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2017年03月13日

長時間労働は健康問題を引き起こす

多くのマネージャーが部下に長時間働いて欲しいと思うものです。長時間労働にはトップがそのようにプレッシャーをかける場合だったり、厳しい競争社会に勝ち残ろうとして長時間となる場合、また、心理的に自分が有能だと見せたいと思ったり、プライド、野心から長時間となる場合もあります。近年の研究では、心理的な要素で長時間働く人にとって、仕事場は家庭よりもストレスがかからないと報告したものもあります。一部の人にとっては仕事場とは、有能性を感じられる場所だそうです。


ここで大事な質問は、長時間労働は果たしてより良いアウトプットに繋がっているのか?ということです。面白いことに多くの研究で、そうでもないと報告されています。ボストン大学のエリン・レイド教授によると、週に80時間以上働く人と、そのように見せかける人との間に、業績の違いは見られなかったそうです。

最近の研究では長時間労働にメリットがないというだけではなく、ダメージもあると述べています。フィンランドのマリアンナ・ヴァータネンらの研究によると、長時間労働とそれに伴うストレスは睡眠障害、うつ、アルコール依存、糖尿病、記憶障害、心臓病など多くの健康問題につながると報告しています。そしてこれらは会社にとっても病欠が増え、離職率が高まり、また、企業健康保険の出費が増えます。


またあなたの仕事が対人関係コミュニケーションを主としたり、大事な判断を必要としたり、他人の感情を接するものだったりすると(これらは現代の多くの仕事が当てはまるでしょう)、長時間労働は健康問題をさらに悪化させる可能性があるそうです。

自ら望んで長時間労働をする場合でも、疲れた状態で仕事をするとミスをする可能性が高まります。そして、疲れというのはしばしば自覚のないものだったりします。ある調査によると、一日に5〜6時間の睡眠でパフォーマンスが落ちないのは人口の1〜3%の人だけだそうです。さらに自分がこの分野に入ると思う人のうち、たった5%が実際にこの部類に入るそうです。


別の研究では長時間労働をすると全体像を見る習性が減ると報告されています。同じ研究で、バーンアウトする人は森に迷う傾向が強い、つまり、目の前のものだけを見てしまい、全体像を見失うんだそうです。

つまるところ、長時間労働をするとアウトプットが減り、パフォーマンスも下がるということが言えます。こういったことを先人は知っていたようです。19世紀に組織的な労働が導入された当初の話で、ビジネスオーナーは労働時間を10時間(その後8時間)に制限してみました。すると生産性が高まり、大コストとなるミスが減っていたのです。これはハーバードビジネススクールのレズリー・パーローとジェシカ・ポーターがその一世紀後に、知識労働者の研究で報告した実験でした。新たな実験ではコンサルタントのチームに休憩時間(夜や週末)を与えたところ、生産性が上がったのです。

最近の研究者がいうのは長時間労働を廃止せよというのではなく、長時間労働をたまにしないといけないときもあるだろうが、ルーチン化させてはいけないということです。多くの研究で提唱されているのは緊急事態に週60時間働くこともあるだろうが、それ以外は定時にすべきだというものです。

極めて長時間労働の日本の労働者には特に大事な研究報告だと思います。


参照
https://hbr.org/2015/08/the-research-is-clear-long-hours-backfire-for-people-and-for-companies
posted by ヤス at 05:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月06日

エンゲイジメント計測の意味を把握する

超長時間労働者のエンゲイジメントは低いの続き。

企業2においては、週の労働時間とエンゲイジメントに相関関係はありませんでした。そこで研究者はデータをさらに細かく見ていきました。3000人規模のデータを週労働時間が長い半分と短い半分に分けました。そして同じように、エンゲイジメント値も上半分と下半分で分けました。こうすることで全ての労働者を4つの部類に入れることができます。


長時間労働で高いエンゲイジメント:企業にとって理想的。

長時間労働で低いエンゲイジメント:この部類の人は会社を去る可能性が高い。過労状態であり、企業にとって失うと非常に痛い存在。

短時間労働で高いエンゲイジメント:これらの労働者は、低い期待に応えることができ、高い満足をし得る存在。

短時間労働で低いエンゲイジメント:この部類も去る可能性が高い。しかし短時間労働ということで、失っても企業にとって痛くない可能性もあり。

研究者は高いエンゲイジメントで短時間労働の人が多いことに驚きました。25%がこの部類に入りました。そして、22%が長時間労働で低いエンゲイジメントの部類。他、データを集約すると、多くの労働者は短時間労働を好んでいて、長時間労働の人は少数であり、彼らは低いエンゲイジメントのため、会社を去る可能性が高いことを示しました。

これは管理職には特に大事な情報となりました。もっとエンゲイジメントと生産性を高めるような文化を作る必要があります。どちらか一方だけに焦点を当てた動きでは、ネガティブな結果をもたらし得ます。この企業は現在、仕事量のバランス化を図れば、両方の数値が改善するのではと思い、取り組んでいます。


多くの人が高いエンゲイジメントは良いと言いますが、企業はエンゲイジメント値が実際に何を意味するのかを考える必要があります。この曖昧さのために、エンゲイジメント値だけに頼って企業を見てしまうと大きな絵を見失ってしまうこともあり得ます。

例えば、社員がどれだけ自分の職場が良い職場だと思っているかは、エンゲイジメントというよりも、社員と社風のマッチ度です。会社の雰囲気を心地よく感じていることで高いエンゲイジメント値が出ているかもしれませんが、生産性につながっていないこともあり得ます。また反対に、大きな変化を起こそうと働きまくっている人の生産性は高いかもしれませんが、社風とマッチしているとは限りません。

つまるところ企業はどういった社風にしていきたいか、そして、それを計測する最良の方法を考える必要があります。それができたらマネージャーに、それを各自のチームへ反映するようにコーチングする。そして、より多くの社員がその社風や価値観にエンゲイジして働ける環境を作ると理想的だと言えます。


参照
https://hbr.org/2017/02/being-engaged-at-work-is-not-the-same-as-being-productive
posted by ヤス at 06:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月20日

超長時間労働者のエンゲイジメントは低い

今日の組織心理の中でよく言われるのがエンゲイジメント。ギャロップ社の調査によると3分の1のアメリカの従業員は仕事にエンゲイジ、つまり、集中していると報告されています。世界を見るとその数字は13%と落ちます。多くの企業が従業員のモチベーションを高め、その結果、幸せ感や生産性を高めるために、エンゲイジメントをいかに高めるか考えています。


しかし研究者のフラーとシカロフはそこに注意を促します。というのもエンゲイジメントという言葉は非常に曖昧であり、一部では仕事への満足感だったり、仕事への感情投資量、必要以上のことをしようという気持ち、自分の会社が良いと認識する度合いと解釈されたりと、解釈はバラバラです。多くの研究が高いエンゲイジメントがビジネスにプラスだと言いますが、必ずしもそうではなさそうです。

例えば営業パーソンであれば、明確な数値として生産性を測れますが、多くの知識労働者の生産性を測ることは難しいです。そこでフラーとシカロフはマイクロソフト・ワークプレイス・アナリティクスを使って、知識労働者のインプット(労働時間、マネジャーと過ごした時間、ネットワークの規模など)とエンゲイジメントとの関係性を調べました。


様々な企業の社員にアンケートに答えてもらいました。入手したデータで色々な分析をした中で、一週間の平均労働時間を中心として考えてみました。週平均労働時間は、仕事の質や生産性を測るものではありませんが、エンゲイジメントと週平均労働時間の関係性を見てみました。これは2社で大きな違いが出ました。

企業1では、週平均労働時間と生産性の間に強い相関関係が見られました。長時間労働者ほどより高いエンゲイジメントを見せました。質的調査と合わせて考えると、高くエンゲイジした社員は、単純に長時間働くことを選んでいました。エンゲイジメントが高く、長時間働き、より幸せ。企業の投資利益率から見ても、こうした社員は大歓迎でしょう。

ここでは社員のエンゲイジメント度は、彼らがどれだけの時間とエネルギーを仕事に費やそうとするかと関係していると考えられます。しかし極めて長時間働いている社員を見たとき(90パーセンタイル)、エンゲイジメント度は急降下しました(これはしばしば過労を意味します)。


続きは別の投稿で。

参照
https://hbr.org/2017/02/being-engaged-at-work-is-not-the-same-as-being-productive
posted by ヤス at 07:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月12日

イギリス人は1957年が最も幸せだった

イギリス人は1957年が最も幸せだったという研究報告がありました。これは当時の首相、ハロルド・マクミランの主張と重なるものです。


研究者たちは、1776年から2009年の間に出版された800万冊の本に書かれてある言葉で、満足感に関わるものを調査しました。「楽しみ」「平和」「幸せ」といったポジティブな言葉がどれだけ使われているかと、「不幸」「ストレス」といったネガティブな言葉がどれだけ使われているかを比べました。


調べる中で、第二次世界大戦が終わった1945年以降、歓喜や幸せに関する言葉の使用が増加し始め、1957年にそれは最高点に達しました。1957年以降はポジティブな言葉の使用は減りつづけ、特に1970年代のストライキ、中でも1978年の不満の冬の時期に大きく減少しました。

ポジティブな言葉はその後、人々の収入が増えるにつれ増加しますが、1957年のレベルに達することはありませんでした。興味深いことに、1957年というと、家にはセントラルヒーティングもなく、トイレは屋外にあり、休日も少ないといった時期でした。


ワーウィック大学の研究者たちのまとめでは、2つの世界大戦の後、イギリス人たちは生活にある小さな幸せを数える事を覚え、自分が持っているものを見て幸せを感じるようになっていたのではと考えています。

第二次世界大戦が終わり、貧困の生活を強いられていた時代。そこから少し経った1957年、人々は持っているものを感謝することができていたのではと述べています。

この年は平均寿命が男性66歳、女性71歳といった時代。マクミラン首相が「率直に言わせてもらおう。ほとんどのイギリス国民はかつてこれほどにも幸せじゃなかった」と言ったのは正しかったのです。

研究者は、期待が低いほど、また、他の満足をした人々との社会的コミュニティーがある人ほど、人は幸せを感じやすいと述べています。イギリスの現代風潮は個人主義ですが、1950年代の人々は共通のゴールを持ち、コミュニティーの信頼度も高く、外出しても鍵を閉めないというのが常だったそうです。


現代生活で、人々は世界の動きをこの当時の人よりもより多く知ることができるが、それが私たちを不幸にしている可能性もある。そして現代人は仕事でのストレスなどの、増加傾向にあるプレッシャーに立ち向かわないといけない、と記しています。

あるものを見る。非常に大事なことだと思います。幸せになることは誰の人生でも最も大事な事だと思います。非常に良い実験だと感じます。

参照
https://uk.news.yahoo.com/britain-has-never-been-happier-than-it-was-in-1957-according-to-experts-125838414.html
posted by ヤス at 07:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月06日

イギリス労働者、モチベーションとエネルギー不足

2015年、500人のイギリスのホワイトカラー、18〜65歳に対して、一週間で自分のモチベーションとエネルギーが1〜10でどれくらいかをアンケートしました。結果、ほぼ半数の人たちが半分(5)以下だと回答しました。

男女差で見ると男性モチベーション平均が5.7で女性モチベーション平均が4.8。イギリスで最もモチベーション高い地域は北アイルランドで平均6.2、最も低いのはイングランドの北西部で4.3でした。


若い労働者(18〜24歳)は最もモチベーションの低いグループで、35〜44歳の労働者が最もモチベーションの高い労働者(平均5.9)でした。

モチベーションが生産性にもたらす影響を考えると、これは不安な数字と言えます。例えば、2013年のイギリス経済で、病欠によって1億1300万日が失われたと報告されています。モチベーションもかなり大規模な数字になると予想されます。

2013年、別の調査が、5000人のイギリスの労働者に対して行われ、従業員の「任意努力」を使わないコストは大きく、低モチベーション、低健康のために2012年のイギリス経済は60億ポンド(GDPの0.4%)を失ったと報告しています。


この調査ではこの他、ほぼ半数の労働者が、余分な努力をしても認められないから努力をしない(46%)、また、余分な努力をしても報酬をもらえないから努力をしない(47%)と答えています。7%の人が自分の潜在能力を発揮しようと働いていて、27%が自らの生産性を5以下だと回答しました。25%が、ビジネスで良い成果を収めると仕事量が増えるから、成果を収めたくないと答え、3分の1以上のチームが、同僚の病欠のために余分なストレスとプレッシャーを経験しています。

モチベーションが低く、エンゲイジメントが低いスタッフはビジネスのパフォーマンスや従業員の生産性レベルに大きな影響をもたらします。ビジネスを成功にもたらすには従業員が任意努力をするようにしないといけません。

モチベーションの重要性性を示す研究事例でした。

参照
http://www.talk-business.co.uk/2015/11/05/over-half-of-uk-workers-lack-motivation/
posted by ヤス at 07:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする