2012年05月31日

アウェアネス・コンテニアム(気付きの連続体)

今日のセラピー、グループトレーニングでは、ゲシュタルトセラピーの基本とも言える気付き(アウェアネス)に関するワーク、「気づきの連続体(アウェアネス・コンテニアム)」という実習をしました。

これは、2人ペアを組み、交互に「私は〜に気づいています」や「私は〜を見ています/聞いています/感じています」といった表現で自分の「気づき」を交互にシェアしていきます。

ここで注意したいのが自分の気づきがどの範囲にあるかということ。

ゲシュタルトでは気づきには3つの範囲があるといいます。

1.内的ゾーン(内的な感覚や感情、体感覚、その他内的に作っている五感情報)

2.中間ゾーン(認知的機能。記憶や連想、妄想など)

3.外的ゾーン(外の世界と接触する部分。外的入ってくる五感情報。私たちが外の世界をどう認識するか、また私たちが取ろうとする行動もここに含まれる)


"Gestalt Therapy: 100 Key Points and Techniques" p.96 より

自分が発言したことがどのゾーンにあるのか、これに注意をすることで、自分の勝手な解釈や、思い込みに気づくことができます。

例えば、AさんとBさんがこの実習をして

A:私はあなたの眉間にしわがよったのに気づきました。

B:私はあなたの声のトーンが上がったのに気づきました。

A:私は少し申し訳ない気持ちを抱きました。

B:私は胸に熱い感覚を感じました。


この場合、あくまで仮説でしかありませんが、AさんはBさんの眉間のしわをみて、自分が何かBさんに不快なことをしたのかも、と感じ、それで申し訳なくなったのかもしれません。BさんはAさんの声のトーンから、AさんがBさんに怒っている、と解釈したのかもしれません。

いずれにしても本人の気づきのワークなので、本人が気づくことなのですが、このように相手の中で本当に起きていることと自分の勝手な解釈とを分けることはきわめて重要です。

特にカップルセラピーやファミリーセラピーにおいては、勝手な解釈や、憶測だらけでコミュニケーションが成り立っていることが少なくありません。「あいつがこうしたのは、こういう意味だ」といった具合に。

ゲシュタルトの創造者、フリッツ・パールズは「私たちが思っていることのほとんどは投影(プロジェクション)だ」と言っています。投影、わかりやすく言うと勝手な思い込み。

僕の場合、「話を聞いている人が、こうしたら、僕の話はおもしろくない」とか「僕には価値がない」といった思い込みや、「人とのつながりを維持していたい」といった願望、そういったものが心のどこかにあることに気づきました。

日本文化においては、察すること、気づくことは大事ですが、それが事実をベースにしたものか、そして、その気づきや察しが現実をありのままで見ることを邪魔して、その状況で不作用していないか、これを見極めることが大事だと感じました。

文化心理学を学びたいならこの本がオススメです;


ゲシュタルトに興味がある人は以下の本がオススメです;
ゲシュタルト療法―その理論と実際
ゲシュタルト療法バーベイティム

「心理学をしっかりと学びたいけど、時間がない、、、」という人には通信教育がオススメです。無料の資料請求はこちらからどうぞ;



参照
http://www.internet-of-the-mind.com/gestalt_psychology.html
http://www.selfgrowth.com/articles/Yarian2.html

以下のPDFファイル、おもしろそうなので今後見てみたいです。
"An introduction to Fritz Perls'dream interpretation techniques"
posted by ヤス at 12:18| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲシュタルト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月24日

競泳ではなく、シンクロ

さて、今日からまた夏学期のセラピーのトレーニングが始まりました。プラクティカムと呼ばれ、グループで集まって毎週ゲシュタルトセラピーのトレーニングを受けます。僕もこれで3学期目になります。

毎学期の最初はみなそれぞれがその学期、意識したい意図(インテンション)をグループに伝えます。

僕は1学期目からそうなのですが、「競泳者ではなく、シンクロスイマーになる」というのが意図です。

いかに速く、いかに遠くへ泳ぐか、という競泳者ではなく、その場にいて、湧き出る感覚を表現するシンクロスイマーという比喩です。

人生のほとんどが競泳者スタイルで育ってきたと思います。しかし、ゲシュタルトセラピーに出会い、そして、このプラクティカムの場をもらい、その場にいて、そこで感じる感覚に耳を傾けることの大事さ、また、感情を感じることの大事さを学びました。

そういった意味もこめて、この意図にしました。また、良い学期にしていきたいです♪

ゲシュタルトに興味がある方は、授業の必須図書でもあった以下の本がオススメです;
ゲシュタルト療法―その理論と実際
ゲシュタルト療法バーベイティム

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2012年05月14日

「今ここ」の感情体験

ゲシュタルト療法では「今ここ(here-and-now)」を重視します。これは伝統的なセラピーと大きく異なります。

伝統的セラピーは、現在の症状を過去の出来事で分析していきます。しかし、ゲシュタルト療法では過去の出来事が現在に影響しているのではなく、それを現在のあなたが解釈していて、それがあなたに影響している、という立場を取ります。だから、セラピーで実施するワークは感情体験を伴うものが多いです。

●未解決の行為をセッションの場で、解決してもらったり、(「あの時、こうすればよかった」という体験を再現して、その行動を実際にしてみる)

●言葉に適切なジェスチャーを当てはめてその動きを感じてもらったり、またはその反対でジェスチャーに適当な言葉を当てはめてもらったり、

●または単純に感情を伴う言葉を繰り返してもらったり、

●話した言葉とは、正反対の言葉を言ってもらったり、

●ジェスチャーを大げさに表現してもらったり、

●MUST(〜べき、なければ)の自分と、WANT(〜したい)の自分で対話してもらったり、


といったワークを実施します。

僕の体験を話すと、言葉だけの分析よりも、実際の感情体験を交えた方が圧倒的にセラピーの効果性が高まります。というのも、僕が思うに、私たちの人生は言葉上ではなく、感情体験の中で起きているからだと考えられます。

今後ももっともっとトレーニングを積んでいって、学んで行こうと思います。

ゲシュタルトを学ぶには以下の本がオススメです。
ゲシュタルト療法―その理論と実際
ゲシュタルト療法バーベイティム
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全体を見ること

僕が現在インターンをしているカウンセリングセンターはゲシュタルト療法に重きを置いています。

「ゲシュタルト」とは、ドイツ語で、他の言語にぴったりとくる訳語がないらしいのですが、最も当てはまる言葉が、「全体性」だそうです。ゲシュタルト療法では「全体は、個々の総和よりも大きい」と言います(関連記事はこちら)。

例えば、それ以前の心理療法といえば、セラピストがクライアントの症状を言葉で聴いて、そこから症状にどういった原因が影響しているのかをセラピストが考えていきます。この考察に使われるのは、クライアントの言葉です。

しかし、ゲシュタルトでは全体を見ます。つまり、その時のクライアントのボディランゲージは、声のトーンはどうだったか、などです。

「今、●●と言ったときに、ちょっと手で自分を守るようなジェスチャーをしましたが、それは何をしているのですか?それをすると、またはしないと、どう感じますか?」

「今、●●と言ったときに、声のトーンが変わりましたが、何が起きているんですか?」


こうした問いかけから気付きが生まれ、それがクライアントさんの心の様子をより理解する手助けとなります。

ゲシュタルト療法に興味がある方は以下の本がオススメです;
ゲシュタルト療法―その理論と実際
ゲシュタルト療法バーベイティム

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2012年04月13日

現場で何を感じたのか

僕のセラピーの監督者は75歳の女性で、本当にセラピーの経験が豊富で毎回、指導のたび、目からウロコの経験をしております。彼女はゲシュタルトセラピーの大家で、過去のゲシュタルトの大家であるバージニア・サティアのような雰囲気を持っています。


だから、毎週のセラピー指導の時間においても、本当に楽に時間を過ごすことが出来ます。これまで彼女に2学期間も見てもらっていますが、過去のテープなどを聴きながら、彼女が最も頻繁に私にする質問を見つけました。この質問、一回の指導(50分)中にだいたい2回ほど聴かれます。「その時、あなたはどう感じたの?」という質問です。


この質問のおかげで、私自身、セラピストとしてクライアントと接してどういった感覚を感じていたのか、これを明確にし、そこから何らかの気付きを得ています。

特定の空間、プロセスの中で、何を感じたのか、科学にはできないことかもしれませんが、自分を知る上で本当に大事なことだと思います。

ゲシュタルト療法の理解にはこれがオススメです。

posted by ヤス at 12:14| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲシュタルト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする