな幸福感を味わうかで遺伝子影響が異なる

近年の研究で、幸福感は遺伝子に影響することが分かっています。更に、どういった幸福感なのかで遺伝子への影響は異なると言います。

人生にとって深い意味のあることをすることによる幸福感(ユーディモニック[eudaimonic])は、免疫細胞に良い影響が出ます。炎症に関する遺伝子が少なく、免疫の遺伝子が多くなります。

しかし、消費的で自己満足的な幸福感(ヒドニック[hedonic])は、逆の効果をもたらします。炎症遺伝子が多く、免疫遺伝子が少なくなる。

今回の研究ではUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のスティーブン・コール教授とノースキャロライナ大学のバーバラ・フレドリクソンらが、この2つの幸福感(ユーディモニックとヘドニック)の人間ゲノム(2万以上の人間の生存維持に関する遺伝子の総合体)に対する影響を調べました。

過去の研究では長期間、ストレス、脅威、不安定性にさらされると、遺伝子の免疫細胞に悪影響が出ると分かっています。これはCTRA(conserved transcriptional response to adversity)と言い、炎症に関する遺伝子を増やし、免疫反応に関する遺伝子を減らします。

今回の実験では、80人の健康な成人の血液を調べました。そして彼らがどれだけユーディモニックまたはヘドニックな幸福感を感じているか調べました。

調べた結果、ユーディモニックな幸福感を感じている人と、ヘドニックな幸福感を感じている人では、どちらのグループの人も、同じレベルのポジティブ感情を感じていたものの、遺伝子の免疫細胞に変化があった(ユーディモニックの方が免疫細胞が多くなった)そうです。

つまり、同じポジティブを感じていても、人間ゲノムにおいては、異なる反応をしていたということです。

どのような質の幸福感なのか。これが大事だと言う実験でした。

参照
http://newsroom.ucla.edu/releases/don-t-worry-be-happy-247644
posted by ヤス at 01:51| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月08日

内的モチベーションに外的報酬を与えるとモチベーションが減る。過剰正当化効果

内的な報酬に押されて取る行動を内的モチベーションと言います。つまり、それをする事自体が純粋に充実なので、個人の中からその行動を取ろうと思うような行動です。これは、外的な報酬を得ようとしたり、罰を避けようとして取る行動、外的モチベーションとは反対のものです。

クーンとミテレアによると、内的モチベーションとは、外的な目的や報酬がなくても起こる行動であり、その行動を単純に楽しみ、探検したり、学んだり、自分の潜在能力を実現させる機会だと思えるような事だと言います。


例えば、この記事を読むにしても、単純にモチベーションや心理学が好きだから、というのであれば内的モチベーション。しかし、何か会社や授業で発表しないといけないから読んでいるのであれば、外的モチベーションで読んでいることになります。

最近、単純に楽しいからという理由でどんな事をしたでしょうか?

ガーデニング、絵を描く、ゲームをする、読書といった事が挙がるかもしれません。こうした行動はあなたの内部から湧き上がるものです。外的な報酬、例えば、お金や賞賛などとは関係がありません。内的な報酬とは、個人が内的に経験するポジティブな感情でしょう。

だから何らかの意義がある事(ボランティアなど)に従事する事も含まれます。また何か新しい事を習得したり、何かポジティブな事を達成しようとしている時もこれに当たるでしょう。

研究でわかっている事は、既に内的にモチベーションがある行動に対して、外的な報酬を与えると、内的な報酬の度合いは減ると報告されています。この事を「過剰正当化効果(overjustification effect)」と言います。

内的なモチベーションがある時、人はよりクリエイティブになります。労働者の間で外的モチベーション(金銭報酬など)はよく使われます。しかし、実際の労働の質は内的な資質の影響が大きいです。している仕事が面白い、やりがいがあると思ったら、クリエイティビティも高くなります。


従って、内的モチベーションは教育においても大事です。いかに生徒が内的にモチベーションを持って学べるか、学校や教師は考える必要があります。しかし、実際、多くの生徒は外的な目的にかられて教育システムに入ってくるので、それが難しいのも事実です。

マローンとリーパーによると、学習に内的報酬をもたらすには以下が大事な要素だと言います。

チャレンジ:個人的に意義のあるゴールであり、達成可能だが少し難しいと思うようなゴールがあると内的モチベーションが高まる。

好奇心:何かその人の注意を引くものが物理的な環境にある時、または、何か学びたいと思うような刺激がある時、内的モチベーションが高まる。

コントロール:自分の行動、環境、また何を目指すのかをコントロールできる。

協力と競争:他人を助ける満足感があると内的モチベーションが高まる。また、競争で自分が良いパフォーマンスをする時。

認知:自分の達成が周りから認知される時。


職場において、内的なモチベーションで働いてくれる人が多い方が強いのは明らかです。しかし、求人情報が外的なモチベーションを煽るものであれば、効果的な求人は困難です。また、社内教育においても、内的なモチベーションを刺激するようなものを導入すると効果的でしょう。

参照
https://www.verywell.com/what-is-intrinsic-motivation-2795385
posted by ヤス at 02:15| Comment(0) | 心理学理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする