2015年01月16日

論理感情行動療法(REBT)をスポーツに応用する

2013年、スタフォードシャー大学のマーティン・ターナーとジェイミー・バーカー(Martin Turner & Jamie Barker)が論理感情行動療法(REBT)をスポーツ分野に応用し有効性を調べました

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4人の一流ユース・クリケットプレーヤーにREBTを施し(3カウンセリングセッションと2回の宿題)彼らの非論理的な信念から来る緊張の軽減を図りました。

シングルケース、複数ベースライン、参加者間という実験手法を使い、17週間にわたる実験を行いました。結果、REBTは全参加者の非論理信念の軽減、また緊張度の軽減を示したそうです。

論理感情行動療法(REBT)はもともと論理療法(Rational Therapy)と呼ばれていましたが、1961年に論理感情療法となり、1993年に論理感情行動療法と改名されました。

現在、REBTはCBT(認知行動療法)に関係するテクニックだとされていますが、CBTとは大きな違いが2点あり、1つは感情的障害は特定の非論理的信念からまたは不快への低い許容度から来ていると考えている点もう1つは、心理的な健康は特定の論理的信念からまたは不快への高い許容度から来ていると考えている点です

スポーツ以外の分野ではこれまでREBTの有効性は研究されてきました。非論理信念は非機能的な推測と関連していてそれらは感情障害や不健康な感情高揚、過緊張、恥や怒りといった感情、自殺思考といったことをもたらすことがわかっています。

そして、REBTを使った研究記事の結果をメタ分析すると、REBTが心理動学セラピーや体系的ディセンシタイゼーションなどといった手法よりも有効であることがわかっていて、特にその有効性は論理的信念の増加と比例しているそうです。

今回の実験では15〜17歳の男性(M=15.5; SD=1.00)、一流クリケット選手、3〜5年のプレー歴(M=4.00; SD=1.15)4名に対して行われました。彼らの信念については短縮版、全般的態度と信念の計測表(SGABS, Shortened General Attitudes and Beliefs Scale)が、緊張度の計測についてはスポーツ緊張計測表(SAS2, Sport Anxiety Scale-2)が使われ、SGABSは実験一週間前に1回、そしてその後は毎週(実験終了の第17週まで)SAS2も毎週(実験終了の第17週まで)受けてもらいました。また周りからの客観的な様子も考慮に入れるため選手と親、コーチに社会的批准アンケートに答えてもらいました。

4選手は1週間1回のREBTトレーニングを3週間受け、間に宿題が渡されました(計2回)。その他、REBTプラクティショナーから20分のセッションを週1回、3週連続で受けました。REBTトレーニングとセッションでは特にABCDEモデルに基づき、選手の信念を変化させていきました。

結果はどうだったか?

4選手全てにおいて非論理的な信念が軽減していて、また緊張度合いも軽減していました。実験後の社会的批准アンケケートにおいては選手自身はより緊張を感じなくなっていて自分の感情をコントロールできるという感覚が増えていると回答。選手の親が選手を見てどう感じるか、より少ない緊張度合い、またより高い感情コントロール度合いを回答していました。コーチ陣の見た感じでは、全員が選手の緊張度合いは減っていると答え3人のコーチが感情コントロール度が上がったと答えていました。

研究者たちはこの実験が今後、REBTのスポーツ分野での応用に役立てば、と考えているそうです。

REBTに興味がある方は以下の本がオススメです。
人生哲学感情心理療法入門 アルバート・エリス博士のREBTを学ぶ (静岡学術出版教養ブックス)
怒りをコントロールできる人、できない人―理性感情行動療法(REBT)による怒りの解決法
論理療法による3分間セラピー−考え方しだいで、悩みが消える

参照
Turner, M., & Barker, J.B. (2013) Examining the efficacy of Rational-Emotive Behavior Therapy (REBT) on irrational beliefs and anxiety in elite youth cricketers. Journal of Applied Sport Psychology, 25(1), pp.131-147.
posted by ヤス at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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