2022年03月26日

デジタルヘルスにおける人間中心の設計

テクノロジーを健康のために使っていく「デジタルヘルス」。この研究と実践は世界中で活発になってきています。イギリスでもNHSデジタルという組織が出き、デジタルヘルスをどんどん進めていっています。デジタルヘルスのツールを作る中で、大事なのが人間中心の設計を提供することです。仕組みがあっても、使えなければ意味がありません。その意味でユーザーに対していかにフレンドリーにするのかが大事です。

人間中心の設計のための6原則が紹介されていました。

1. デザインは、ユーザー、タスク、環境に対する明確な理解に基づいて行われる。

この原則を実現するためには、サービスを利用するユーザーを対象に、観察的・探索的なユーザー調査を行い、サービスを利用する場所やタスク、目的を明らかにする必要があります。

ISO 9241-210(国際標準化機構が制定するインタラクティブシステムの規格)では、ユーザーを製品やサービスを利用する人だけでなく、その利用によって直接的、間接的に影響を受ける可能性のある人たちとも表現しています。これらのグループを特定し、そのニーズを発見する必要があります。ユーザーのニーズのきちんと理解せずにシステムを構築することは、失敗の原因の一つです。

ISO 9241-210では「ユーザー中心設計」の代わりに「人間中心設計」という言葉を使い、「一般的にユーザーと考えられている人だけでなく、多くの利害関係者への影響に対処する」ことも強調しています。これは、ユーザーや顧客となる人たちだけでなく、すべてのステークホルダー、そしてサービスの運営に関わる人たちに注意を向けるサービスデザイン思考を意識しています。

イギリスのNHSの第一原則「NHSは、すべての人が利用できる包括的なサービスを提供する」は、人間中心のデザインを意味しています。この原則では、医療サービスのデザインにおける公平性が特に強調されています。私たちは、健康の向上が遅れている社会のグループやセクション(社会的弱者と呼ばれる人たちなど)に特に注意を払わなければならないと記されています。公平性は、最も影響を受けるユーザーグループの声に積極的に耳を傾け、彼らが必要とするサポートを提供することによってのみ達成することができます。


2. 設計と開発を通じてユーザーが参加する

ユーザーリサーチは最初に一度だけ行えばいいというものではありません。デザインから稼働、そしてサービスのライフサイクルを通じて、ユーザーを巻き込まなければなりません。

3. デザインは、ユーザー中心の評価によって改良される

ユーザー調査の結果がデザインに影響を与えなければ、ユーザー調査の意味はほとんどありません。


4. プロセスは反復的である

デザインはユーザー中心の評価によって改良されるものであり、そのプロセスは反復されるべきです。そのためにも、何かを開発する際には、頻繁なユーザーリサーチセッションを計画する必要があります。こうしたユーザーフィードバックを繰り返すことで、不確実性を徐々に排除し、リスクを軽減しています。

5. ユーザーの体験全体を考慮した設計

これは単に「使いやすさ」を意味するだけではなく、ユーザーが体験するすべての要素を考慮します。どのようなルートを経てツールを使うのか?ヘルプデスクにアクセスするのか?そしてそれはユーザーの体験にどのような影響を与えるのか?長期間の使用による影響は?ユーザーは以前のシステムや他のシステムの知識を持って私たちのサービスを利用するのか?

6. デザインチームには学際的なスキルや視点を含む
「デザイン・設計」は「デザイナー・設計者」という肩書きを持つ人たちだけのものではありません。デザインプロセスで役割を担うチーム全員の関心事なのです。マシュー・サイードは、著書『Rebel ideas』の中で、認知的多様性と人口動態的多様性について語り、個人がいかに複雑な問題を自分一人だけで解決できないかを説明しています。同じような経歴や信条を持つ人たちで構成された均質なチームでは、問題空間全体をカバーすることはできないのです。

ISO 9241-210規格では、チームメンバーに、他の分野の事柄をより認識するように求めています。NHSデジタルでは、テクニカルアーキテクトとサービスデザイナーが協力して問題を解決することが主流になりつつあります。

今後デジタルヘルスが進むにつれて、こうした原則はフレームワークはますます必要になってくると考えられます。



参照
https://digital.nhs.uk/blog/design-matters/2022/how-a-20-year-old-standard-is-still-relevant-today
posted by ヤス at 00:23| Comment(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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