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2013年01月13日

自信は本当に成功につながるのか?

アメリカの心理学者、ジーン・トウェンギ(Jean Twenge)らは1966年からアメリカの大学一年生の自信について研究しています。これまで900万人の大学生が参加。自分の周りの友達と比べて自分の基本的スキルはいかがなものか、自己評価をしてもらいます。




ここ40年間で、学力、達成意欲、数学力、自信といった数値において自分自身を「平均以上」と評価した人の数は急激に増えたそうです。

その反対に、反個人主義的な指標協調性、他人の理解といったものの自己評価はほぼ変化がないか、若干の減少を見せたそうです。

トウェンギ:「最近の大学一年生は自分が書く能力に優れていると思っているにも関わらず実際の能力は1960年代と比べて落ちている」

また1980年後半では、約半数の学生が週に6時間以上勉強していると答えたのに対して、2009年の学生は3分の1ほどがそう答えた。トウェンギの別の研究では1979年からアメリカの学生のナルシスト度数は30%ほど増加しているそうです。

オックスフォード辞典によると、ナルシスズムとは「過剰な自己愛、うぬぼれ;自己賞賛、自己中心性」と書かれています。

トウェンギ:「我々の文化は謙虚さを推奨し、自慢することは推奨されなかった。自慢することはうぬぼれだとして悪いことだとされていた」

しかしながら、自信がある人がナルシストなわけではありません。健康な自信は心の健康にプラスとなります。

しかし、現代の学生4人にナルシズム度を測るアンケートをしてもらったら、その傾向が高いという数値が出たそうです。ナルシズムは必要なことだと言う心理学者もいるが、トウェンギらはナルシズムはネガティブで破壊的なことだとしています。

キース・キャンベルとの共著『The Narcissism Epidemic(邦訳「自己愛過剰社会」)』の中で、トウェンギはナルシズム度がアップしたことの原因がトレンドにあるとしています。子育てスタイル、有名人の文化、ソーシャルメディア、そして簡単に得られる功績、これらが他の人が自分より優れていると思わせることにつながっている、と解釈。

ここ20年のアメリカを振り返ると自分を愛しなさい、自信を持ちなさい、自分を信じなさい、といったことが成功へのカギですよ、といった風潮が強まっています。しかしおもしろいことにこの信念はかなり深く信じられているんだけど、科学的な事実は、異を示しているんだそうです。

自尊心を高めようという運動はかなり高く支持されています。そして自己啓発の本やプログラムが開発され「私達は偉大なことが達成できる。あとは自信を持つだけだ」といったメッセージが横行しています。

1万5000以上もの記事が自信とその結果の関連性について調査していますが、その関連性を示す証拠は非常に少ないんだそうです。

フロリダ州立大学の心理学者で自尊心を専門とするロイ・バーメイスター(Roy Baumeister)によると自信と結果の関連性は非常に小さいようです。高い自尊心と成功には比例関係があるけれど、それが成功との原因関係を示すには証拠不十分だそうです。

自尊心と成功に共に影響する要素としてバーメイスターは「良い家庭に育つことが、両方の高い数値につながっている」と話しています。

バーメイスター:「自己成功の原因として、自尊心よりも大事なのが自己コントロールである。自分は自尊心を長く研究してきたのだが、結局、人々には自尊心は関係ないとアドバイスしている」

だからといって自信が無い人が学校やスポーツでより成功を収めているわけではありません。

トウェンギ:「何かを達成するには、それができると信じる必要はあるが自分はすごいと思うことは別物だ」

例として、ターンを学ぼうとする競泳者、自分はそれを習得することができると信じることは良いが、自分は既にすばらしい競泳者だと信じることは習得の邪魔をする、と言っています。

フォーサイス(Forsyth)とカー(Kerr)によると、低い成績の生徒に肯定的なフィードバックを与えると成績は逆に下がったそうです。

バーメイスター:「結果に関係なく肯定的なフィードバックを与えると生徒は一生懸命勉強する理由を失う」

トウェンギ:「往々にしてナルシストは、外見上、見栄えが良かったり、カリスマチックに見える。彼らは人間関係も簡単に構築でき、社会での自信もあるようにふるまう。しかし、長期的にはナルシストは家庭やプライベート、仕事において人間関係を維持することができない。」

ナルシストは正しいことを言うかもしれませんが、結局は行動がともなわず本性を知られてしまいます。よくあるパターンは中年になって、自分の人生にはたくさんのうまくいかなかった人間関係があることに気づくというパターン。

その解決法は簡単ではありません。ナルシストはセラピーをしてもすぐにやめてしまいます。

トウェンギ:「これは人格的な特徴です。変えるのが非常に難しい性質で、遺伝であったり、生まれてすぐの環境や文化といった非常に根強い要素によって構成されている」

フロリダ州立大学のジョン・レイノルズ(John Reynolds)が2006年にした調査によると学生の野心は年々大きくなっていて、彼らの非現実的な期待も年々大きくなっています。彼はこれを「野心のインフレ」と呼んでいます。

トウェンギ:「この実験を始めた1960年代からこういった期待が増える中で不安症やうつ病も増えている。こういった野心やゴールを達成しない人ももっと増えてくるだろう」

学生、20代に関して、オススメは以下です。
スタンフォードの自分を変える教室
20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義
ハーバードの人生を変える授業


ナルシシストに興味がある人は以下がオススメです。
自己愛人間 (ちくま学芸文庫)
パーソナリティ障害―いかに接し、どう克服するか (PHP新書)
自己愛と境界例 発達理論に基づく統合的アプローチ

参照
http://www.bbc.co.uk/news/magazine-20756247
posted by ヤス at 08:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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