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2014年12月31日

香港卓球選手、REBTを使いオリンピック銀メダル獲得

REBT(論理感情行動療法)を使って香港の一流卓球選手のメンタルコーチングをした研究記事を見つけました。香港スポーツ機構のガンヤン・シとヒンチュ・リー(Gangyan Si & Hing-Chu Lee)が2003〜04年にかけて卓球選手をメンタルコーチングし、結果、2004年オリンピックで銀メダルを取る事が出来た。その様子が学会記事として報告されていました。


二人の研究者 兼 メンタルコーチはプロチャスカ、ノークロス、ディクレメンテ(Prochaska, Norcross, DiClemente)が提唱する変化の6ステージ(熟考前、熟考、準備、行動、維持、終了)を選手用に若干変更し、熟考、準備、行動、維持、安定として心理的な介入を行いました。

主な手法はREBTが使われ、選手の問題であったフラストレーションへの低い許容をいかに克服するか、コーチングプランが組まれました


REBTは有効な手段ですが、驚く事にスポーツへの応用は1980年代中盤、オーストラリアの一流プロアメフト選手40人に実施したものが最初のものだと考えられています。

1994年にREBTの創始者、アルバート・エリスがスポーツへの応用が有効だと記し、それに続いてテイラーが「REBTはアスリートの問題を解決するだけではなく効果的な介入計画を立てたり、具体的なスキルを考えさせてくれるフレームワークも提供してくれる」と述べています。

対象となった選手(L)はフラストレーションへの低い許容が問題となって力を発揮できていませんでした。卓球のダブルスで、パートナーがミスをすると、いらいらして冷静さを失ってしまう。フラストレーションへの低い許容は極端な信念(例、私は全ての試合で勝たなければいけない)からきていると考えられています。メンタルコーチはこれを克服することがLの課題だと考えました。

ステージ1 熟考と準備 2003年10月〜2004年1月

ここではREBTの説明がされ、中でもABCDモデルの解説がなされました。

ステージ2 行動と維持 2004年2月〜2004年6月

ここでは、平均的なREBTのセラピーで9割の時間が使われるとされるABCDモデルのD (dispute)、極端だったり、非論理的な信念に反論するという過程を徹底して行いました。

その他、メンタルトレーニングのスキル、イメージング、深呼吸法、セルフトーク、ルーチン作りが使われました。またそういったことを日頃から自分でも実践するよう宿題が与えられました。

ステージ3 安定 2004年6月〜8月

この頃にはかなりフラストレーションに対して許容的になっていて、コーチやパートナーもその変化を明らかに感じていました。こういった過程の中で、メンタルコーチの2人はL選手の進歩を計測していました。


まずは目標達成指標(GAS, Goal Attainment Scale)。これを実験前、そしてステージ2 行動と維持の段階、ステージ3 安定の段階で計測しました。また、コーチからの客観的GAS(ステージ2の段階で)をふまえてのフィードバック。さらに、パートナーとコーチ、またLも含めてのインタビュー式のフィードバック。そして、ビデオテープによる振り返り。

こうした計測でわかった事はこのメンタルコーチングによってL選手はより高いフラストレーション許容を示し、その他のフィードバックでも確実な精神安定性の向上を見せました

この実験の最大の弱点は比較すべき制御グループがないので外的な有効性が低い事ですが、REBTの可能性を示してくれる実験結果となりました。



参照
Si, G., & Lee, H.C. (2008) Is it so hard to change? The case of a Hong Kong Olympic silver medalist. International Journal of Sport and Exercise Psychology, 6(3), pp.319-330.
posted by ヤス at 12:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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