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2017年12月10日

医者が有能で親切だと、プラセボ効果が上がる

治療が有効だと思うだけで、効果が現れるプラセボ効果。これについては、数多くの研究がなされています。今回、スタンフォード大学のローレン・ホウィ氏は、いかにプラセボ効果を高め、その逆のノセボ効果(ネガティブな期待がネガティブ効果を招く)を軽減するかを研究しました。そこで、医者が親切で有能だという印象が大きく影響することがわかりました。

医者は近年、患者とラポールを形成することを求められています。今回の実験は、なぜそうした心理的、社会的な面が治療に大事なのかを裏付けてくれます。

今回の実験では164名の健康な患者が、食事の好みに関する実験に参加していると告げられます。そのためにまずはアレルギーテストをすると言われます。女性の医師が、アレルギー予防のヒスタミン(皮膚の腫れや炎症を防ぐ)を注射で投与します。そして、そこに効果のないプラセボクリームを塗ります。一部の参加者には、それで腫れが治ると言い、他の参加者には腫れが増加すると言います。

さらに参加者は、医者の態度で、4つのグループに分けられます。暖かく有能、冷たく有能、暖かく無能、冷たく無能。

例えば、暖かく振る舞うケースでは、患者の名前を訪ね、その名前で呼び続けたりしますが、冷たく振る舞うグループではそういったことはしません。有能に振る舞うケースでは、患者とアイコンタクトを取り、自信のある態度で話します。無能なケースではこの逆をします。また、有能なケースでは、綺麗な診療室なのに対し、無能なケースでは汚い診療室で診断します。

ヒスタミン注射の後、リサーチアシスタント(どの参加者がどのグループかを知らない)が参加者の皮膚反応を記録します。

結果は、有能で親切な医者に会い、クリームによって、皮膚反応が軽減すると言われた参加者の皮膚反応は、最も小さく出ました。また、クリームによって、皮膚反応が増大すると言われた参加者ですが、それに伴う結果は見られなかったそうです。

今回の実験では、健康な参加者を使った、短時間での皮膚反応を見た、また男性の医師ならばどうだったかはわからない、等の点は限定されていますが、プラセボ効果に関して重要な発見だと思います。


参照
https://digest.bps.org.uk/2017/10/27/the-placebo-effect-is-amplified-when-doctors-appear-likeable-and-competent/
posted by ヤス at 19:59| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月26日

幸せと健康の関係性

驚くべきことではないかもしれませんが、ポジティブな感情は、人生をより長く、健康にすると研究で報告されています。しかし、一時的なポジティブ感情ではなく、継続的なポジティブ感情が必要です。ポジティブに将来を見ることや、リラクゼーションを使うことで、長期的にストレスに対処することが大事です。

幸せへの道筋

ペンシルバニア大学のセリグマンとミシガン大学のピーターソンは3つの道筋を提唱しました。


良い感覚:快感となる感情や感覚を求めることは、快感増加と痛みの軽減につながります。

没頭する:ミハイ・チクセントミハイが提唱する「フロー」にもあるように、物事に没頭するとき、人は満足感を感じ、集中力が高まります。


良い行い:自分を超えた何か意味を求めることは、本当の自分や自分の美徳を明らかにし、幸せ感を増やします。

種々の実験で、これらの方法が人生への満足感を増やすと報告されています。

ではあなたを幸せにしないことはどんなことなのか?

幸せに関して、都市伝説的に伝えられていること、しかし、実証はされていないものには、以下があります。

お金や物質:物質的な豊かさと幸せについては30年以上研究されています。中でも「イースタリンの逆説」は特に有名です。貧しい国の人たちの幸せ度は経済的に豊かになるほど増加する。しかし、基本的な必要事項が満たされると、それ以上のお金は幸せ度をそれほど高めない。

2008年、ペンシルバニア大学とギャロップがこれに対抗する研究を発表します。豊かな国の人が、大抵の場合、貧しい国の人よりも幸せである。しかし、この2つの対立する研究は、研究方法が異なるため直接的には比較はできません。イースタリンは、後の研究は文化的な差異を考慮していないと指摘しています。

若さ:若さであったり、身体的に魅力的であることは、幸せとは関係しません。イースタリンの2006年の研究によると、若さは幸せに好影響しないだけではなく、成人は中年に向かうほど幸せ度を上げていくと報告されています。その後、健康的な問題やその他の人生問題によって、幸せ度は下がっていくと報告されています。

子供:我が子を持つことは非常に大きな喜びの源となりますが、日々の世話は難しく、時にストレスとなりえます。母親を対象にした研究では、彼女らが日々の生活で幸せを感じる活動は、食事、運動、買い物、昼寝、テレビを見ることが、子供と時間を一緒に過ごすことよりも上位にきました。いくつかの研究では、第一次が生まれてから、夫婦間の満足度は下がり、最後の子供が家を出てから、上昇すると報告されています。しかし、人間関係が幸せに与える影響は大きいです。結婚をしていて、多くの友達を持ち、性行為をよくすることは、幸せに影響すると述べられています。


ポジティブ心理学でも研究されていることですが、幸せに関する研究は今後も注目していきたいです。

参照
https://www.health.harvard.edu/healthbeat/the-happiness-health-connection
posted by ヤス at 03:01| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月27日

「日本人労働者のメンタルヘルスの問題に対する態度」調査

「日本人労働者のメンタルヘルスの問題に対する態度」調査

調査者

ダービー大学 小寺康博、ポール・ギルバート
千葉大学 浅野憲一
東京成徳大学 石村郁夫
ダービー大学 デーヴィッド・シェフィールド

「日本人労働者のメンタルヘルスの問題に対する態度」調査へのご協力、誠にありがとうございます。この調査では、日本の労働者が、メンタルヘルスの問題に対して、どのようなことを思っているのかを調べようと思っています。そのために、「メンタルヘルスの問題に対する態度尺度(全35問)」「うつ、不安、ストレス尺度(全21問)」「自己批判/攻撃と自己安心の形に関する尺度(全22問)」、3つのアンケートに答えていただきたいと思っております(所要時間10分)。

日本の総人口は近年、横ばいであるにも関わらず、うつ病患者数は毎年増えています。

1999年 約44万人
2002年 約71万人
2005年 約92万人
2008年 約104万人



また、自殺者数も先進国の中では最も多い国の一つで、1998年から2011年にかけて自殺者の数は3万人を超えていました。そしてこの中の3〜4割は労働者だと報告されています。仕事が原因で自殺をした人の9割はうつ病を患っているにも関わらず実際にメンタルヘルスのサポートを得ていたのはその内の2割だそうです。

肉体的な症状であればより多くの人が専門家のサポートを受けたでしょう。しかし、心の症状となれば、まだ日本では、多くの人が躊躇いを感じているようです。そういったメンタルヘルスの意識を調査しようというのが今回の研究です。

調査参加のための同意書、基本情報入力はこちら


参加条件

・18歳以上である
・雇用されている、または、自営業
・日本人であり、日本にずっと住んでいる(海外に1年間以上住んだ事がない)
・メンタルヘルスの問題を患っていない

もしメンタルヘルスの問題を患っていて、現在、専門家のサポートを受けていない人は、以下のようなサービスを利用してください。

心の耳(http://kokoro.mhlw.go.jp
全国保健所長会(http://www.phcd.jp
全国精神保健福祉センター(http://www.zmhwc.jp

もし、地域のメンタルヘルスのサポートを見つける手助けが必要な場合は、調査者にご連絡ください。


調査でしていただきたい事

この調査では「メンタルヘルスの問題に対する態度尺度」「うつ、不安、ストレス尺度」「自己批判/攻撃と自己安心の形に関する尺度」、3つのアンケートに答えていただきます。これら3つのアンケートを全て回答するのに、およそ10分かかります。


もし途中でやめたくなったら

この調査への参加は任意であり、参加しなければならないという義務はありません。また、アンケートの途中で、ブラウザを閉じて、参加を取りやめることもできます。また、調査者に連絡をして、参加を取りやめることも可能です。回答後にキャンセルとしたい場合は、回答後2週間の内に調査者にメールにてその旨をお伝えください。その際には、記入者名をメールに記載してください。


回答した情報はどう使われるか

この調査の間、いただいた回答は、安全なオンラインデータ管理サービス、Qualtricsに保存されます。全ての回答を収集したら、そのデータはQualtricsからダウンロードされ、Qualtricsから削除されます。この調査の結果は学会や学会誌で発表、出版されます。全ての情報は匿名化され、個人が特定されることはありません。

参加していただける方は、こちらから同意書と基本情報入力にお進みください

この調査に関して質問があれば、調査者(小寺)までご連絡ください。

小寺康博
電話:+44(0)1332 592670
Eメール:y.kotera@derby.ac.uk
University of Derby, Online Learning
Enterprise Centre, 37 Bridge St, Derby DE1 3LA, UK


メンタルヘルスのサポート情報
心の耳(http://kokoro.mhlw.go.jp
全国保健所長会(http://www.phcd.jp
全国精神保健福祉センター(http://www.zmhwc.jp
posted by ヤス at 16:48| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月29日

思いやりが攻撃性につながる

思いやりを促すのは良い事ばかりだと言われていますが、そうでもないようです。新たな研究で、思いやりは優しい感情や利他的な行動を促すとともに、攻撃性にも繋がると報告されました。

特定の状況において、温かさ、優しさ、同情といった「思いやり」とされる気持ちの性質が、攻撃的な行動につながる。研究者たちは、神経ホルモンに目を向けました。神経ホルモンとは、血流に紛れて移動することもできるし、また、脳内物質として脳内でも移動できる化学物質のことです。


今回、バッファロー大学の研究者が目を向けたのは、2種の神経ホルモンでした。オキシトシンとバソプレシン。これらは「接近行動」を促します。他人に近づこうとする行動です。しかし、人が他人に近づくには様々な理由があります。攻撃もその理由の一つです。

したがって、共感や思いやりがオキシトシンやバソプレシンと関連しているのであれば、共感・思いやりと攻撃に関係ができる。これが実験の仮説です。

実験の結果が示すところ、共感や思いやりは、そこで労っている他人のために感じる攻撃性と繋がっていると出ました。例えば、意地悪な上司にいじめられているAさんの話を聞いて、Aさんに共感し、思いやりを感じると、Aさんの上司に対して怒りを抱くというように。

実験の第一部はアンケートによるもので、自分の大事な人が、誰かから脅威を感じさせられているとどういう気持ちがするかを尋ねました。すると、思いやりが攻撃性と繋がっていることが見受けられました。

実験の第二部では、唾液サンプルを見て、神経ホルモンを調べました。参加者は思いやりを促すストーリーを聞きます。これは参加者が会ったことのない人(「思いやりダミー」と呼びましょう)に関するもので、この人(思いやりダミー)別室にいると告げられます。この別室にはもう一人(「単ダミー」と呼びましょう)いると告げられます。

彼ら(思いやりダミーと単ダミー)は数学のテストを受け、肉体的苦痛(辛いものを食べる等)がパフォーマンスにどう影響するかの実験に参加すると告げられます。彼らは数学のスコアを競争します。

そこで参加者に、単ダミーに対してどのレベルの苦痛を与えるかが問われます。

結果は面白いことに、思いやりダミーの敵である単ダミーに対して、参加者はかなり高い苦痛を設定すると答えました。単ダミーが別に何か悪いことをしたわけでもないのに、高い苦痛を設定すると答えました。


思いやりが攻撃性を促す面白い実験だと思います。

参照
https://psychcentral.com/news/2014/11/07/compassion-can-drive-aggression/77067.html
posted by ヤス at 02:52| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月21日

どんな幸福感を味わうかで遺伝子影響が異なる

近年の研究で、幸福感は遺伝子に影響することが分かっています。更に、どういった幸福感なのかで遺伝子への影響は異なると言います。

人生にとって深い意味のあることをすることによる幸福感(ユーディモニック[eudaimonic])は、免疫細胞に良い影響が出ます。炎症に関する遺伝子が少なく、免疫の遺伝子が多くなります。

しかし、消費的で自己満足的な幸福感(ヒドニック[hedonic])は、逆の効果をもたらします。炎症遺伝子が多く、免疫遺伝子が少なくなる。

今回の研究ではUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のスティーブン・コール教授とノースキャロライナ大学のバーバラ・フレドリクソンらが、この2つの幸福感(ユーディモニックとヘドニック)の人間ゲノム(2万以上の人間の生存維持に関する遺伝子の総合体)に対する影響を調べました。

過去の研究では長期間、ストレス、脅威、不安定性にさらされると、遺伝子の免疫細胞に悪影響が出ると分かっています。これはCTRA(conserved transcriptional response to adversity)と言い、炎症に関する遺伝子を増やし、免疫反応に関する遺伝子を減らします。

今回の実験では、80人の健康な成人の血液を調べました。そして彼らがどれだけユーディモニックまたはヘドニックな幸福感を感じているか調べました。

調べた結果、ユーディモニックな幸福感を感じている人と、ヘドニックな幸福感を感じている人では、どちらのグループの人も、同じレベルのポジティブ感情を感じていたものの、遺伝子の免疫細胞に変化があった(ユーディモニックの方が免疫細胞が多くなった)そうです。

つまり、同じポジティブを感じていても、人間ゲノムにおいては、異なる反応をしていたということです。

どのような質の幸福感なのか。これが大事だと言う実験でした。

参照
http://newsroom.ucla.edu/releases/don-t-worry-be-happy-247644
posted by ヤス at 01:51| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする