2016年09月04日

ショーフェリ教授のワーク・エンゲイジメントに関する講義1

伝統的に心理学はネガティブな症状を見てきました。これらは4Dと言われます。これは職業心理学や組織心理学の世界でも同じことが言えます。

Disease(病気)
Disorder(疾患)
Damage(損傷)
Disability(障害)


(Disease とDisorder の違い)


つまり健康心理学といった分野がありますが、これは基本的には病気心理学だと言えます。

マイヤーズ(Myers)が2000年に数えたところによるとネガティブなものを扱う学術記事とポジティブなものを扱う学術記事との比は17:1だったそうです。


ネガティブ
怒り…8072
不安…57800
うつ…70856

ポジティブ
喜び…851
幸せ…2958
満足…5701


また2011年にPsychLitで調べた別の調査では、バーンアウトとエンゲイジメントに関する記事の比率が32:1だったそうです(3554 : 111)。したがって、ポジティブ心理学はまだまだ開発が必要だと言えます。


伝統的に職業健康心理学の分野では以下のようなものが扱われてきました。

自己、攻撃性、アルコール中毒、反社会的行動、バーンアウト、心臓病、葛藤、差別、薬物乱用、感情の不一致、ハラスメント、無礼な行為、怪我、職確保、モラルハラスメント、筋骨格障害、肥満、PTSD、心体的不満、睡眠障害、仕事中毒、離職率など。

しかしポジティブ職業健康心理学では違ったものを見ていきます。ここでは従業員の健康、十全、そして、機能をいかにベストにするかを科学的に学びます。そして、従業員と組織が繁栄するための要素を発見し、促進することを狙いとします。

これは時代の流れに非常に合っていると言えます。現在、多くの企業は以下のような変化に直面しています。そして、このような変化の中でより大事になってくるのは従業員の心の資本(mental capital)です。

安定から継続的な変化へ
単一文化から多様性へ
早期リタイヤから遅いリタイヤへ
従業員満足から従業員モチベーションへ
縦の階層から水平なネットワークへ
外的な監視から自己コントロールへ
組織への依存から自己責任へ
決まった労働パターンから境界の無い世界へ


このように心の資本がより重要になってきています。だから組織は単に健康な労働力が欲しいのではなく、与えられたこと以上のことをするようなやる気のある労働力を求めています。つまり、エンゲイジメントが高い従業員が求められているのです。

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2016年08月28日

仕事パフォーマンスとポジティブ心理学

ビジネスを長期的に成長させるには、人材開発と人材が健康であることが欠かせません。近年の研究では、ポジティブな感情がより強いモチベーション、仕事での充実感、ストレス対処に有効だと出ています。そこでどうしたら仕事での感情をポジティブにしたり、パフォーマンス発揮できるのか研究をベースにご紹介します。

1.強み、美徳、自己決断
仕事に集中して取り組み、内的なモチベーションがある人は、パフォーマンスも高いと報告されています。自己決断をさせるようなアプローチを取ることで、労働者は自由と自主性を持ち、仕事により集中できます。これによって自分の強みを発見したり、それを使えたりします。フロー状態をより得やすいとも言えます。


2.感情知性
感情知性とは自己や他人の中の感情を特定したり、自分の感情をコントロールする能力のことです。感情知性が高いと、自分や他人の性格を察することができ、よりよく交流することができます。また、ストレスや怒りといった非生産的な感情によく対処でき、楽観性、希望、クリエイティビティーなどといったポジティブな感情を使えるようになります。したがって、モチベーションの維持や潜在能力の発揮につながります。


3.心理的資源とポジティブな組織行動
ポジティブな組織行動に関する研究が、仕事への満足とパフォーマンスに関する4要素として挙げたのが、自己効力感、希望、楽観性、そして、レジリエンスです。これらのレベルが高いとより自信があり、ストレスや逆境をより上手に対処でき、モチベーションも高く、成長する可能性も高くなります。これらはポジティブな心理的資源だと言われています。


4.革新と変化のレベル
健康な組織文化とは、組織の価値観と、従業員の価値観が合っていることです。例えば、変化と安定の二つの極に対して、組織はどれくらい変化/安定を求めているのかを知ることは重要です。そして、労働者がどれほど変化/安定を求めているのか。ここがマッチすると労働者はよりポジティブに働き、そして、自分の役割に安定を感じます。


5.美徳のある組織
経済が苦しい状況にある時、組織は誠実、信頼、尊敬の文化を養うことが大事だと言われます。ネガティブな感情や不信のある環境では、ポジティブな感情、地震、楽観、希望、レジリエンスのある環境と比べると、生産性は下がります。


従って、組織は、チャレンジで、計測でき、個人に取って価値のある目標、そして、現実的な達成方法を設定し、障害に打ち勝つことが必要です。強みを生かし、成長をすることで、ポジティブな心理的資源が集まり、仕事への満足感やパフォーマンスを高めることができます。


参照
http://blogs.psychcentral.com/positive-psychology/2011/11/5-ways-positive-psychology-can-improve-the-workplace/
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2016年08月20日

自主的なチームは生産性が30〜50%高い

自主的なチーム(self-directed work team)というのがあります。これは、従来のトップが方向性を決めるのではなくて、従業員にある程度の決定権を持たせて、計画や行動を決めさせるというものです。これを導入することによって、特にアメリカでは1990年代に多くの企業が生産性を高めました。ある専門家の分析では、この仕組みによって顧客に最も近い人や、現場の人がもっと決定権を持てるからだと述べています。


ビジネス誌『ビジネス・ウィーク』によると自主的なチームは、伝統的なチームよりも、平均して30〜50%生産性が高いと報告されています。その一部が以下です。

・AT&Tでは、オペレーターのサービス度が12%向上した。
・フェデックスでは、サービスでの過失が13%削減された。
・ジョンソン&ジョンソンでは、600万ドルの在庫削減が出来た。
・シェナンドア生命保険では、年間で業務が33%増えたにもかかわらず、20万ドルの人事に関する費用を削減できた。


自主的なチームの強みは何か?500社が参加した調査によると以下が挙げられました。

・質、生産性、サービスの向上
・柔軟性の増加
・業務コストの削減
・技術変化に素早く反応できる
・業務分類のシンプル化
・従業員の価値へよりよく対応できる
・組織への従業員コミットメントの増加
・良い人材の確保



では難しい点は何か?それは、そこまで従業員がコミットをしてくれるまでに、時間がかかるということです。従業員が自己マネジメントできるようになるまでには2〜5年かかると言われています。

またそれに向けた研修も欠かせません。単に問題解決力や決断力を身につけるだけではなく、マネジメントスキルも身につけないといけません。また、他のジャンルにいるチームメンバーの仕事も知らなければなりません。従って、仕事の2割の時間をこういった研修やトレーニングに使うケースも稀ではありません。


これを導入した3Mでは以下の5つが重視されています。

・顧客が最優先だという考えを養う。
・共通のビジョン、ミッションを意識し、役割と業務規律の理解を高める。
・決断し、計画を立て、問題を解決し、ミーティングを実施するために協働する力をつける。
・求められる結果を達成するために仕事の成果を向上させるよう権限を持つ。
・改善していくためにゴール設定と問題解決をする。




自主性の力を教えてくれる試みだと思いました。

参照
http://www.qualitydigest.com/magazine/1995/nov/article/self-directed-work-teams-competitive-advantage.html
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2015年09月03日

エンゲイジメントが高すぎるとどうなのか

社員のエンゲイジメントが高いほど、社員の健康、パフォーマンス、そして、会社に居たい思いが高まると出ています。しかし、エンゲイジメントが高ければいいことばかりなのでしょうか。一部の組織心理学者が述べています。


エンゲイジメントがパフォーマンスを決定する大事な要素であるのは確かですが、パフォーマンスには他の要素も影響します。例えば、最近のグーグルの調査では効果的なチームパフォーマンスには、オープンで安全なチーム文化、明確なゴール、強い目標意識が挙げられています。同じように研究では、リーダーの決断力が、エンゲイジメントよりも、組織のパフォーマンスに影響すると報告されています。例えば、スティーブ・ジョブズやジェフ・ベゾスといった、あまりヒューマンスキルがなく、感情知能が高くない人が、ずば抜けた決断力とビジョンで効果的な組織パフォーマンスを出すことがあります。


エンゲイジメントも高すぎると様々な問題につながるかもしれません。これは他の心理的要素と同じです。野心は強欲となり、自尊心はナルシズム、創造性は奇妙さになり得ます。

エンゲイジメントが高すぎるとどうなるのか。一部の組織心理学者は、現状満足してしまわないか、仕事中毒にさせてしまわないか、特定の性格の人だけがエンゲイジメントが高いという風に出てしまって不公平な判断がされていないか、ネガティブ思考の利点を無視していないか、という点を心配しています。


しかしながら、エンゲイジメントのそもそもの記事を見ると、そうしたこともきちんと調査されているようででした。ですので、対論としては弱いかもしれませんが、エンゲイジメントの問題点を考えるには面白い記事だと思いました。

参照
https://hbr.org/2016/08/the-dark-side-of-high-employee-engagement
posted by ヤス at 18:02| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月03日

自己効力感がパフォーマンスに影響する

ちびっこきかんしゃだいじょうぶ (The Little Engine That Cloud)」という本をご存知でしょうか?

その本の一部を抜粋すると「多くの大きな機関車も到達できなかった山のてっぺんに近づくにつれて、ちびっこ機関車の速度は落ちていきました。それでもちびっこ機関車は『僕にはできるんだ』『僕には出来るんだ』と言い続けました。やがてその勇気によっててっぺんに到達し、そしててっぺんから下って行く時には『僕はできると思っていたんだ』『僕はできると思っていたんだ』と自分を祝福しながら下っていきました」

ちびっこ機関車は信じる事の力と、それがパフォーマンスに与える影響を知っていたのです。




自己効力感とパフォーマンス

自己効力感とは基本的に自己信頼と同等のものです。つまり、しなければならない事をできる能力が自分にはあるんだという信念であり、状況に立ち向かうために持っているスキルを活用できるという信念です。

じゃあ、自己効力感とパフォーマンスの関係性、またピークパフォーマンスをもたらすとされる感情とモチベーションは、どのように関係し合っているのでしょうか?

研究でわかっていることは(認知的、感情的、動機的な統制器官を通しての)効力感に関する信念は人がどう感じるか、どれだけの努力を行動に投資するか、困難にどれだけ耐える事が出来るか、逆境からどれだけ立ち上がれるかに影響するということ(Salanova, Llorens, & Schaufeli, 2010)。

また効力感信念は感情状態に影響することで、私たちの活動への動機やエンゲージメントに間接的に影響すると言われています。

ポジティブな効力感信念を持つ事で、私たちはよりポジティブな態度を保つ事ができ、その結果、情熱や活力、楽観性、楽しみ度といった動機とエンゲージメントのレベルを上げる要素を獲得する事ができます。更に、達成する事による相乗効果が生まれ、ポジティブな信念に基づいて成功を見ることで自己効力感の信念を強め、ポジティブな態度や動機を向上させます。

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あなたは何を信じていますか?

自分の能力を信じる事は能力開発やパフォーマンス発揮に極めて重要なことです。このことは起業家やマネジャーにとって、従業員の情熱を刺激したり、従業員が自分の才能や能力をフルに活用し、成長を経験し、更にエンゲージメントも向上するといった事にも深く関係しているでしょう。

仕事にフルにのめり込むためには斬新さと情熱が必要です。私たちは困難度が低すぎると動機やエンゲージメントが低くなります。より楽観的に考え、強みに焦点をあてていくと私たちは明確でポジティブな影響を体験することができます。

強みをベースにした目標設定をすることで自信や自己効力感を高め、ポジティブな感情や動機を強めていくことができます。

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参照
http://blogs.psychcentral.com/positive-psychology/2011/10/i-think-i-can-i-think-i-can-how-self-efficacy-relates-to-performance/
posted by ヤス at 15:16| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする