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2014年09月30日

比喩は意思決定プロセスにも影響する

僕が興味のある研究分野の一つに比喩があります。中でもレラ・ボロディツキー(Lera Boroditsky)教授の研究は非常に面白い。ここでは彼女が2013年1月に出版した論文を紹介します。

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以前、「比喩は気づかれないが大きな力を持つ」という投稿の中で、犯罪をどういったように表現するか、犯罪にどういった比喩を使うか。これを変えるだけで、その犯罪への解決策が変わった、という実験結果を紹介しました。

「犯罪は獣だ」と表現した記事を読んだ人は「獣」にちなんだ解決策、刑務所をもっと作るなど強制的な策が圧倒的に支持された(75%が強制的策、25%が改善的策を指示)。

これに対して上記と全く同じ記事だけど、「獣」を「ウイルス」とだけ変え「犯罪はウイルスだ」とした記事を読んだ人は「ウイルス」にちなんだ解決策、社会構成の見直しなど改善的な策を支持する割合が増えた(56%が強制的策、44%が改善的策を指示)。


という結果になりました。

また「記事のどこを見て解決策を判断したか」という質問に対しては5%の人しか、比喩の影響に気づきませんでした

・・・というのが過去の実験でした。

そして今回の新しい調査では、彼ら独自に解決策を考えてもらうのではなく実験者側から選択肢を提供して、その中からベストを選んでもらうようにしました。

すると、いろいろな選択肢があるにも関わらず、参加者は比喩に影響された解決策を選ぶ傾向があることがわかりました。

これからわかることは、比喩は人が最初に浮かぶ解決策に影響するだけではなく、他のさまざまな解決策が提示されていて、その中からベストを選ぶという状況においても影響力を持つ、ということです。

次に、この実験においても、参加者が比喩に気づいているか調べました。ここでも大多数の参加者は比喩のことに気づいていませんでした。

しかしながらおもしろいことに、比喩のことを記憶している人も、記憶していない人も同じ程度、比喩によって決断を影響されていることがわかりました。

これらの発見からわかることは比喩は理由付け、意思決定のプロセスにおいても人が気づかれずに影響している、ということです。

そして最後に実験者たちは犯罪に対する政治体制の好みについても調べました。つまり、街の犯罪に対して、共和党の人はどういった政策を、民主党の人はどういった政策を、そして無党派の人はどういった政策を好むのか。ここに比喩がどう影響しているか、見てみました。

結果は、共和党を支持する人は犯罪に対して強制的、懲罰的な解決策を提案し、民主党支持者や無党派者よりも他の意見の影響を受けにくいということがわかったそうです。

比喩や言葉の影響に興味がある人は以下がオススメです。
「影響言語」で人を動かす
言語心理学 (朝倉心理学講座)
メタファー思考 (講談社現代新書)

参照
"Natural Language Metaphors Covertly Influence Reasoning" by Paul H. Thibodeau, Lera Boroditsky
http://www.plosone.org/article/info:doi/10.1371/journal.pone.0052961
posted by ヤス at 21:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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