2015年05月06日

実質よりも比較で認知する

以前、オリックス、その後は阪神で活躍した星野伸之という投手がいました。今はオリックスの一軍投手コーチをしていらっしゃいます。

彼の投げ方は「にゃんにゃん投法」と言われ手を猫のように曲げて投げることによって打者から球の出だしを見えなくするフォームで打者を翻弄してきました。数多くある中で、彼のもう一点の特徴は最速の球速が130キロだということ。130キロというと、中学生でも投げられるスピードです(笑)

しかしながら、彼はMAX130キロのストレート、それに90キロ台のカーブとフォークでプロ野球の大打者たちを打ち取り、プロ通算176勝、通算防御率3.60、シーズン最高勝率2回(89年、96年)、オールスター出場7回そして2011年終了時点で歴代18位となる通算2041奪三振を記録しています。

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彼のストレートは130キロしかないにも関わらず梨田昌孝元監督が選手時代に「ストレートが一番速かった投手は?」という雑誌の取材に対し星野の名を挙げて「あまりにも速く感じて金縛りのようになった」と語り、元ロッテの初芝清選手は「(当時日本最速の158km/hを記録した)伊良部より星野さんのほうが速いと思う」と発言、清原和博さんは「星野さんのストレートが一番打ちにくい」と評し、他にも元横浜等の中村紀洋選手、元近鉄、巨人のタフィ・ローズ選手など複数の打者が星野のボールは速かったと証言しています。




こういうことから、いかに私達が現実を現実としてみているのではなく比較をして認知している、ということが言えると思います。

もし現実を現実として客観的に見ているのなら、130キロの速球は、どの状況でも同じスピードで認知できるはずです。しかし、それがとても速く感じる。緩急を使うことによって、その比較が大きくなり、それで物の認知も変わってくる。

これはコミュニケーションにおいても同じことが言えます。

いつもと同じようなトーンからちょっとトーンを変えるとそれが印象的に聞こえる。この効果があるから催眠療法において「アナログマーキング」といった手法が有効になります。いつものトーン(ベースライン)から大事な言葉だけをちょっとトーンを変えて言う(通常、低めに言うとより印象に残る)。


普段のトーンとの差によってクライアントがそれに気づかなくても無意識レベルで何となく頭に残った言葉となる。星野投手の130キロのストレートがすごく印象的に感じるようにアナログマーキングでも、クライアントにとって大事な言葉、「リラックスして」とか「安心できる」とか「自分をサポート」だとか「より貢献できて」とか「楽に仕事ができる」などといった言葉が印象的に感じられて、それがクライアントの心の支えとなる、といった現象を作ることができます。

実質よりも比較で私達はものを認知している、大事なことだと思ったので書いておきました。

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posted by ヤス at 11:27| Comment(0) | TrackBack(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月16日

リスクとハザードの違い


ある教授のセラピーを見ているとよく「リスク」という言葉を使っていました。これは「危険性」と訳されますが、同じ「危険性」として、「ハザード」があります。頭の中で自問して、きちんと違いを説明できなかったので調べてみました。

「ハザード」は、潜在的に危険の原因となり得る全ての危険性。

「リスク」は、実際にそれが起こって現実の危険となる可能性を組み合わせた危険性。

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だからハザードがあるとしてもそれがまず起こりえないような事象であればリスクは低く、一方確率は低いとしても起こった場合の結果が甚大であれば、リスクは高いということになる。
ウィキペディアより)

つまりどういうことかというと、「道が凍っている」危険性は、ハザードとなります。でも、Aさんが絶対に滑らない特殊な靴を持っていれば、Aさんがこけるリスクは低くなります。ゴルフでいう「ウォーター・ハザード」。これは池ポチャという危険をもたらす可能性があるので、「ハザード」です。




しかし、池を避けて作戦を立てれば、リスク(池ポチャ)は小さいですし、池を越えて作戦を立てれば、リスクは大きくなります。

なるほど。すっきりしました。



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2015年02月03日

合気道=円の動きを使い、合理をもって相手を制するを旨とす

心の状態は体に現れます。だからセラピーも相手の体を見ることで、より多くのヒントを得ることができます。その例として、よく合気道が使われます。そこで合気道とはそもそもどういう武道なのか調べてみました。

合気道とは、円の動きを多用し、合理をもって相手を制するを旨とする武道・武術のことで、相手の力に逆らわず、相手の動きを利用する術理が「合気」の由来だと考えられているそうです。

相手から見て攻撃可能面積が狭く、次のモーションに移行しやすい「半身」を基本姿勢としており、最小限の体捌きで向きを変えながら懐に入り、無力化を狙うのがその特徴だそうです。


参照
http://dic.nicovideo.jp/a/%E5%90%88%E6%B0%97%E9%81%93
http://www.interq.or.jp/silver/sinomori/takemusu.index.htm
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2015年01月16日

論理感情行動療法(REBT)をスポーツに応用する

2013年、スタフォードシャー大学のマーティン・ターナーとジェイミー・バーカー(Martin Turner & Jamie Barker)が論理感情行動療法(REBT)をスポーツ分野に応用し有効性を調べました

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4人の一流ユース・クリケットプレーヤーにREBTを施し(3カウンセリングセッションと2回の宿題)彼らの非論理的な信念から来る緊張の軽減を図りました。

シングルケース、複数ベースライン、参加者間という実験手法を使い、17週間にわたる実験を行いました。結果、REBTは全参加者の非論理信念の軽減、また緊張度の軽減を示したそうです。

論理感情行動療法(REBT)はもともと論理療法(Rational Therapy)と呼ばれていましたが、1961年に論理感情療法となり、1993年に論理感情行動療法と改名されました。

現在、REBTはCBT(認知行動療法)に関係するテクニックだとされていますが、CBTとは大きな違いが2点あり、1つは感情的障害は特定の非論理的信念からまたは不快への低い許容度から来ていると考えている点もう1つは、心理的な健康は特定の論理的信念からまたは不快への高い許容度から来ていると考えている点です

スポーツ以外の分野ではこれまでREBTの有効性は研究されてきました。非論理信念は非機能的な推測と関連していてそれらは感情障害や不健康な感情高揚、過緊張、恥や怒りといった感情、自殺思考といったことをもたらすことがわかっています。

そして、REBTを使った研究記事の結果をメタ分析すると、REBTが心理動学セラピーや体系的ディセンシタイゼーションなどといった手法よりも有効であることがわかっていて、特にその有効性は論理的信念の増加と比例しているそうです。

今回の実験では15〜17歳の男性(M=15.5; SD=1.00)、一流クリケット選手、3〜5年のプレー歴(M=4.00; SD=1.15)4名に対して行われました。彼らの信念については短縮版、全般的態度と信念の計測表(SGABS, Shortened General Attitudes and Beliefs Scale)が、緊張度の計測についてはスポーツ緊張計測表(SAS2, Sport Anxiety Scale-2)が使われ、SGABSは実験一週間前に1回、そしてその後は毎週(実験終了の第17週まで)SAS2も毎週(実験終了の第17週まで)受けてもらいました。また周りからの客観的な様子も考慮に入れるため選手と親、コーチに社会的批准アンケートに答えてもらいました。

4選手は1週間1回のREBTトレーニングを3週間受け、間に宿題が渡されました(計2回)。その他、REBTプラクティショナーから20分のセッションを週1回、3週連続で受けました。REBTトレーニングとセッションでは特にABCDEモデルに基づき、選手の信念を変化させていきました。

結果はどうだったか?

4選手全てにおいて非論理的な信念が軽減していて、また緊張度合いも軽減していました。実験後の社会的批准アンケケートにおいては選手自身はより緊張を感じなくなっていて自分の感情をコントロールできるという感覚が増えていると回答。選手の親が選手を見てどう感じるか、より少ない緊張度合い、またより高い感情コントロール度合いを回答していました。コーチ陣の見た感じでは、全員が選手の緊張度合いは減っていると答え3人のコーチが感情コントロール度が上がったと答えていました。

研究者たちはこの実験が今後、REBTのスポーツ分野での応用に役立てば、と考えているそうです。

REBTに興味がある方は以下の本がオススメです。
人生哲学感情心理療法入門 アルバート・エリス博士のREBTを学ぶ (静岡学術出版教養ブックス)
怒りをコントロールできる人、できない人―理性感情行動療法(REBT)による怒りの解決法
論理療法による3分間セラピー−考え方しだいで、悩みが消える

参照
Turner, M., & Barker, J.B. (2013) Examining the efficacy of Rational-Emotive Behavior Therapy (REBT) on irrational beliefs and anxiety in elite youth cricketers. Journal of Applied Sport Psychology, 25(1), pp.131-147.
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2015年01月09日

「〜するなよ」じゃなくて「〜しよう」

2週間程前、熱が出たので医者から安静にしておけという事で、その間、映画を見たり、ユーチューブの動画を見ていました。その中で特に良かったのが「野球のミカタ!#15 立花龍司」です。


49分50秒くらいから言っているのですが指導者は「〜するな」の形で話すのではなく「〜しよう」という形で話すべきだということ。

少年野球の選手を20人集めて、10人ずつの2グループを作ります。一つの10人グループには「絶対にエラーするな」と指導者が指導する。もう一つの10人グループには「落としてもいいから、●●しよう」と指導する。そして、手投げの同じスピード、角度のノックをする。するとどうなったか。

「〜しよう」と指導された選手の方が2歩、歩数が多かったそうです。

立花コーチの解釈では「『〜しよう』の指導の方がより積極的に選手がプレーできる。指導者の言葉がそれだけ大きな影響を持つ。それを示した例だ」という事でした。


NLPでも目標(アウトカム)を決めるときに「否定文ではなく肯定文で決めなさい」と言います。これをバックアップする実験結果だと思いました。

立花龍司コーチの書籍はこちら;

posted by ヤス at 20:27| Comment(0) | TrackBack(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする