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2013年09月17日

ピークパフォーマンスにはダメパフォーマンスが必要。修正理論

僕が属するプログラムの同僚研究者(Cowen)がスポーツ心理学において新たなパフォーマンス論について研究をしているので、その要点を書いておきます。

●論文の主旨

彼らが提唱するのは「パフォーマンスにおける修正理論(Correction Theory)」。修正理論とは、複雑システムは不均衡が生じると自動修正し、システムの機能を維持する、というもの。

この基となっているのがユングの「抵抗の原則」。心の不均衡がなければ、均衡はあり得ない。心とは、自動修正的なシステムである、というもの。その自動修正システムの中にピーク・パフォーマンスと動的パフォーマンスが共存する、というのが論点。


●ピーク・パフォーマンス

2012年のネスティ(Nesti)らの調査によると継続的なピーク・パフォーマンスを追求することはエリートアスリート、また、彼らをサポートする人たちにとって重要な課題だと明かされた。

プリヴェット(Privette)は「ピーク・パフォーマンス」「その状況において、通常期待されている以上の行動をすること」と定義している。

多くのピーク・パフォーマンスに関する記事が述べる所は、ピーク・パフォーマンスは自己超越した経験であり(Maslow, 1968)、フローと同質なもので、「最適な心の状態(Optimal Mental State)」とも言われている。

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●ネガティブフィードバック(現状とゴールの差を縮めていく)のプロセス

スワン(Swann)らは、フローに関する記述(description)はできてきたが、この説明(explanation)をする必要がある、と説いている。つまり「パフォーマンスとは静的なものではなく、動的なものだ」と主張している。それゆえ、修正理論が適していると言える。

修正理論には、コントロール理論が含まれ、コントロール理論はネガティブフィードバックをベースにしている。ネガティブフィードバックとは、行動をすることで、現状とゴールの差を縮める方向に動くことである。


●心理的な作用・反作用

多くのスポーツ心理学研究者は、アスリートは良いプレーをするために代償を払う、と述べている。厳しい競争で勝ち抜くためには、自分が優れたアスリートだと認識する必要があるそこに力を向けるあまりに、他の部分に反作用が生じる

例えばドーピングにしても、スポーツでの成功を考えすぎるあまり、道徳や長期的健康をないがしろにした結果かもしれない。

心理的な反作用といえば、うつ病や感情問題、人間関係問題などが挙がる(ネスティのフットボール選手の調査より)。完璧という不可能なものを追求するあまり、他の部分で反作用が出る。それはよく人間としての機能を下げる。

20世紀、ユングは心とは作用と反作用が共存する動的なシステムだと言った。対立するものが共存して、補完し合う。そうすることで一方的になるのを防ぎ、均衡ができる。

今世紀に入ってから特に、スポーツにおいてもホリスティックな見方が広がってきた。つまり、アスリートとして向上したければ、人間的に向上すること。

※これは日本のスポーツ界が目指してきた所かもしれない。
参照ビデオ→"Kokoyakyu"http://vimeo.com/56714767

自己修正システムという観点で見ると、不機能パフォーマンス(ダメなパフォーマンス)があるから、その自己修正反応でピーク・パフォーマンスができたり、その逆もあり得る、とすることができる。

1995年スポールディング(Spaulding)いわく、原因究明のための追求型思考は、直線的な説明をするには適しているかもしれないが、そうすることで他のプロセスが見逃されていたり、システム全体の相互作用を見逃す可能性がある。

自信は、多くの研究者の間で、スポーツにおいて最も重要な心理的状態だと記されている。バンデュラ(Bandura)によると自信(彼の言葉では自己有効感)は過去の達成に影響される、そうだ。つまり、過去に出来たから、次もできるだろうと思える。

しかし、バンクーバー(Vancouver)らは、過去の成功が次の成功への悪影響になることを述べている。1991年のミズルチ(Mizruchi)の研究によると1947年から1982年のNBAのチーム成績を見ていると前の試合に勝つことは、次の試合に負ける確率を12%増やすことがわかった。

その後の研究で明確にされたのは、自分の力がどれほどかという認知と、理想のレベルとの差が小さいと、アスリートは努力をしないということ。2010年のウッドマンらの実験では選手の力を過小評価させることが、高いパフォーマンスにつながった。




posted by ヤス at 21:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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