2024年12月05日

低・中所得国における重度精神疾患患者のリカバリー

新たなスコープ・レビューの結果、中低所得国(LMICs)における重度精神疾患(SMI)からのリカバリーは、社会的関係や文化的背景の影響を受けた、個人的で非直線的な道のりとして考えられていることが明らかになった。自立が強調される高所得国(HICs)とは異なり、LMICsにおけるリカバリーでは、社会的つながり、家族支援、スピリチュアリティが、リカバリーの促進要因であると同時に指標としても重要であることが強調されている。この知見は、LMIC特有の社会文化的枠組みの中でリカバリーを理解する必要性を強調するものであり、地域のニーズや文脈的要因がリカバリー体験を大きく形成していることを示唆している。


中低所得国(LMICs)における復興の概念化に関する主な知見は、いくつかの重要な側面を浮き彫りにしている:

1. 個人的な旅路:リカバリーとは、連続性に沿って起こる個人的な旅路であり、非直線的で複雑なプロセスであることが強調されている。この視点は、高所得国(HICs)の見解とも一致するが、LMICsに特有の文脈的要因も反映している。

2. 社会的関係: リカバリーの促進要因として社会的関係が重視されている。自立と自律が優先されがちなHICsとは異なり、LMICsにおけるリカバリーは、社会的なつながりや相互依存とより密接に関連している , .

3. 家族支援の役割: LMICs では、HICs と比較して、家族の支援がリカバリープロセスにおいてより大きな役割を果たす。家族の関与は、リカバリーを促進する上で極めて重要であると考えられている。

4. スピリチュアリティ: LMICsでは、スピリチュアリティがリカバリーの促進要因であると同時に、リカバリーの指標でもある。これは、リカバリーの文脈でスピリチュアリティがあまり考慮されないHICsとは対照的である。LMICsでは、スピリチュアルな領域との相互依存がリカバリープロセスの重要な側面とみなされている。

5. 文化的背景: このレビューでは、LMICsの文化的・社会政治的文脈の中でリカバリーを理解することの重要性が強調されている。これには、現地のニーズや文脈上の問題がどのようにリカバリー体験を形成するかを認識することも含まれる。

全体として、調査結果は、HICsのリカバリーの概念と共通点がある一方で、LMICsにおけるリカバリーの理解は独特であり、リカバリーと病気に関する文化的概念化を考慮した、より包括的なアプローチが必要であることを示唆している。

研究者や現場で働く人はどうしたらいいか?LMICsにおけるSMIからのリカバリーに影響を与える独自の文化的・文脈的要因を認識し、統合することの重要性を考えること。研究者は、リカバリーに関する各人々の話や現地の視点を捉える質的研究を優先すべきであり、実践者は、社会的つながり、家族の関与、スピリチュアリティをリカバリープロセスの重要な要素として強調するホリスティックなアプローチを採用すべきである。このような理解は、LMICsに住む個人の特定のニーズに対応した、より文化的に適切で効果的なリカバリー志向のサービスの開発につながり、最終的にはSMIとともに生きる人々に提供される支援を強化することになる。

参照
https://bmjopen.bmj.com/content/11/3/e045005.long
posted by ヤス at 18:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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