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2019年01月11日

孤独感には遺伝子が大きく影響しているのかも

孤独感と持って生まれた性格に関係があるかもしれないと新たな研究で報告されました。

各個人に特有の環境的要素が孤独感に大きな影響があるのは事実ですが、遺伝的なものも大きく孤独感に影響していたようです。


今回の研究者である、カナダ、西オンタリオ大学のジュリー・シャーマー教授は、社会がより孤独になっていることに注目しました。例えば、イギリスでは2018年に孤独問題担当国務大臣という役職が作られました。

シャーマー教授曰く「メディアの注目は高齢者に当てられていますが、SNSなどを使ってのふれあいというのは、直接会ってするふれあいには劣るものです。大学でも、多くの学生が授業前、よく自分のケータイを見て、周りと話をしません。彼らがふれあう機会を失っているので、心配になります。彼らは一人ではないですが、非常に孤独です。」

今回の実験ではオーストラリアにいる大人の双子、764組(一卵性と二卵性含む)が集められ、性格を調べる「ビッグ・ファイブ」と孤独感を調べる心理尺度が使われました。一卵性と二卵性を比べることで、遺伝的なものと環境的なものを区別しようというのが狙いです。

結果、孤独感の35%は遺伝的な影響であり、また、神経過敏(心配性)な人ほど、孤独感を感じる傾向があったそうです。また、驚いたことに孤独感と新たな経験に対してオープンであることの間に正の関係があったそうです。感じの良さ、良心的な性質、また、外交性は、孤独感と負の関係にありました。つまり、性格と孤独感というのは遺伝子の中に入っているかもしれないということです。


しかし今回の実験の弱さの一つは、一般的な「孤独感」だけが調べられた点です。孤独感にも色々あります。例えば、友達がいない孤独感だとか、家族に関する孤独感など。今後、それら様々な孤独感と性格がどう関係するかを調べる必要があります。

シャーマー教授は、孤独を感じている人の多さ、また孤独がもたらしえるネガティブな結果などの情報をより多くの人に知ってもらいたいと思っています。孤独感は老若男女に影響し、今後、もっと社会に孤独が増えていくのでは、と述べています。

参照
https://www.psypost.org/2019/01/genetic-factors-may-play-an-important-role-in-loneliness-52890/amp
posted by ヤス at 08:17| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月20日

参加者募集・ポジティブ心理学に関する実験(クリスマス・お正月編)日曜日まで

■参加者募集・ポジティブ心理学に関する実験(クリスマス・お正月編)

今日はポジティブ心理学に関する実験の参加者募集に関する投稿をさせていただきます。

クリスマスやお正月と色々とイベントがあるこの期間に

ポジティブ心理学の介入が、私たちの「楽観性(メンタルヘルスを含む)」

どのような効果があるのかを調べてみたいと思います。


現在、私が勤めるダービー大学の同僚(アン・カークマン、デイヴィッド・シェフィールド、フランセス・マラトス)と共に、

ポジティブ心理学を使った介入の実験をしております。



この実験では、ネット上で心理学に関する3つのアンケートに回答してもらうこと(全部で4回)と

毎日最短2分ほどでできるポジティブ心理学のスキルを3週間に渡って実践をしていただきます

(一部の参加者には介入なしで普段どおりに過ごしてもらいます:制御グループ)。

制御グループと介入グループのグループ分けはこちらでランダムに行います。

アンケートの回答は、クリスマス前、1週間後、3週間後、そして、

その1ヶ月後(クリスマスからおよそ7週間後)です。


今回は労働者の心理学を知りたいので、参加条件として普段、週に24時間以上働いている

そして18歳以上であることが条件となります。


もし参加に興味があれば、12月23日(日)23:59までに、以下のリンクから登録してください。

https://derby.qualtrics.com/jfe/form/SV_eIJNWDxMOnZOQgR



参加者には匿名で参加をしていただきます。

実験終了後、2週間以内に連絡をいただけますと、入力いただいたデータを消すことができます。

皆様のご参加、お待ちしております。
posted by ヤス at 05:19| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月16日

学校を早い段階で始めるのは良いことか?

幼い子供にとって1年間の変化は非常に大きいものです。よちよち歩きの1歳児も2歳になれば走り回っています。4歳になると常に動き回り、想像力豊かで、常に「なんで?」と聞き、それが5歳になる頃には、比較的長時間集中できるようになります。

こうした子供の成長は長年変化をしませんが、親の期待は変化をしているようです。最近の子供はより早い段階で学校をはじめ、より長い時間を学校で過ごします。学問的な事柄をより早い段階で学ばされていて、彼らの脳の成長のペースと一致しない事柄も多々あります。


1998年、31%の小学校の先生が、本読みは幼稚園で学習したはずだと思っていたのに対して、2010年では80%がそう思っていました。近代の子供は幼稚園を卒園したらすぐに読めるものだと思われています。しかし、発育の早い段階で、文字を読ませるのはプラスよりもマイナスな影響が多いと研究が報告しています。

発育レベルに合わないタスクをさせると、自信の喪失、不安、混乱などといったマイナスな影響を及ぼします(参照)。

現状では、早い段階で学校を始めることが問題ではなく、子供に問題があると解釈されることが多いです。読む速度が遅ければ、それが問題となり、読む速度を上げるような介入が施されます。先生の話を聞くのが難しく、他のことを考えていたりすると、ADHDだと判断され、時には薬を処方されます

アメリカ疾病管理予防センターによると4〜17歳の子供の11%がADHDと診断され、2003-2004から2011-2012の間に、この診断は42%も増加しています。ADHDの主な治療法は薬物療法です。さらに悪いことに、4〜17歳のADHD診断のうち、3分の1は6歳以下です。


また、ハーバード・メディカルスクールの新たな研究によると、早い段階で学校を始めた児童(例:早生まれなど)はより多くADHDの診断を受けています。9月に新年度が始まるアメリカで、8月生まれの児童は、他の児童と比べて3割もADHDの診断が多いそうです。

5歳になったばかりの子供と、6歳になろうかという子供では成長過程に大きな差があります。

しかし一般的に多くの親が早く学校を始めさせようとしているのも事実です。イギリスでは現在、4歳で小学校が始まり、アメリカのアイオワでも最近そのような法案が可決されました。またニューヨークでもそのような動きがあります。


子供の成長にあった発達チャレンジが必要です。日本もそうですが、子供が最も幸せだとされるオランダでも初等教育は6歳から始まります。幼いうちはどんどん遊び、彼らの興味(内発的モチベーション)に気づかせる期間にすべきだと思います。こうした期間・機会を十分に提供せずに、特定のカリキュラムを押し付け、十数年後に「何がしたいんだ?」と聞くのは無理があると思います。

参照
https://fee.org/articles/harvard-study-shows-the-dangers-of-early-school-enrollment/?fbclid=IwAR3QolNcayAa7Rp2J5wyt3RC7sKGrH2qx_hhldVEjKqhy4gmJhwfCV506aQ
posted by ヤス at 20:51| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月30日

解釈的現象学的分析(Interpretative Phenomenological Analysis)

解釈的現象学的分析(Interpretative Phenomenological Analysis, IPA)とはジョナサン・スミスによって開発された手法で、経験的であり、質的なものを理解しながらも、心理学に適合できる分析方法のことです。個人がある現象をどのように経験したのかを、特定の状況にある特定の観点から調べます。個人が出来事をどのように解釈し、意味付けをしているのかが主眼です。IPAでは、主観的、そして、反映的な解釈のプロセスを伴いながら、当事者の生の経験(lived experience)に焦点を当てます。データは研究の状況や文化的背景も考慮しながら慎重に解釈されます。


IPAは特にあまり研究がなされていない現象や新しい現象、また論理的な説明が難しい現象について、理解しようというときに有効です。当事者が生の経験をどのように理解したのかを振り返ることで、その現象を一つの観点から詳細に理解できます。そうすることで、その現象をよりよく理解でき、新たな探求の道を拓くことができます。

IPAは現象学と解釈学(phenomenology and hermeneutics)を基礎とし、そこに個人主観的な視点を付け加えます。現象学が、意識的な経験の詳細を把握し、解釈学がそれを解釈する。現象がなければ解釈するものがありませんし、解釈なくして現象があっても何も理解できません。解釈学者、マルティン・ハイデガーは、現象学的な理解は解釈にある、として、解釈学を現象学の前提としました。現象学は当事者の個人的な経験を探求し、個人的な体験には解釈が伴います。従って、この2つが共存するのです。

IPAを使って特定の現象に関わる経験を理解するとき、(特定の決められたフレームから解釈・評価をするのではなく)包括的なボトムアップのプロセスで理解をして行きます。


IPAでのデータ収集は、大抵、半構造化面談を使ってなされ、参加者の観点から、参加者がその現象をどう体験したのかを聞き取るために行われます。また、あらかじめの質問は少しは準備されますが、基本的にはオープンで帰納法的なアプローチ(個々の現象から一般的な結論を導き出す)を取ります。従って、IPAでは同じような参加者グループを集めます。

参照
https://www1.bps.org.uk/networks-and-communities/member-microsite/division-counselling-psychology/interpretative-phenomenological-analysis
posted by ヤス at 20:49| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月18日

数学に対する不安が数学パフォーマンスを下げる

シカゴ大学が行なった、小学校1、2年生に対する研究で、成績が優秀な1、2年生は数学不安を抱えていると報告されました。この不安があることによって、不安を持たない児童よりも数学の力を発揮できないことがあるそうです。

数学ができる児童は大抵、作業記憶に優れていて、不安によってこの機能が低下するそうです。作業記憶とは「脳の黒板」のようなもので、意識上にある情報を処理するのに使われます。この種の記憶は、数字を頭の中で留めておいて処理するのに非常に重要であり、IQにも大きく関連しています。


数学への不安が強い児童は、それによって、数学の力が大きく妨げられていることがわかりました。数学の成績だけでみると、不安のない児童の半年分くらいの遅れになるそうです。

今回の実験では比較的大きな都会にある小学校で、1年生88人と2年生66人が集められました。参加児童は、成績、作業記憶、数学への不安に関する尺度に答えました。数学への不安に関しては、例えば教室の前で、数学の問題を解くことに対してどれだけ怖いと感じるか、などが問われました。

成績優秀な児童の間で、半数が中程度から高程度の数学不安を抱えていました。数学不安は、成績が優秀ではない児童の間でも見られましたが、成績には影響していなかったようです。これらの生徒は、指で数を数えたりなど、よりシンプルな対処法を実践していたので、影響がなかったのではないかと考えられています。

幼い段階でできた数額への不安は、そこで解消されないと、雪だるま式に大きくなり、数学の能力に大きく影響します。ここまでの研究で、不安を和らげたり、リフレーミングをすることで、数学の成績に大きな向上が見られたそうです。

不安をリフレーミングする一つの方法は、テストをする前に数学に関する心配事を書いてもらう事でした。「表現的ライティング」という手法で、不安を吐き出し、少なくする効果があるそうです。これによって作業記憶が数学により集中できます。


また文字を書くことにまだ慣れていない段階の児童や幼稚園児には、絵を書いてもらうのも良いでしょう。また先生の立場からも、テストを脅威的なものではなくて、何かチャレンジするものだとリフレーミングをすると良いと研究者は述べています。

参照
https://psychcentral.com/news/2012/09/13/math-anxiety-hits-high-achieving-kids-hardest/44547.html
posted by ヤス at 05:09| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする