2018年01月22日

ワークライフバランスが労働エンゲージメント、生産性に影響

ノースカロライナ大学のフレドリクソンによると、ポジティブ感情は心をオープンにし、好奇心とエネルギーを高めるのに対して、ネガティブ感情は思考を制限し、新たなことを感じ取ることを妨げます。また、仕事に満足している労働者は、より生産性が高いとも報告しています。

別の研究では、ロサーダが数ヶ月間に渡って労働者のミーティング中の行動を分析しました。ポジティブな言葉を使う人は、他人が出す選択肢に対してオープンであり、悲観的で防御的な姿勢を取らない人は、より高いセールスを上げ、同僚とも関係性が深く、より生産的だと述べています。


では労働者にポジティブ感情を持ってもらうにはどうしたらいいか?その一つがライフワークバランスです。フォーチュン500の企業のうち80%が参加するコーポレート・エグゼクティブ・ボードの調査によると、良いライフワークバランスを保つ人は、そうでない人と比べて21%もより一生懸命働きます。そのより一生懸命働いたものとは、彼らのエンゲージメントからきたものでした。

逆にワークライフバランスが悪いと、従業員パフォーマスにネガティブに影響します。自主的な努力が減り、欠勤や離職率が上がり、エネルギーと健康度合いが下がります。また、ストレスやバーンアウトも高まります。

ワークライフバランスとエンゲージメントには強い関係がありそうです。仕事や家庭のことを、比較的柔軟にしていいと、仕事により関わろうとします。高いエンゲージメントは多くの組織が求めることです。

これは「社会交換理論(Social Exchange Theory)」に当てはまります。組織が個人のプラスになるものを提供すると、個人は組織に対して、求められること以上のことをして、お返ししようとします。

ワークライフバランスと生産性を研究したビューレガードとヘンリーは、組織によくしてもらった個人は、その恩恵を感じ、何かを返そうとする。ワークライフバランスはその良い例で、個人はより仕事に関わろうとしたり、仕事への満足感が高まったりする、と述べています。


こうした従業員の行動はエンゲージメントに大きく関係する献身さと情熱に影響します。エンゲージメントは高い生産性に重要な要素で、高いエンゲージメントを持つ従業員はそうでない従業員と比べて3割も生産性が高く、一般的に組織では3割ほどの従業員しか高いエンゲージメントを持っていません。5割は低いエンゲージメント、2割は積極的にエンゲージしない社員です。

ワークライフバランスがエンゲージメント、そして、生産性を高める背景として、個人が大事だ、信用されていると感じることが挙がります。ワークライフバランスが高いことは、仕事への柔軟性を許容することであり、従業員には、選択肢と責任が与えられます。働き方に選択肢があると、生産性は高まります。シェパードらの1996年の研究では、選択肢があると、仕事以外の事柄もでき、オンとオフの切り替えがしやすくなります。


選択肢を与え、自己責任を促進することは、自主性などといった心理欲求を満たします。そして、人は有能さを感じもっと働きたくなります。神経科学者、グレゴリー・バーンズは、少しストレッチしないとできないことが満足を生むと述べています。仕事を上手にしたら報酬脳化学物質、ドーパミンが流れ、満足感が感じられます。

アーサーの調査では、極端な例が報告されています。ワークライフバランスを強化した結果、シェアホルダーが一企業あたり、6000万ドルのリターンをもたらしたそうです。

ピットカツォーフェスとマーチェッタの研究では、ライフワークバランスを強化すると、生産性が1から3割向上しました。理由は、労働者は、時間によりコントロールが持てるようになったことで、事務所で働く時間よりも長い時間自宅で働いたからです。別の調査で、ペリースミスとブラムが527のアメリカ企業を調査し、ワークライフバランスが高い企業では、より高い生産性や売上が見られたそうです。

仕事時間の柔軟性と満足度には関係性があります。仕事と生活の葛藤に対してよりコントロールがあれば、労働者のストレスや罪悪感が減り、組織に対して感謝の気持ちを持てます。それは、組織へのコミットメントであったり、離職率の軽減だったりします。組織や仕事に対してポジティブな感情を持つ人は、よりよく働きます。ワークライフバランスはその一役を担えると言えるでしょう。


参照
http://www.worktolive.info/blog/the-scientific-link-between-work-life-balance-employee-engagement-and-productivity
posted by ヤス at 17:53| Comment(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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