2024年01月07日

責任ある研究とイノベーションの枠組み

責任ある研究とイノベーション(Responsible Research and Innovation (RRI))とは、社会的に望ましく、公共の利益のために行われる科学とイノベーションを促進しようとするプロセスのことを言う。イノベーションには疑問やジレンマが伴うことがあり、目的や動機があいまいであったり、その影響が予測できないことがある。

世界一流エンジニアの思考法

RRIは、オープンで包括的かつタイムリーな方法で、イノベーションのこうした側面を探求するためのプロセスやスペースを提供することを目的とする。「集団的責任」という概念があり、つまり、資金提供者、研究者、利害関係者、そして一般市民すべてが重要な役割を担っていると考える。これには、リスクや規制について考えることも含まれるが、それ以上に集団的責任が重要である。

UKRI(イギリス研究・イノベーション機構)は公的研究助成機関であり、彼らの活動と助成する研究が、RRIの原則に沿ったものであり、倫理的かつ責任ある方法で社会に価値を生み出すものであることを保証する責任がある。

UKRI(イギリス研究・イノベーション機構)は、RRIをどのように研究とイノベーションのプロセスに組み込むかについて、杓子定規であってはならないと考える。研究者の中には、すでにこの課題に取り組んでいる人もいる。また、研究分野によって異なるアプローチが必要なことも認識している。詳細な検討は時期尚早であったり、不相応であったりする場合もある。ある研究分野では、RRIのアプローチが強く推奨されたり、要求されることさえある。したがって、すべての研究者が、以下に示すAREAアプローチに従って、RRIの原則を認識し、その原則に取り組むことを示すことを推奨する。

予測、反省、関与、行動(Anticipate, reflect, engage, act:AREA)
予測
意図的か否かにかかわらず、生じうる影響を記述し、分析する。予測するのではなく、起こりうる影響(経済的、社会的、環境的な影響など)や、そうでなければ明らかにされず、ほとんど議論されない可能性のある影響の探求を支援する。

反省(振り返る)
研究の目的、動機、潜在的な意味合いを、関連する不確実性、無知な領域、仮定、枠組み、疑問、ジレンマ、社会的変容とともに振り返る。

関与
そのようなビジョン、影響、疑問を、より広範な審議、対話、関与、討論に、包括的な方法で開放する。

行動
これらのプロセスを用いて、研究やイノベーションのプロセス自体の方向性や軌道に影響を与える。

失敗の科学

AREAの枠組みを実現するために必要なスキルの中には、私たちのコミュニティにとって馴染みのないものもあるだろう。RRIが有意義な形で行われるためには、私たちや研究者が、他の学問分野や専門領域とのパートナーシップを育み、促進し、これらのスキルを開発し、前進させるためのトレーニングを促進することが重要。これには、社会科学者、環境科学者、倫理学者、エンゲージメント実践者を巻き込んだ統合的アプローチや共同研究が必要な場面もあるだろう。

支援
AREAアプローチを支援するために、UKRIは以下を行う:

RRIの能力を開発するために、他の学問分野や専門領域との幅広い交流を奨励し、より広い研究コミュニティにおける責任ある研究とイノベーションのアプローチに関する考察、理解、訓練を促進する。
RRIを研究努力の不可欠な一部として探求しようとする研究助成提案への助成要請を歓迎する。
私たちの知識の限界にある新しい研究から生じる、社会、環境、倫理、規制上の潜在的な課題に常に注意を払い、早い段階から議論を広げるよう努める。
RRIが、提案の評価を含め、私たちの戦略的思考と資金調達計画において重要であることを確実にする。
新しい研究分野に関連する新たな問題や機会が明らかになり次第、政府や規制当局の政策立案者に注意を促す。

期待
UKRIは研究コミュニティに以下のことを期待する:

倫理的かつ合法的な方法で研究を行うこと
研究を実施する個人的・集団的な動機を振り返る。
研究の倫理的・社会的影響、意味合い、価値について予測、考察、関与し、適切な場合には一般市民やその他の利害関係者と対話し、他者の意見を尊重する。
RRIの過程で明らかになった懸念、ジレンマ、機会について、UKRIと研究組織に報告する。
UKRIから資金提供を受けている研究機関に対し、RRIの原則とその推進における役割を認識し、尊重する。

参照
https://www.ukri.org/who-we-are/epsrc/our-policies-and-standards/framework-for-responsible-innovation/
posted by ヤス at 07:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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