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2014年08月08日

Single-Subject Designの基本、ABABと複数ベースライン

Single-Subject Design (SSD)はオペラント条件付けを参加者に実験し、様々な時間枠で結果を見たB. F. スキナーの研究から作られた実験法だと考えられています。従って、行動変化を測りたい時によく使われます。グループの行動値を比べるのではなく、個人の行動値を比べるものです。

B. F. スキナーに興味がある方は以下の本がオススメです。
初めて老人になるあなたへ  ハーバード流知的な老い方入門
スキナーの心理学―応用行動分析学(ABA)の誕生
自由と尊厳を超えて


そして、SSDにおいて大事なのが実験介入前の数値、ベースラインです。これがなければ、介入によってどういった変化が生まれたのかを知ることができません。SSDには2つのよく使われる手法があります。それはABABデザインと複数ベースラインです。

ABABデザイン

ABABデザインは最初のA(A1)でベースラインを測り、最初のB(B1)で介入中の効果を測ります。そして、介入を辞めた状態で計測し(A2)、また介入をして数値を測ります(B2)。

従って、ベースライン情報と介入中の値を比べることで、介入がどういった効果をするのかを知り、また、介入を辞めると効果はどう変化するのか、そして、再介入時にはどういった変化を見せるのか、これらを測ろうというものです。

例えば犬にお座りをさせたい。そこであなたは2匹の訓練されていない犬を飼います。そして、「ビスケットを与える」のと「抱いてよしよししてあげる」のとどちらが効果的かを計測します。

ビスケットをもらう犬を犬1、抱いてよしよししてもらう犬を犬2とします。

まずはベースラインを知ります。どちらの犬も10回中、2回お座りをしました。つまり、どちらの犬も20%です。これがA1。

次に異なった介入をします。どちらの犬も2時間に渡って10分に2回、お座りを命じられます。犬1は座るとビスケットがもらえます。犬2は座ると抱いてよしよしされます。座らなかった場合は何もしません。

2時間に渡り10分ごと、つまり24回のトライのうち犬1は16回、つまり67%座って、犬2は12回、50%座りました。これがB1となります。

その後、24時間置いてから両犬にまた、最初のベースラインの時にしたようにお座りを命じます。ここでは介入停止による効果を測ります(A2)。ここで介入効果は維持されるのかどうかを知ることができます。

例の犬の実験で、例えばここで犬1は20%、犬2は45%という結果になったとします。

そして最後にまた介入をしてつまり2時間に渡って10分おきに2回、お座りを命じて犬1にビスケット、犬2に抱っこよしよしを与えます。犬1は67%、犬2は80%という結果になりました。

それでは結果を振り返って、解釈につなげてみましょう。最初の介入、つまりA1-B1においてはビスケットは20%から67%に、抱っこは20%から50%に確率を高めた。第一段階ではビスケットの方が抱っこより効果的だという結果が出ました。

しかし介入を停止した時(A2)犬1は20%と元に戻ったのに対して犬2は45%と、効果を若干維持しました。

ビスケットの効果は高いが、ビスケットが無くなると犬の行動は元に戻り、対して抱っこはやめてからも犬の行動に変化をもたらす、という結果になりました。

そして最後の段階、B2。ビスケットは最初の介入と同じレベルまでの効果となりました(67%)。しかし、抱っこは80%と大きな伸びを見せました。

この実験全体で見た時、抱っこの方がビスケットよりも効果的な行動修正手段だと言えます。





複数ベースライン

ABABデザインではお座りというスキルの習熟度、トレーニングのタイミング、トレーニング量、その他影響し得る変数については調べられていません。例えば、ビスケットをもうちょっと増やしたら結果は違ったかもしれません。こういった他の影響要素を最低限にしようというのが複数ベースラインです。

例えば犬の実験では、ベースラインを測定する時間を変化させることもできます。また介入の量を増やしたり、種類を変えたりすることによって、どういったものがよりよく行動変化につながるか、考えることもできます。

例えば、ベースラインを計測する時間の長さ。今度は犬を3匹用意して、ビスケットを与えるのですが、ベースラインの計測時間を変えます。

犬1にはベースライン測定1時間、犬2にはベースライン測定2時間、犬3にはベースライン測定3時間。

ここでもし3匹とも同じ伸び率を見せれば、ベースライン計測時間は行動変化に影響しない、となります。

しかし、もしここで、1時間の犬1は20%、2時間の犬2は40%、3時間の犬3は60%という数値を見せたとするとベースライン計測の長さ、つまり習熟値などが計測に影響している、と言う事が出来ます。





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マーケティングリサーチの論理と技法 第4版
大学生のためのリサーチリテラシー入門: 研究のための8つの力
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参照
http://allpsych.com/researchmethods/singlesubjectdesign.html
posted by ヤス at 21:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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