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2017年08月29日

思いやりが攻撃性につながる

思いやりを促すのは良い事ばかりだと言われていますが、そうでもないようです。新たな研究で、思いやりは優しい感情や利他的な行動を促すとともに、攻撃性にも繋がると報告されました。

特定の状況において、温かさ、優しさ、同情といった「思いやり」とされる気持ちの性質が、攻撃的な行動につながる。研究者たちは、神経ホルモンに目を向けました。神経ホルモンとは、血流に紛れて移動することもできるし、また、脳内物質として脳内でも移動できる化学物質のことです。


今回、バッファロー大学の研究者が目を向けたのは、2種の神経ホルモンでした。オキシトシンとバソプレシン。これらは「接近行動」を促します。他人に近づこうとする行動です。しかし、人が他人に近づくには様々な理由があります。攻撃もその理由の一つです。

したがって、共感や思いやりがオキシトシンやバソプレシンと関連しているのであれば、共感・思いやりと攻撃に関係ができる。これが実験の仮説です。

実験の結果が示すところ、共感や思いやりは、そこで労っている他人のために感じる攻撃性と繋がっていると出ました。例えば、意地悪な上司にいじめられているAさんの話を聞いて、Aさんに共感し、思いやりを感じると、Aさんの上司に対して怒りを抱くというように。

実験の第一部はアンケートによるもので、自分の大事な人が、誰かから脅威を感じさせられているとどういう気持ちがするかを尋ねました。すると、思いやりが攻撃性と繋がっていることが見受けられました。

実験の第二部では、唾液サンプルを見て、神経ホルモンを調べました。参加者は思いやりを促すストーリーを聞きます。これは参加者が会ったことのない人(「思いやりダミー」と呼びましょう)に関するもので、この人(思いやりダミー)別室にいると告げられます。この別室にはもう一人(「単ダミー」と呼びましょう)いると告げられます。

彼ら(思いやりダミーと単ダミー)は数学のテストを受け、肉体的苦痛(辛いものを食べる等)がパフォーマンスにどう影響するかの実験に参加すると告げられます。彼らは数学のスコアを競争します。

そこで参加者に、単ダミーに対してどのレベルの苦痛を与えるかが問われます。

結果は面白いことに、思いやりダミーの敵である単ダミーに対して、参加者はかなり高い苦痛を設定すると答えました。単ダミーが別に何か悪いことをしたわけでもないのに、高い苦痛を設定すると答えました。


思いやりが攻撃性を促す面白い実験だと思います。

参照
https://psychcentral.com/news/2014/11/07/compassion-can-drive-aggression/77067.html
posted by ヤス at 02:52| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月21日

どんな幸福感を味わうかで遺伝子影響が異なる

近年の研究で、幸福感は遺伝子に影響することが分かっています。更に、どういった幸福感なのかで遺伝子への影響は異なると言います。

人生にとって深い意味のあることをすることによる幸福感(ユーディモニック[eudaimonic])は、免疫細胞に良い影響が出ます。炎症に関する遺伝子が少なく、免疫の遺伝子が多くなります。

しかし、消費的で自己満足的な幸福感(ヒドニック[hedonic])は、逆の効果をもたらします。炎症遺伝子が多く、免疫遺伝子が少なくなる。

今回の研究ではUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のスティーブン・コール教授とノースキャロライナ大学のバーバラ・フレドリクソンらが、この2つの幸福感(ユーディモニックとヘドニック)の人間ゲノム(2万以上の人間の生存維持に関する遺伝子の総合体)に対する影響を調べました。

過去の研究では長期間、ストレス、脅威、不安定性にさらされると、遺伝子の免疫細胞に悪影響が出ると分かっています。これはCTRA(conserved transcriptional response to adversity)と言い、炎症に関する遺伝子を増やし、免疫反応に関する遺伝子を減らします。

今回の実験では、80人の健康な成人の血液を調べました。そして彼らがどれだけユーディモニックまたはヘドニックな幸福感を感じているか調べました。

調べた結果、ユーディモニックな幸福感を感じている人と、ヘドニックな幸福感を感じている人では、どちらのグループの人も、同じレベルのポジティブ感情を感じていたものの、遺伝子の免疫細胞に変化があった(ユーディモニックの方が免疫細胞が多くなった)そうです。

つまり、同じポジティブを感じていても、人間ゲノムにおいては、異なる反応をしていたということです。

どのような質の幸福感なのか。これが大事だと言う実験でした。

参照
http://newsroom.ucla.edu/releases/don-t-worry-be-happy-247644
posted by ヤス at 01:51| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月08日

内的モチベーションに外的報酬を与えるとモチベーションが減る。過剰正当化効果

内的な報酬に押されて取る行動を内的モチベーションと言います。つまり、それをする事自体が純粋に充実なので、個人の中からその行動を取ろうと思うような行動です。これは、外的な報酬を得ようとしたり、罰を避けようとして取る行動、外的モチベーションとは反対のものです。

クーンとミテレアによると、内的モチベーションとは、外的な目的や報酬がなくても起こる行動であり、その行動を単純に楽しみ、探検したり、学んだり、自分の潜在能力を実現させる機会だと思えるような事だと言います。


例えば、この記事を読むにしても、単純にモチベーションや心理学が好きだから、というのであれば内的モチベーション。しかし、何か会社や授業で発表しないといけないから読んでいるのであれば、外的モチベーションで読んでいることになります。

最近、単純に楽しいからという理由でどんな事をしたでしょうか?

ガーデニング、絵を描く、ゲームをする、読書といった事が挙がるかもしれません。こうした行動はあなたの内部から湧き上がるものです。外的な報酬、例えば、お金や賞賛などとは関係がありません。内的な報酬とは、個人が内的に経験するポジティブな感情でしょう。

だから何らかの意義がある事(ボランティアなど)に従事する事も含まれます。また何か新しい事を習得したり、何かポジティブな事を達成しようとしている時もこれに当たるでしょう。

研究でわかっている事は、既に内的にモチベーションがある行動に対して、外的な報酬を与えると、内的な報酬の度合いは減ると報告されています。この事を「過剰正当化効果(overjustification effect)」と言います。

内的なモチベーションがある時、人はよりクリエイティブになります。労働者の間で外的モチベーション(金銭報酬など)はよく使われます。しかし、実際の労働の質は内的な資質の影響が大きいです。している仕事が面白い、やりがいがあると思ったら、クリエイティビティも高くなります。


従って、内的モチベーションは教育においても大事です。いかに生徒が内的にモチベーションを持って学べるか、学校や教師は考える必要があります。しかし、実際、多くの生徒は外的な目的にかられて教育システムに入ってくるので、それが難しいのも事実です。

マローンとリーパーによると、学習に内的報酬をもたらすには以下が大事な要素だと言います。

チャレンジ:個人的に意義のあるゴールであり、達成可能だが少し難しいと思うようなゴールがあると内的モチベーションが高まる。

好奇心:何かその人の注意を引くものが物理的な環境にある時、または、何か学びたいと思うような刺激がある時、内的モチベーションが高まる。

コントロール:自分の行動、環境、また何を目指すのかをコントロールできる。

協力と競争:他人を助ける満足感があると内的モチベーションが高まる。また、競争で自分が良いパフォーマンスをする時。

認知:自分の達成が周りから認知される時。


職場において、内的なモチベーションで働いてくれる人が多い方が強いのは明らかです。しかし、求人情報が外的なモチベーションを煽るものであれば、効果的な求人は困難です。また、社内教育においても、内的なモチベーションを刺激するようなものを導入すると効果的でしょう。

参照
https://www.verywell.com/what-is-intrinsic-motivation-2795385
posted by ヤス at 02:15| Comment(0) | 心理学理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月17日

