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2012年09月14日

少年野球選手に催眠を。パフォーマンス向上とトラウマ解消

バージニアコモンウェルス大、イグレシアス教授らの催眠に関する実験を紹介します。

実験では2つの事を調べました。1つ目はパフォーマンス向上トレーニングモデルという催眠トレーニングモデルを使って、選手のバッティング力を向上させようというもの(実験1)。2つ目は能力の最大発揮を邪魔しうる経験(競技上トラウマ)を解決していくために催眠を使う。例としては、危険球の後、思うように打撃できなかったり、守備で打球を体に当て、守備が怖くなったり。今回の例では守備で打球を当てたケース(実験2)。


●実験1 パフォーマンス向上の催眠

アメリカの少年野球では親が自分の子供に個別コーチをつけることが珍しくはないそうです。中でも最もコーチが雇われる分野が打撃です。

打撃コーチは、その選手がいかにより打てるようになるか、フォームや心構えを指導します。この時、指導は主に言語でなされます。言語を体の動きにスムーズに変換できる選手はそれでかまいませんが、言語をスムーズにまだ処理できない選手にとってはこのアプローチではよい指導ができません。

そこでこういった選手に対して催眠のビジュアライゼーションで打撃コーチの指導を浸透させることを試みます。

多くのスポーツは何か上達するまではゆっくりとした動きで覚えていきだんだんと速度を増していくことで習熟しますが、打撃はそうはいきません。だから、催眠のビジュアライゼーションでゆっくりと頭の中で体感してもらい、それで習熟を計ろうというのが狙いです。

実際の進め方としては最初のセッションで、選手の現在のスイング映像を見せる。そしてコーチはどこをどうしたいかを伝える。またその動作ができているオリンピック選手の打撃映像を見せる。

2回目のセッションからは催眠でリラックス状態を作ってから、選手が自分自身その新しい動きができているのをイメージしてもらいます。催眠中に、細かい動きを伝える時、催眠者は打撃コーチの言葉をそのまま使います。

この催眠を自分でする方法を選手に教え、彼らに家で毎日2回してもらいます。この催眠30分セッションを4、5回してどういった変化が出たのかを調べます。結果はどうなったのでしょう?

なんと6人の選手にこの催眠トレーニングモデルを実施し、6人とも先発メンバーではなかった選手が先発メンバーの座を掴んだそうです。

もちろん彼らの体の成長であるとか、技術的な気付きもこれに影響しているので何が直接的な原因かはわかりませんが、催眠トレーニングが好影響している可能性は高いと言えます。


●実験2 競技上のトラウマ解消に催眠を使う

スポーツの競技上のトラウマ解消に催眠が有効だという調査は過去にいくつかあります。モーガンという学者が1995年にスキューバダイビングをする人の緊張やパニックに対して催眠をして効果があった記事を書いています。

また彼女自身、マウンテンクライマーとして一度、死にかける事件を経験した後、そのトラウマ(PTSD)を催眠で解消して、再度山登りに復帰したことが記事にされています。

イエンとメツルによるとアメリカの5〜14歳のリトルリーガーは年間で10万件以上のケガを報告しているそうです。

パスターナックらが7〜18歳の2861人のリトルリーガーにした調査によると最も頻繁に起こるケガはボールが当たる系統のものだそうです。

ボールが当たる系統のケガは深刻なケガの62%を占め、このうち68%は守備時にボールをどこかに当てて大きなケガとなるケースだそうです。

こうしたケガに遭った選手はそれを恐れて無意識的にケガを避けようとします。そのため、理想のスイングができなかったり、守備でも思うように体が動かなかったりします。

実験に参加した選手は親と共に最初のセッションでケガについての情報収集をし、セラピストが催眠のメッセージを構成します。30分のセッションを週1回、5週間します。

具体的には催眠誘導には自己強化(ハーランドら、1965年)、メンタルリハーサル(アッペル、1992年)、時間後退(フレデリック&フィリップス1992年)、そして、催眠トラウマナラティブ(イグレシアス、2005年)を含ませます

参加したのは12歳の選手で守備時に、打球が口に当り多量の出血をし、その後、ボールが怖くなりました。

5週間の催眠プログラムを終えて彼は練習場に姿を現すようになりその後、プレーを再開したようです。フォローアップセッションとして2,3週間に一度あうリズムで3回フォローアップセッションをし、ボールを怖がるクセは見られなかったそうです。

●実験を振り返って

大リーグは現在「ステロイド時代」と呼ばれ、パフォーマンス向上のために違法な手段が使われています。それに比べて催眠は個人のメンタル力を高めることでパフォーマンス向上を図る合法的な手段です。

ステロイドや外的な物質によるパフォーマンス向上ではなく、催眠などの内的なアプローチでのパフォーマンス向上がより普及することを願っているとイグレシアス教授は書いていました。


催眠に興味がある方は以下がオススメです。
コミュニケーションのための催眠誘導 「何となく」が行動を左右する (知恵の森文庫)
映像で学ぶ催眠術講座 催眠術のかけ方 (<DVD>)


スポーツ心理学に興味がある方は以下がオススメです。
新インナーゲーム―心で勝つ!集中の科学



参照
"Clinical Hypnosis With A Little League Baseball Population" by Alex Iglesias et al.
posted by ヤス at 15:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 催眠 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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