2018年03月04日

お金はモチベーションに影響するのか?その2

内的モチベーションは、外的モチベーションと比べて、パフォーマンスにより強く関係し、パフォーマンスをより強く予測できます。外的な事柄に集中するほど、内的な楽しみから目を背ける傾向が高く、それらは高パフォーマンスに繋がっています(しかしながら、最近の研究では内的と外的が同時に高い事もあると報告されています)。


お金とモチベーションに関係する研究を見ていくと、お金でモチベーションを上げようとする事には、何らかのコストが伴いそうです。しかしこれは無償で働けというのではありません。生活を支えるだけの収入は必要です。しかし、必要だけの収入があり基本的なニーズが満たされると、それ以上のお金がどれだけ心のプラスをもたらすのかはまだ疑問です。カーネマンとディートンの有名な研究では、アメリカにおいて、給料が年間で7万5千ドルに上がるまでは、心の健康度も同じように上がるそうです。しかしそれ以上の給料があっても、心の健康度は横ばいとなります。

私たちがお金に対して持つ関係性は人それぞれと言えそうです。様々なものが個人化してきた現代で、お金が同じように作用すると考えるのも不思議だと言えます。

例えば、お金に対する不安度合いも人によってバラバラで、お金を大事にする理由も人によって異なります(例:力、自由、安全、愛情)。企業が従業員のモチベーションを高めたいなら、それぞれの従業員の価値観を理解する必要があります。研究で、それぞれの価値観はエンゲージメントと異なるように関連しています。例えば、権力やナルシズムを追求することで得られた収入は、家族の安定や休暇のために得られた収入よりは、報われた気持ちがしないでしょう。


最後に、新たな研究では従業員の性格が、給料よりもエンゲージメントを予測できると報告しています。2万5千人の参加者を扱ったメタ分析では、性格が仕事満足度の4割を決定することがわかりました。感情的に安定していて、外向的で、愛想良く、良心的な人ほど、仕事に満足している(給料に関係なく)。そして、組織において、エンゲージメントを下げる最も大きな要因は、無能なリーダーシップでした。

お金とモチベーション、非常に面白い分野だと思います。

参照
https://hbr.org/2013/04/does-money-really-affect-motiv
posted by ヤス at 07:42| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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