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2016年05月31日

薬物依存は耐性(慣れ)と退薬(薬がないと不快)状態をもたらす

薬物依存で依存状態に陥らせる薬物は通常、耐性と退薬という状態を作ります。耐性を作るには2つの要素が必要だと言われます。1つはメタボリック(新陳代謝)耐性。多くの薬物は肝臓の酵素によって分解されます。薬物の一部はこれらの酵素によって統合され、より速く排除されます。もう1つは機能耐性。人の神経細胞が薬物の効果を補います。もし薬物が特定の受信体を活性化させるのであれば、その効果を維持するために受信体の数を減らしたり、受信力の向上を高めたりします。この機能耐性があるために退薬がおきます。


薬物は脳の報酬システムに影響します。脳幹にある腹側被蓋野(ventral tegmental areas)から脳の全部にある中隔側坐核(ちゅうかくそくざかく、nucleus accumbens)への通路と関係しています。薬物はこの中隔側坐核のドーパミン分泌を活性化すると考えられます。このドーパミン分泌は様々な方法で行われます。いくつかの薬物はアンフェタミンを分泌することやコカインの再取り込みを防止することで、ドーパミン分泌をします。他の薬物だと、他の神経伝達物質に影響をして間接的にドーパミン分泌をするものもあります。


最近の調査では、前頭葉(ftontal lobe)の働きが注目されています。ドーパミンによってもたらされる眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ、orbitofrontal cortex)と前帯状回(anterior cingulate gyrus)の変化が、中毒の作成につながっているとされています。ゴールドスタインとヴォルコウの調査によると、中毒の際には前頭葉が活性化し、退薬の際には非活性化すると報告されています。この動きは抑制機能にも関係し、例えば過剰にアルコールを摂るとこの抑制機能が落ちることもわかっています。


薬物刺激は条件付けされた反応を生み出すとも考えられます。だから再発が起こるのは、退薬が起きてしばらく経ってからなのです。薬物は中隔側坐核に長期的に影響をし、インセンティブ効果と関連すると考えられます。

また中毒には社会的な影響もあります。ギャンブルもその例です。ギャンブル中毒に影響する要因として、職を失ったり、離婚、低い自尊心などがあがります。


では薬物関連障害はどう治療されているのか。この治療法の選択が難しいのには理由があります。どの薬物に対して障害があるのかによって、治療法が異なる。長期間の治療をやり遂げられない。また、何の介入もなしに回復するケースもある。そして、薬物依存に対して異なる基準が使われている、などといったものが理由としてあがります。

こうした治療の成功率はほどほどだと言えます。複数にわたる試みを経て、4割が成功に至ります。ゴソップらの2003年の実験では、メタドン治療と合宿治療をして、1年後のフォローアップにおいて、14%のメタドン治療者と33%の合宿治療者が成功しており、4-5年後のフォローアップではこの数字が上昇し、26%のメタドン治療者と38%合宿治療者が成功したと伝えられています。

薬物障害にはメンテナンス療法というのがよく使われ、メタドンがよく使われます。またニコチンに対する治療では、ニコチンパッチなどを使って、ニコチンへの欲求に対処します。また薬物の効果を遮る方法も主流で、ナトレクソンでアヘンの効果を妨げたり、ジスルフィラムをアルコールと混ぜて不快感を与えたりもします。

その他の方法としてモチベーショナルインタビューがあります。薬物使用者の行動を変えるように促します。1991年にミラーとロールニック(Miller & Rollnick)によって作られ、認知療法とクライアント中心療法を元にしたアプローチです。最終的にはクライアント自分からモチベーションの高いメッセージを引き出すことが目的です。

行動的なアプローチとしては、曝露療法が良いとされますが、アルコールには効くけど、麻薬には効かないとされています。随伴性マネジメント曝露療法よりも多く研究が進められています。また認知療法も高く評価されています。

また再発の防止として、自己モニター、肯定的メッセージ、薬物から気を紛らわす、再発と薬をやめることのプラスとマイナスを考える、リスクの高い場面での理想の行動をイメージする、段階的に辞めていく、などがあります。


その他、社会・文化的なセラピーがあります。例えば、本を読んで自己啓発をするとか、合宿をする国もあります。もっとも知られているのが断酒会でしょう。しかしこれも段階的治療と考え方が違うことで万人に向けているとは言えないとされています。


posted by ヤス at 00:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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