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2014年04月02日

大リーグ主審の誤審に見る無意識の力

メジャーリーグでは審判の判定にビデオによる再判定が導入されました。これによってホームランやホースプレー、ファールボール等の判定を改めようとしています。しかし、ストライクゾーンに関してはまだ審判の手に委ねられています。ストライクゾーンがどれだけ結果に影響するかを考えると、これは少しおかしな事だと言えます。


アメリカの野球研究者がMLB(メジャーリーグベースボール)が開発したピッチロケーションデータという物を使って、2008年と2009年に投げられた合計70万投球に対して、主審のストライク・ボールの判定の正確性を調べました。結果はスイングされなかった投球の14%が誤審だったと出ました。

詳しくデータを見てみると、ホームチームの投手が実際はボールを投げたのにストライクをコールしたのは13.3%なのに対して、ビジターチームの投手がボールを投げてストライクをコールしたのは12.7%でした。

また驚くべき事に、試合の重要な場面ほど、審判は誤ったコールをしています。実際のストライクをボールだとコールする確率、1回表の第1球とタイスコアの試合の9回裏とを比べると、タイスコア9回裏の方が13%も多く、実際のストライクをボールと判断していました。

カウント別のデータを見ると、3−0であと一球ボールでファーボールという状況では、18.6%も実際のボールをストライクとコールするのに対し、0−0では14.7%でした。そして2−0とあと一球ストライクで三振という場合ではこの数字はたった7.3%と、0−0と比べると半分の誤審率でした。つまり審判は、三振やファーボールを避ける傾向があると言えます。

投手の人種も若干関係していました。黒人投手と白人投手を比べると、白人投手の方がボールをストライクとコールしてもらえる確率が10%ほど高かったものの、ボールをストライクとコールする確率は人種間で差がなかったそうです。

MLBの審判のストライク・ボールの判定は、後に検閲され、給料に影響します。より正確な判定を下し続けている審判にはボーナスが支払われます。それを考えると、これだけランダムに誤審があるのは驚きです。従って、研究者はこの誤審は意図的ではなく、無意識的な決断プロセスによるものだと考えています。

確固たる偏見があるとすると、その投手がオールスターに出たかどうか、という点です。5回オールスターに出場した投手と、一回も出た事が無い投手を比べると、5回オールスター投手のボールがストライクとコールされる確率は5倍も高いと出ました。実際のストライクをボールだとコールする確率も、5回オールスター投手の方が9%も低いと出ました。ストライクゾーンはオールスター投手には大きくなるようです。

そして、オールスター投手の中でも、その投手の評判が更に影響します。与えた四死球等の指標から「コントロールが良い」という評判がある投手(例えば「精密機械マダックス」等)は、そうでない投手(例えば豪快さが売りのランディー・ジョンソン)と比べるとストライクゾーンが広いです。


この事から研究者は「評判」が審判だけでなく、私たち人間の判断を無意識的に動かしていると述べています。そして、インセンティブがあるにも関わらず、人はそういった無意識の判断に影響されてしまいます。

今後、技術の進歩でストライク・ボールも正確な判断を下せるようになるでしょう。しかし、そこまで機械的に正確な野球をファンが求めるかどうかは疑問です。実際の世界のように人為的誤差を残す事を好む人も多いかもしれません。


参照
http://mobile.nytimes.com/2014/03/30/opinion/sunday/what-umpires-get-wrong.html?referrer=
posted by ヤス at 21:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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