感謝、長所、味わう。ポジティブ心理学を日常に取り入れる

近年のポジティブ心理学の研究では、ポジティブ心理学の実践をすることで、困難に陥った時にいかに前向きでいられるか、つまり、レジリアンスが高められると報告されています。ここでは具体的に、日常生活で実践できる3つの方法をご紹介します。

1.感謝する。

自分が持っているものに対して感謝の気持ちを持ちましょう。住むところがあり、大事な人が健康であることだったり。人生で良いことに気を配っていると、それは自分の外側にあることに気づきます。つまり、感謝は自分と、自分よりも大きな外部のものとの繋がりを深めてくれます。外部のものが他人だったり、自然だったりします。1日に一回、数分で良いから時間をとって、5つほど自分が感謝することを思い浮かべる、または書き出すと良いでしょう。そして、それぞれがあなたにとって何を意味するかを考えましょう。


2.長所を伸ばす。

長所を伸ばして行くには、まずそれが何かを知る必要があります。イギリスのある研究では、たった3分の1の人しか自分の長所を知らないといいます。自分が良くできることがあれば、それを当たり前だと考えて、長所だと捉えない人も多いようです。もし自分の長所が分からなければ、周りの人に聞くことも可能です。
長所にも色々あり、例えば、感謝ができる、希望が持てる、バイタリティ、好奇心、愛情がある、などといった長所は、より幸せに繋がるものでしょう。そうした長所は伸ばせば良いとより言えるでしょう。


3.良い時間を十分に味わう。

多くの人は、結婚式やバカンスといった特別な日を満喫しようとします。しかし、日常生活にある喜びは、見逃されがちです。しかしそうした喜びにも十分に注意を向けて、楽しむべきです。人生にある喜びを味わうことは、それが大きいものであれ小さいものであれ、幸せにつながります。

マルチタスキングは味わうことの邪魔になります。なぜなら一度に2つのことに注意を向けられないからです。一つのことに集中することが大切です。


参照
http://www.health.harvard.edu/mind-and-mood/3-ways-to-harness-positive-psychology-for-a-more-resilient-you
posted by ヤス at 01:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月03日

ヨガはフィジオセラピーと同じくらい腰痛に効果的

アメリカ人は1年間で2000億ドルを腰痛治療に使うといいます。しかもその治療結果に対する満足度は非常に低い。彼らの多くは痛み止め薬に依存したり、フィジオセラピーに大金を使ったりします。


慢性的な腰痛はアメリカ成人の10%を悩ませ、その多くが人種的にマイノリティーで、低所得者だと言われています。慢性的腰痛を抱える成人数は増加傾向にあります。


多くの実験がヨガが腰痛に有効だと言います。最近、新たな研究で、ヨガはフィジオセラピーと同じくらい有効だと報告されました。この実験で、ボストンメディカルセンターは320人の腰痛患者を集め、3つのグループに分けました。第一グループは腰痛に関する本とニュースレターを受け取る。第二グループは15回のフィジオセラピーのセッションを受ける。第三グループは腰痛のためのヨガのクラスに12週間、通います。第三のヨガグループの参加者は、比較的ゆるいヨガのポーズをします。これに対して第二のフィジオセラピーグループはストレッチや強化トレーニングをします。

結果は、ヨガグループはフィジオセラピーグループと同じくらいの効果を得ていました。そして、その効果は1年後も継続されていました(1年間ヨガまたはフィジオを継続した参加者において)。


実験開始から12週間の段階では、ヨガとフィジオグループの参加者は、第一グループの読書グループと比べて、20%以上も薬を使う量が少なくなっていました。

ヨガとフィジオの効果の間に大きな違いはありませんでした。しかしアメリカではフィジオは保険で支払われるのに対して、ヨガは払われないので、ヨガの注目をさらに高めるものとなりました。

参照
http://www.popsci.com/yoga-back-pain-physical-therapy続きを読む
posted by ヤス at 02:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする