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2014年09月28日

第一次大戦、英兵306人「戦闘勇気の無さ」で処刑。現代ならPTSDと診断

11月の下旬に大学で開かれる第一次世界大戦のイベントで、僕はPTSD(Post-traumatic stress disorder 、心的外傷後ストレス障害)についてお話をさせていただきます。

そこで、PTSDだけではなくて、イギリスの第一次世界大戦でのPTSDの様子も調べておこうと思います。



世界的に第一次世界大戦(1914-1918)では900万人の人が戦死をしたそうです。これは19世紀の全ての戦争での戦死者の数1400万人と比べると相当な数だという事が言えます。

その900万人の戦死者の中で、例えばイギリスでは306人の兵士が、ドイツでは25人、アメリカでは0人が、自軍によって殺されました。イギリスの場合、この306人の兵士を自軍が殺さなければならなかった理由が、「戦争神経症(shell-shock)」に関係するものでした。そしてこの戦争神経症を現代の精神医学で診ると、PTSDとなります。

戦争神経症にかかった兵士は、他の兵士への見せしめとして処刑されました。戦争神経症の為に、彼らは戦場を無断で立ち退いたり、命令に逆らったりしました。処刑された多くの兵士が若者で、もともとは自分の意思で軍隊に参加した人達でした。彼らは「戦闘勇気の無さ」という理由で処刑されました。

もちろん当時、イギリス軍には精神病かどうかを判断する医学長がいたものの、時にはそういった診断結果は処分されたり、無視されていました。軍の司令官のスタンスは、「戦争神経症は仮病だ」という考えでした。当時の事を知る、イギリスの心理学専門家の間では、当時のイギリス軍はトラウマや精神的な事柄を理解するのにかなり遅れていたそうです。

こうした事を示す書類はその後、75年間ずっと秘密にされてきました。処刑された兵士の家族は、イギリス軍部から差別をされ、苦しい思いをしてきました。イギリス政府もその兵士達の人的補償を拒み、1998年、当時の国防長官、ジョン・レイドは、兵士の処刑を示す証拠がないと公言しました。

306人の処刑された兵の事は、イギリス史で最も残酷な事だと認識されていましたが、その後のイギリス政府の対処は更に残酷な事だと認識されるようになります。その後、紆余曲折を経て、処刑された兵士の補償がなされます。

2000年になって初めて、この処刑された306人の兵士の家族は、ロンドンでの第一次世界大戦記念日のマーチに参加する事が許されました。



PTSDに関して興味がある方は以下がオススメです。
PTSDとトラウマのすべてがわかる本 (健康ライブラリーイラスト版)
心のケア――阪神・淡路大震災から東北へ (講談社現代新書)
もう独りにしないで:解離を背景にもつ精神科医の摂食障害からの回復

参照
http://www.bullyonline.org/stress/ww1.htm
posted by ヤス at 20:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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