2025年09月16日

【文化と心のケア】「心の治療」はどこの国でも同じじゃない?

文化によって、心の悩みの感じ方も治し方も変わる?

たとえば、あなたが「最近、気分が沈むなぁ」と思ったとします。その気持ちを、誰かにどう伝えるか。病院に行くか、友達に話すか、神社やお寺に行くか――。

この選択は、どこに住んでいるか、どんな文化で育ったかによって、大きく変わってきます。
この記事は、「心の治療(=精神療法)」がどのように文化によって影響を受けるか、そして治療者はどんな「文化的配慮(=文化的コンピテンス)」を持つべきかについて考察したものです。

文化的コンピテンスってなに?
簡単にいうと、「いろんな文化の違いを理解して、ちゃんと対応できる力」のこと。
心の治療を行うには、次の3つの視点がとても大事です。

@ 実践的な視点
・言葉の壁をどう超えるか
・その人がどうやって気持ちを表現するかを理解する
A 理論的な視点
・どんな方法で心の傷を癒すのが、その人に合っているか?
・治療の「仕組み」自体を文化に合わせて見直す必要があるかも
B 倫理的な視点
・「正しい生き方」「良い人間」って文化によって違うよね?
・無意識のうちに、患者さんに別の価値観を押し付けてない?

心の治療は「欧米スタイル」だけじゃない
多くの精神療法は、西洋(とくにアメリカ)で発展してきました。そこでは、「自分らしく生きよう」「自立しよう」といった個人主義がベースになっています。
でも、アジアやアフリカ、ラテンアメリカなどには、「家族や地域と調和して生きる」ことを大事にする共同体的な文化もたくさんあります。

つまり…
治療の方法も、「その人がどんな文化の中で生きているか」に合わせて変える必要があるんです。


言葉の使い方ひとつで効果が変わる?
精神療法では「比喩(メタファー)」もよく使われます。たとえば、
* 「心の風邪」
* 「壊れた脳」
* 「心の中のトゲ」
でも、文化によっては、こういった言い回しがしっくりこないことも。
また、ある国では「ストレス」と呼ばれる症状が、別の国では「魂が抜けた感じ」と表現されたりするんです。

治療は“文化との対話”
この記事では、「文化に合った治療をする」というだけでなく、
治療自体が、その人と文化の関係を見つめ直す“対話の場”にもなる
と述べられています。

たとえば、仏教やマインドフルネス、儒教的な考え方などを取り入れた新しい療法も生まれてきており、文化を活かしたケアの方法はどんどん広がっているんです。

まとめ:心のケアに「正解」はひとつじゃない
心の悩みは、世界中どこでもあるもの。でも、それを「どう受け止め、どう癒すか」は、文化によってまったく違います。
だからこそ、治療する側も、
* 「どんな価値観で生きてきた人か?」
* 「その人の中にある“常識”って何か?」
を理解しようとする姿勢がとても大切です。

最後にひとこと
心のケアにおいて、文化の違いを“壁”にするのではなく、“架け橋”にしていくことが、これからの時代にますます重要になっていくはずです。
あなた自身や、あなたの大切な人の「心の声」を聴くとき、文化や背景の違いにも少し目を向けてみてください。

参照:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/wps.21340
posted by ヤス at 16:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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