2015年01月12日

スポーツ心理学の定義

スポーツ心理学の歴史は比較的浅いですが、その創設者は誰かと聞かれたら多くのアメリカ人がコールマン・グリフィス(Coleman Griffith)だと答えるでしょう。


グリフィスはスポーツ心理学の最初の実験室を作り、北アメリカで最初のコーチングスクールを始めた人です。この分野の古典的な書物"Psychology of Coaching""Psychology of Athletes"の著者でもあります。

スポーツ心理学の定義としては1979年にジル(Gill)が述べた「スポーツという状況においての、人とその行動を科学的に研究し、またその知識を実践すること」だと言えます。簡単に言うと、競技パフォーマンスやトレーニングの向上を図るために心理的なものを成長させていこうという学問です。

しかし、なぜスポーツ心理学の研究が重要なのか?

マーフィ(Murphy)が言うようにアメリカをはじめ世界でスポーツの分野は大きな変化をとげています。テレビ放送やそれらに伴うスポンサーの登場によって選手や組織にとって、お金が彼らの焦点になってきて、スポーツでの勝ち負けがさらに大きな価値のかかったものになってきたからだと言えます。

それに伴い、選手やチームの経済価値が高まり、負けないために、また勝つためにどうしたらいいかという研究が進み心理的な理由もその中の大きな理由であることが挙がります。

オリンピックで金メダルを取る人とそのレースにさえ出場できない人の差は1000分の1秒差だと言われます。こういった少しの差をかけた勝負の世界においてアスリートはピークパフォーマンスを発揮できる術を(時には非合法な形であっても)探してきました(Suinn)。

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そのニーズに応えるようにスポーツ心理学、特にパフォーマンス発揮力の向上のための心理学が開発されていきました。


参照
THE EFFECTS OF HYPNOSIS ON FLOW AND IN THE PERFORMANCE. ENHANCEMENT OF BASKETBALL SKILLS. By. BRIAN L. VASQUEZ
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催眠はリラクゼーションとイメトレの合わせ物

アスリートも、他の分野の人たちと同じように催眠について様々な誤解を抱いていることがあります。催眠療法士にとってこういった誤解について話すこと、また催眠によって、どういった変化がどこまで見られるのかこれも言及しておく必要があります。


有効な方法として、催眠とはリラクゼーションとイメージトレーニングの合わせた物だと説明することができます。リラクゼーションもイメージトレーニングも多くのアスリートにとって身近なものだからです。

また催眠導入についてもスポーツの場合、考慮すべきことがあります。リラクゼーション的な導入をするのか、それともその他の効果にちなんだ導入にしたいのか。ボールを使った競技に関わるアスリートもいますし、瞬発力を必要とするアスリートもいます。

100メートル走の選手であれば、リラックスを狙うよりも、「用意!」といった号令のときに100%の力がすぐに出せる準備が出来ている、そういった効果を狙った催眠を求めるでしょう。

催眠療法士は、自分が担当するアスリートがどういったスポーツに関わっていて、プレーする環境はどういったもので、どういった催眠効果を期待しているのか、正確に調査しておく必要があります。

そして催眠のフィードバックをアスリートから得て、それを含めてより効果的な催眠を構築する必要があります。

また最近では多くのアスリートが自分のプレーを映像で見ることに慣れているので、これを利用して、催眠では彼らに大きなスクリーンをイメージしてもらい、そこで自分のプレーを見てもらったり、習得したいスキルを自分が上手にこなしているシーンを見てもらうことなどは非常に効果的です。

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参照
Hypnotherapeutic Techniques: Second Edition
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2015年01月11日

フロー、ゾーン、ゴルジ腱器官の解放

1990年、チクセントミハイ(Csikszentmihalyi)は「フロー」を唱え、それを「他の事が気にならないほどあることに集中している状態」と定義しています。またその特徴として8つの構成要素を挙げています。

以下、ウィキペディアより。

1.明確な目的(予想と法則が認識できる)

2.専念と集中、注意力の限定された分野への高度な集中。(活動に従事する人が、それに深く集中し探求する機会を持つ)

3.自己に対する意識の感覚の低下、活動と意識の融合。

4.時間感覚のゆがみ - 時間への我々の主体的な経験の変更

5.直接的で即座な反応(活動の過程における成功と失敗が明確で、行動が必要に応じて調節される)

6.能力の水準と難易度とのバランス(活動が易しすぎず、難しすぎない)

7.状況や活動を自分で制御している感覚。

8.活動に本質的な価値がある、だから活動が苦にならない。


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また別の心理学者ハニン(Hanin, 1978, 1999)は「ゾーン」というコンセプトを打ち出し「それぞれのアスリートにはゾーンがあり、そこに入ったら最高のパフォーマンスができる」と提唱しました。ハニンの実験ではゾーンに入るアスリートはフローも体験することを示しました。

またハニンは、ゾーンの感覚は催眠でなくても体感することができると言いますが、後にバラバズ(Barabasz)が示すようにゾーンは自主的な催眠だとも言えるでしょう。

別の心理学者、モーガン(Morgan, 1996)は「ハニンの理論説明に催眠のことは言われてないが、催眠による介入の可能性があることは明らかだ」としています。

ウネスタール(Unestahl)もハニンと同じような説を立てており、両者が言うには「最高のパフォーマンスは感情状態(緊張/興奮レベル)が最適なときに起きる」と述べています。2人の説の違いはウネスタールはベストパフォーマンスを体験した選手はその体験のことを忘れてしまうと言い、ハニンは思い出せる、と言っている点です。

ウネスタールの説、忘れることが起きるのであれば、ピークパフォーマンスと催眠はより近いと言えます(催眠でも催眠中の記憶がなくなることがあるので)。


またウネスタールの唱える理想のパフォーマンス状態とチクセントミハイのフローの共通点は時間感覚の変化と自分から離れた感覚(ディソシエーション)といったところにあります。この2点も催眠に含まれる現象です。

ゴートン(Gorton)は人間の肉体的力の発揮を妨げるのは無意識的な制御メカニズムだとしました。ゴートンは「通常の状態ではアクセスすることができない筋力のたくわえが人間にはある」と信じていました。

イカリ(Ikali)やステインハウス(Steinhaus)は「アルコール、ドラッグ、大きな音、そして催眠といったことがその筋肉のたくわえへアクセスするのを邪魔する制御メカニズムを取り払ってくれる」と述べました。

そして1959年の自身の論文の中でゴートンは「催眠が制御システムをはずしてくれ最高の肉体力発揮につながる」と書いています。

心理学者アリード・バラバズ(Arreed Barabasz)はこれらをより特定にしていき、具体的に「ゴルジ腱器官」の抑制に自己催眠がいいのではないかと考えています。ゴルジ腱器官とは、筋肉緊張に対して起きる筋肉緩和を担当していて、これによってケガを防ぐことができる、その器官のこと。

バラバズ自身が、自己催眠をし、ウエイトリフティングに挑戦したところ、自己催眠後は過去の最高重量より16%重いものを持ち上げたそうです。しかしながら、その後、筋肉に負傷が見つかったそうです。この分野への催眠利用について更なる研究が必要と記しました。

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参照
Hypnotherapeutic Techniques: Second Edition
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2015年01月08日

フロー状態は一種の催眠状態である

スポーツ心理学において催眠がパフォーマンス発揮の向上につながると理論的、また実験的に説明した記事はたくさん出されてきました。それらの中でいわれていることはベストパフォーマンスはある心の状態、その強さとその質によってもたらされると書かれています。

そしてそういった心の状態は1992年にアーネスト・ヒルガード(Ernest Hilgard)が説いた「ネオディソシエーション理論(neodissociation theory)」や同じ年にエリカ・フロム(Erika Fromm)が説いた「変性状態理論(altered state theory)」と似ています。

これらの理論では特別な変性した状態は、通常の私達が起きている時の状態とは異なり、認知構造の再構築や、興奮、知覚、注意、認知、そして記憶において何らかの変化がある状態のことを言います。

こういった「ネオディソシエートした状態」「変性状態」のことをスポーツ心理学ではウネスタール(Unestahl)が「理想のパフォーマンス状態(ideal performance state)」と呼んだりチクセントミハイ(Csikszentmihalyi)が「フロー(flow)」と呼んだりコーン(Cohn)が「ピークパフォーマンス(Peak Performance)」と呼んだりしています。


こういった人たちの定義によるとフローを経験しているアスリートは催眠を経験していると言えます。

「理想のパフォーマンス状態」、「フロー」、「ピークパフォーマンス」等といった言葉で述べられている状態はヒルガードやフロムの言うディソシエート、つまり、自分から離れたような感覚があり、いつもとは異なる変性な状態を感じていて、そのほか、リラックスしながらも高いレベルでの自信を感じている、といった共通点があります。

体が勝手に動いて、自分の集中はプレーのみに向けられている。また、ベストプレーをしているアスリートの頭の中では的確なイメージング、緊張/興奮度コントロール、集中といった催眠にも欠かせない現象が起きているとレポートされています。


参照
Hypnotherapeutic Techniques: Second Edition
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2015年01月06日

エリートアスリートに対して催眠ができる事

タイガー・ウッズをはじめ、ニック・ドハティ、アンディ・コール、ジャージー・デュデック、ネイサン・レッドモンド、そしてベン・コーヘンといった一流のアスリートが試合の準備や試合でのパフォーマンス発揮に催眠を使ったと報告しています。


催眠は医学や歯科学、心理学などといった幅広い分野で使われ、個人の感覚、思考、感情、そして行動に大きな変化をもたらす事のできる効果的なテクニックです。こういったポジティブな効果があるにも関わらずステージショー等のためか、催眠についてはネガティブな様々な誤解や噂がつきまといます。参加者は自分の意思に関わらず変わった行為をさせられる、などと考える人も少なくありません。

では、催眠とは何か?


催眠とはたいていの場合、ビジュアライゼーション、リラクゼーション、そして催眠暗示(その人がどう考えたいか、感じたいか、行動したいかを暗示する言葉や比喩)といった過程を組み合わせた物で、個人やグループに対して変化を作ります。

例えば、長い間ケガをしていてそこから復帰したばかりのアスリートがまた走る事に対して自信がないケース。催眠暗示はたいてい、催眠誘導とイメージとリラックスなどによる催眠深化を経た後に与えられます。一度、クライアントがリラックスすると催眠暗示は長期記憶に入っていきやすく、長期記憶に入れば、変化がより可能になります。

自己催眠ではクライアントは自らこういった状態に入って行きます。

しかし、催眠って本当に効くのか?

科学的な実験結果が報告するには例えば、医学や歯科学においての痛み軽減、心臓手術や抜歯を麻酔なしでしたものがあります。

スポーツ心理学ではスタフォードシャー大学のジェイミー・バーカー博士とマーク・ジョーンズ博士(Jamie Barker & Marc Jones)がスポーツでのパフォーマンスに催眠を使った実験をしました。この実験でわかったのはアスリートがベストパフォーマンスをするために適切な心の状態でいるために催眠が有効だということでした(またその結果、参加したアスリートは実際にベストな結果を出しました)

パフォーマンスの準備段階で催眠はリラックス、つまり筋肉緩和と集中力アップために使われました。試合前と試合中にベストパフォーマンスに関する感情を催眠で暗示しました。こういったことがモチベーションと自信を高め、緊張度を下げたのでは、と考えられています。

※リサーチやアンケートには国内No. 1アンケートツール、クエスタントがオススメです。僕も使っていますが、大量メール機能もあり非常に実践的です。無料版だけでもかなり使えます。


参照
http://www.bps.org.uk/news/role-hypnosis-elite-sport
posted by ヤス at 23:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 催眠 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする