【心の理屈メルマガ】登録はこちらから!

2016年04月01日

認知症ロボットとICTが日本の進んだ認知症ケアか

日本は高齢化社会だと言われています。2013年の段階で国民の4分の1が65歳以上だと言われています。総人口が1.3億人なので、3200万人が65歳以上という計算になります。そして、2035年には65歳以上の高齢者率が33%、2060年には40%になると予想されています。


高齢化社会はイギリスも同じです。イギリスの人口はおよそ6300万人。このうち1000万人は65歳以上だと言われています。

ちなみに2010年の各国の平均寿命で日本は最も長寿の国だとされています。男女総合で82.73歳(男79.29、女86.96)です。この次にスイス、香港、オーストラリア、イタリアといった国々が続きます。オランダは15位(総合80.20、男78.5、女82.19)イギリスは23位(総合79.53、男77.38、女81.68)となっています(参照)。

そして、多くの高齢者が抱え得る問題に認知症があります。WHOが2015年の3月に認知症に関する会議を開き、そこでは世界には約4750万人の認知症患者がいて、そのうちの6割は中国やインドの低所得者だと報告されました。認知症患者は近年、世界で800万人ずつ増えていて、2030年には7560万人になると予測されています。


イギリスの場合、1000万の高齢者のうちの8%である80万人が認知症を患っていると言われています。日本ではその2倍の16%、つまり、6人に1人、総数で約500万人が認知症を抱えると言われています。

そして、健常者と認知症の中間にあたる軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment, MCI)の人数は、厚生労働省の見積もりによると約400万人いるのでは、と考えられています。MCIとは、認知機能(記憶、決定、理由づけなど)の内、最低1つの機能に問題が生じて入るが、日常生活には支障がない状態をいいます。MCIを放置しておくと、4年間の間に50%の人は認知症を患うを考えられており、現在、MCIの早期発見が重要視されています。


また、厚生労働省は「ひもときねっと」という認知症の人に対するケアを強化する事業を実施しました。ここでは認知症ケア実践者が、認知症のケアに関して気づきをシェアしたり、有効な事例を共有する事で、認知症ケアの改善を試みました。

例えば、ここではケーススタディとして、共通のワークシートを使い、ケアをする人、そして、それをスーパーバイズする人たちで、気づきを促す会話をしていきます。ワークシートのフレームワークとしては、課題の整理、ケアする人が想定する対応策、患者の状態を事実ベースで記述、課題の背景や原因の整理、当初書いた課題を患者の視点で見てみる、解決に向けた新たなアイデア、スーパーバイザーからのアドバイス、といったような流れを踏みます。

オレンジプランといって、認知症高齢者が住みやすい、また、彼らの意見がきちんと尊敬されるような地域社会の構成に対する動きも進められています(2012年9月開始)。このプランの柱となるのが認知症サポーターの育成です。認知症に対する全体的な理解を強めようということで全国で90分の講義を受けて、認知症への理解、アプローチの仕方を学びます。認知症サポーター養成講座は、地域の住民や金融機関、スーパーマーケットの従業員、小・中・高等学校の生徒など、幅広い人に受講され、現在600万人以上のサポーターが誕生しているそうです(参照)。

その他、小・中学校で認知症サポーター養成講座を実施したり、その他、認知症に関する授業を実施したり、大学生のボランティア機会として、認知症患者をサポートする機会を作ったりしています。また、かかりつけ医や、歯科医、薬剤師といった高齢者が頻繁に通う専門医の間でも認知症への理解を深めるよう講座を開講、などといった動きがあるようです。

MCIにもあるように、事後発見ではなく、早期発見も重要な点です。約7割の診断が、軽度の認知症から中度に向かう段階で成されています。認知症に対して正しい理解を持つことで、より早い段階で医者に会うことができます。

また若年性認知症も近年調べられている分野で、全国における18〜64歳の人口において約4万人が患っていると考えられるそうです(0.05%)。推定発症年齢の平均は51.3±9.8歳(男性51.1±9.8歳、女性51.6±9.6歳)だったそうです。これを受けて政府は若年性認知症コールセンターを各地に設置しました(参照)。

WHOで日本が発表した独特な対策としては、認知症ロボットとICTがあります。ICT(Information and communication technology)は、スマートフォンやタブレットを使って、在宅の認知症患者をサポートします。健康管理端末を使って、血糖値や血圧を測って、医者のデータベースに送信したり、食事の写真を送ったりすることができます。医者もそれを元にアドバイスを与えることができます。

ある日本の研究チームは2008年にスカイプのようなテレビ電話を使った介入で、食事の写真を管理したり、認知リハビリとしてのしりとりや塗り絵を差し出して、やってもらうなどをして、高い効果を出したそうです(参照)。

認知症ロボットに関しては、積極的にコミュニケーションを取ろうとするので、それによって、認知症防止やうつ防止の効果が見込まれるそうです。機能としては家族の名前を覚えたり、患者の気持ちを察したり、算数の問題を出したりするものがあるそうです。他のタイプのロボットでは、アニマルセラピーと同等の効果が見込まれるもので、世界で最もセラピー効果があるロボットとしてギネス認定をされているパロというアザラシ型のロボット。センサーと人工知能で、人間の五感を刺激し、癒しを与えるようにできているそうです(参照)。


高齢化が激しく進む国として、何か有効な認知症対策をもっと世界に発信できたらいいなと思います。




posted by ヤス at 07:13| Comment(2) | TrackBack(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
日本の医療系博士課程で認知症と介護ロボットについて研究している50代男性です。
当ブログでヤスさんの記事に興味を持ち読ませていただきました。
セラピーロボットに対する世界のIT技術に期待が高まりますね。
Posted by 伊藤達夫 at 2016年07月20日 08:18
はじめまして。伊藤さん、コメントありがとうございます!仰る通りですね。今後いかにIT技術がこうした人的問題をサポートできるか。注目したい所ですね。認知症と介護ロボットの研究、非常に面白そうですね。
Posted by ヤス at 2016年07月21日 05:24
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック