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2020年05月21日

ご参加お願いします♪:コロナ下での日本人のメンタルヘルス調査

新型コロナウイルスの影響で、体の健康もそうですが、心の健康(メンタルヘルス)にも様々な影響が出ていると報じられています。

そこで、本研究では、新型コロナウイルスの影響下において、日本に居住する方々のメンタルヘルスの状態を調べたいと思っております。

参加してくださる方々には、年齢や性別に関する質問の他、メンタルヘルスに関わる4つの短い尺度への回答をお願いできればと考えています(全25問、所要時間およそ10分)。さらに、メンタルヘルスの状態の長期的な変化を調べるために、6ヶ月後、1年後に再度連絡を取らせていただきます。

以下が参加リンクです。皆様のご参加を心よりお待ちしております!よろしくお願いいたします。
https://bit.ly/CoronaGeneral

posted by ヤス at 15:48| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月20日

子供の脳にバイリンガリズムはどう影響するか

多言語を扱うことが脳の構造に影響を与えうると脳神経学の研究で報告されています。これまでの研究では、一言語しか話さない成人と比べて、多言語を扱う人は、皮質領や皮質下の灰白質の構造が異なるとされてきました。これらの変化は、他のスキル(例:ジャグリング、ピアノ演奏)を習得する場合と同じ変化です。つまり、何かを習得するときに脳に変化が起きる部分だというです。

今回の実験では幼い子供が育つ中で言語を習得するとどうした変化があるのかを調べました。複数の言語を学び、そして、それを使うには、脳内で情報が効率よく流れないといけません。今回の実験では、幼い子供が成長する過程を追う中で、多言語がどのような影響を与えるかを調べました。

一般公開されているMRIの脳イメージで、3〜21歳の子供達の脳が、一言語と多言語でどう違うのかを調べました。特に各部分の厚さやボリュームに着目しました。結果は、多言語を扱う子供の脳の器官は、一言語の子供と比べて、ボリュームを増していました。一般的に、子供のは成長する中で少し小さくなるのですが、多言語を扱う子供の脳は、この小さくなる度合いが少なくなっていました。

この小さくならなかった部分を見てみると、それは言語を処理し、使用する部分でした。つまり、多言語を扱うことで、脳はより強靭になると言えそうです。

また以前の研究で報告された成人で多言語を扱う人の脳の構造が異なるという結果も、今回の実験で説明することができます。子供の間に多言語を扱い、それによって構造的な変化が起きた。

研究者は現在、子供の間におきる脳の収縮だけではなく、成人して、例えば、老化から来る脳の収縮に対しても、多言語は好影響なのかを調べています。

参照
https://medicalxpress.com/news/2020-04-explores-effects-bilingualism-brain.html
posted by ヤス at 05:27| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月15日

ネガティブ感情が身体にもたらす悪影響の文化比較

怒りの感情は私たちの血脈に悪影響をするとマーク・トゥエインは言いましたが、近年の心理学の研究でもネガティブ感情は私たちの健康を蝕むと考えられています。例えば、炎症、免疫力の低下、心臓病確率の増加などです。しかし、最近の研究でこれらの影響は文化ごとに異なるかもしれないと報告されています。


ある研究では、ストレスホルモンであるコルチゾールの値をアメリカ人と日本人の間で調べました。実験は4日間で、毎日複数回、唾液からコルチゾール値を割り出しました。参加者は過去30日間で起きたことで、ネガティブ感情を抱いた事柄を思い出し、そのネガティブ度を評価しました。そして、身体的な指標を計測するために、炎症と心臓の状態を調べました。

データを分析すると、アメリカ人の参加者の間では、ネガティブ感情とコルチゾールの値が強い相関関係にありました。つまり、ネガティブ感情は病気になるリスクを増やしている。しかし日本人の間では、ネガティブ感情がアメリカ人より頻繁に記録されているにも関わらず、このコルチゾール値との関係性はあまり強くありませんでした

この違いはどこにあるのか?1つには感情の理解の違いが挙げられます。欧米文化では、個人主義であり、自立することが良しとされます。そこでは感情は個人の内的な特徴であり、責任であるとの位置付けです。そして心の健康は、ポジティブな感情を最大化するものだと理解されます。従って、ネガティブな感情は好ましくなく、避けるべきものだと考えられます。さらにネガティブ感情は、自己や環境に対処する能力に対して、驚異であると見られます。このような驚異の感覚が、ストレス反応を活性化させ、コルチゾールを分泌するのではと考えられます。


しかし、東洋文化では伝統的に、仏教や儒教にもあるように、感情は人生の一部だと考えられています。従って、ネガティブな感情もポジティブな感情も共存することが理解されています。従って、ポジティブ感情とネガティブ感情のどちらかが存在すると考えるのではなく、それらの感情は繋がっていると考えられます。個人の責任とするのではなく、感情は状況や関係性において左右すると考えられています。このようにネガティブな感情も生活の一部で、一時的に存在するものだという理解が、ネガティブ感情からくる身体的なストレスを下げているのではと考えられています。


西洋でも東洋でも共通するのは、私たちは様々な感情を経験するということです。しかし、その感情に対してどのような考えを持つのかが、その影響に変化を加えます。このような文化的な違いを理解することは、心と体の複雑な関係性を理解するのに役立つかもしれません。

参照
https://www.psychologytoday.com/us/blog/between-cultures/201906/are-negative-emotions-universally-bad-our-health
posted by ヤス at 23:56| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月06日

NLPは組織心理に効果があるのか?システマチックレビュー

今回の記事では、僕の出版論文の1つを、できるだけオタクな言葉なしでご紹介させていただきます。

今回は、以下の論文の概要を解説します。
Kotera, Y., Sheffield, D., & Van Gordon, W. (2019) The applications of neuro-linguistic programming in organisational settings: A systematic review of psychological outcomes. Human Resource Development Quarterly. 30(1), 101-116. doi: 10.1002/hrdq.21334

全文はこちらからダウンロードできます。

論文の中心的な質問としては、

NLP(神経言語プログラミング)が職業心理学にプラスの効果があるのか?
あるとしたら、どのような症状に対して良いのか?


これらの質問に対して、その証拠の質と量はどれくらいなものかを見ていきました。

システマチックレビューなので、対象となる研究論文をかたっぱしから見ていき、総合的に上記の質問に答えました。



NLPを使って、職業心理学に関する心理要素(ストレス、エンゲージメント、組織コミットメント、自尊心、従業員間の信頼など)に影響を与えようとした研究を調べると全部で952件の論文が見つかりました。そこからタイトルと概要で絞ると、今回の研究質問に関するものは96件に。そして、全文を読んでみていくと、強く関連するのは7件の論文に絞られました。

7件のうち6件は量的研究(数字で効果の良し悪しを測ったもの)で、1件が質的研究(文字で効果の良し悪しを測ったもの)でした。これら7件の研究については、論文の本文 Table 2をご参照ください。

3件はヨーロッパで実施され、もう3件はアジア、そして1件がアメリカで実施された実験でした。

対象とした心理的要素ですが、7つの実験は、自己実現、不安、改善行動、時間厳守への恐怖、自尊心、自己効力感、組織コミットメント、トレーニングへの満足感を狙いとしていました。そして、それ全てに対してポジティブな結果が報告されていました。特にストレスの軽減と、自尊心の向上に対してよく使われ、大きな効果を発揮していました。

対象グループは、土木工学、ホスピタリティー、教育、医療に携わる労働者でした。

6件の量的研究のうち、3件はランダム化していないけど、介入グループと別グループ(非介入など)を比較したもの、そしてもう別の3件は1グループがNLP介入を経たものでした。つまり、介入の研究で最も質が高いとされるランダム化比較試験(RCT、ランダムにグループを2つ作って、介入グループの変化を、非介入グループと比べる)を用いた研究はありませんでした

介入としては、ストレスや不安軽減を狙ったもの、良い職場コミュニケーションを狙ったもの、そして目標設定に関するものがありました。ストレスや不安に対しては、アンカリングがよく使われていて、コミュニケーションに関しては、代表システム(コミュニケーションの相手がどの五感を主に使っているか)を解説していました。目標設定に関する研究では、その具体的な介入は報告されていませんでした。

論文にバイアスがないかを調べてみると、4つの研究で、バイアスが高いと診断され、3つの研究では中程度だと判断されました。つまり全体的にいうと、もっと質の高い研究が必要だということが言えます。多くの研究で、必要な研究項目が報告されていなかったり、バイアス(つまり偏見)を減らすための工夫が足りなかったりしました。また研究倫理許可を取ったのかどうかを報告していないものもありました。



NLPは開発されてから様々な分野で使われてきて、ビジネスもその1つです。しかし、研究を見ていくと、量的にも、質的にももっと良い研究が必要だと言えそうです。目を引くような宣伝文句がよく謳われるNLPだけに、それに必要な質の高い実験結果が出てこない限りは、今後の普及は難しいと言えそうです。しかし、それでも、創設から50年ほど経ってもまだ使われているところを見ると、実践者の間では人気のある手法だと言えます。僕も色々とNLPに関する学術論文を書いていますが(例)、もっと大規模なNLPの科学的研鑽が必須です。

この研究論文の全文はこちらからダウンロードできます。
posted by ヤス at 02:12| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月02日

日本人労働者のメンタルヘルス。自己批判の軽減と自己支援の強化が鍵か

明けましておめでとうございます!本年もよろしくお願いいたしますm(_ _)m

本ブログではこれまでいろいろと他人の研究をご紹介してきたのですが、自分の研究もすべきだということに今頃になって気づき(笑)、少しずつですがそうしたこともしていこうと思います。

今回はこの研究を、できるだけオタクな言葉を使わずにご紹介させていただきます。
Kotera, Y., Gilbert, P., Asano, K., Ishimura, I. & Sheffield, D. (2018). Self-criticism and self-reassurance as mediators between mental health attitudes and symptoms: Attitudes towards mental health problems in Japanese workers. Asian Journal of Social Psychology, 22(2), 183-192. doi: 10.1111/ajsp.12355

全文はこちらからダウンロードできます。

近年の働き方改革にもあるように、日本人労働者のメンタルヘルスは非常に悪く、過労死や過労自殺など深刻な問題となって現れています。

過酷な労働の他に、日本人労働者のメンタルヘルスを悪くしていると考えられるのが、恥の感覚などを含む、心の病に関するネガティブな態度や見方です。こうした恥やネガティブな態度というのは、自己批判と強く関連していて、これが更に心の状態を悪くさせます。


そこで今回の研究では日本人労働者のメンタルヘルス、メンタルヘルスに対するネガティブな態度、自己批判、そして、自己批判とほぼ反対の概念となる自己支援の関係性を調べました。

日本人労働者、131人にこれらの心理アンケートに回答していただきました(ありがとうございます!)。それらのデータをいろいろと分析しました。

ほぼ半分の労働者(47%)がメンタルヘルスに対してネガティブな見方(「心の病を持つ人は弱い」等)をしていて、半分以上(55%)が心の病を持つことに対して何らかの恥を感じると答えました。恥の概念の中でも、職場の人に対する恥(76%)と自分に対する内的な恥(77%)が特に高かったです。

また心の病気の数値(うつ、不安、ストレス)は、ネガティブな態度と自己批判に対して、プラスの相関関係にあり、そして、自己支援に対してマイナスの相関関係にありました。つまり、メンタルヘルスの良い人は、心の病に対してそれほど悪く見てなかったり、恥を感じていなかったりする。そして、メンタルヘルスの良い人は、自己批判をあまりせず、自己支援ができるということが言えます。この自己に対する姿勢(自己批判や自己支援)は特にメンタルヘルスへの影響が大きかったです。

また、メンタルヘルスの状態を推測するのに、特に、その人がどれだけ自分を嫌っているか(自己批判の一部)、また、家族への反映恥(自分の心の病が家族に泥を塗るかもしれないという不安)の高さが、役に立つと分かりました。

いかに自己批判を抑え、自己支援を強めるか。メンタルヘルスに関して恥を感じる人が多いだけに、直接的なメンタルヘルスへのアプローチよりも、自己批判や自己支援に焦点を当てた介入が有効かもしれません。

研究論文の全文はこちらからダウンロードできます。


posted by ヤス at 23:32| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする