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2018年11月26日

貯め込み症(Hoarding ホーディング)の心理学

過度に物を貯め込むことを Hoarding と言います。ウィキペディアでは「ホーディング」として紹介されていますが、ここでは「貯め込み症」と呼ぶことにしましょう。貯め込み症は、人間関係や、心と体の健康に悪影響だと知られています。

貯め込み症はかつてはOCD(強迫性障害)の一部と分類されていましたが、現在それが見直されています。OCDの4人に1人が貯め込み症だと言われ、近い将来、溜め込み症が独立した症状になると見られます。


貯め込み症は必ず強い不安を伴い、時に認知症や統合失調症などの心の病気を伴います。近年の脳内イメージ実験では、貯め込み症患者の脳には、物質への強い愛着や、決断に対して強い不安を感じるなどといった特徴が見られたと報告されています。

貯め込みの行為は、不安を減らすと同時に、増やします。物が周りにあることで、外部の危険から守られていると感じる。それと同時に、家族や友人から乖離してしまいます。溜め込み症の人にとって、物を捨てることは、過度のパニックと不快感をもたらします。


ある人が、溜め込み症かどうかを見分けるには、貯め込む行動が他の日常的な生活行動に支障をきたさないかどうかです。その判断には以下のようなチェックリストがあります。

物が散らかったリビング
物が捨てられない
新聞、雑誌などを積み重ねて保存している
物の整理は、捨てるのではなく、場所を変えるだけ
不必要なものでももらっておく
日々の活動の決断ができない
物の整理ができない
完璧主義
所有物に過度の執着があり、他人に使わせるのが不快
他の人との交流が少ない、もしくは、無い



何が貯め込み症の原因となるかはまだ研究中ですが、貯め込み症の人にはいくつかの共通点があります。

年齢:強度の貯め込みは50才前後によく見られ、発症は11〜15才。この時期に壊れたおもちゃやもう使えないノートなどを貯め込んでいた。
性格:決断が難しく、よく不安を抱えている。
遺伝:十分な証拠は無いが、少しそのような傾向もあるかもしれない。
トラウマ:ストレスがかかったり、トラウマとなるような出来事があり、それを貯め込むという行為で対処している。
社会的な孤立:他人との交流が少なく、貯め込むことで不快感をしのぐ。

海外ではこの症状に関する多くのドキュメンタリーやテレビ番組があります。それだけ注目されている症状だと言えます。今後ますます研究が進んでいくと思われます。


参照
https://www.psychologytoday.com/gb/blog/hope-relationships/201409/the-psychology-behind-hoarding
posted by ヤス at 02:04| Comment(0) | 心理学理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月20日

「自己への思いやり」の定義

思いやりを自分に対して持つことは、思いやりを他人に対して持つことと変わりません。他人から思いやりのある行為をしてもらった時どう感じるか考えてみてください。まず、思いやりを持つにはその対象となる人は、何らかの苦しみを経験しているでしょう。その人がどんな辛い体験をしているかを考えずに、思いやりを発揮することは非常に難しいでしょう。第二に、思いやりは他人の苦しみに動かされるものであり、だからこそ、あなたの心が彼らの痛みに反応することができます(英語の思いやり"compassion"は「共に苦しむ」という意味を持ちます)。あなたの心が他人の痛みに反応する時、その人を助けたいという欲求と暖かさを感じることができます。思いやりとは同時に、他人を厳しく批判的に判断するのではなく、理解と優しさを提供します。そして、他人に思いやりを持って接することで、苦しみ、失敗、非完璧さは人間誰しもあるものだと認識することになります。


自己への思いやりもこれと同じです。あなたが苦境にあったり、失敗したり、自分の嫌いなところが目についたりする時にどれだけ理解し、優しさを持てるか。そうした苦しみをただ我慢するのではなく、そこで自分をいかにケアしたらいいかを考えます。

自分の欠点について批判的に自分を咎めるのではなくて、それらに対して優しく、理解を持って接します。つまるところ、誰があなたが完璧でなければならないなどといったのでしょうか。

人はより健康で幸せになるために、いろいろなことをしますが、それは自分自身のことをいたわっているからです。自分に価値がないと思ったり、自分を受け入れられないとそうしたことはできないでしょう。つまり、自分の人間らしさを誇り、受け入れることが、自分への思いやりにとってすごく大事だと言えます。物事はいつも思い通りにいくとは限りません。ほとんどいかないでしょう。そこでフラストレーションや悲しみ、落胆を経験します。これが人間であることの条件であり、人間誰もが共有する体験です。この現実により心をオープンにするほど(抵抗するのではなく)、自己への思いやり、そして、他人への思いやりを感じることができるのです。


参照
https://self-compassion.org/the-three-elements-of-self-compassion-2/
posted by ヤス at 07:32| Comment(0) | 心理学理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月10日

ソシオパスとサイコパスの違い

ソシオパスとサイコパスはよく同じような意味で使われますが、この2つには違いがあります。サイコパスは法律との間に問題を起こしますが、ソシオパスは社会の中により上手に溶け込みます。ソシオパスとは精神病の分類では、反社会性パーソナリティ障害に最も近いと考えられています。


ソシオパスとは?

一般的にソシオパスとは反社会性パーソナリティ障害のことだと考えられています。反社会性パーソナリティ障害は、DSM(精神障害/疾患の診断・統計マニュアル)という臨床心理のバイブル的な診断マニュアルの中で、クラスターB、つまり人格(パーソナリティ)障害だと分類されています。

ソシオパスの診断は18歳以上とされていますが、以下のソシオパスと考えられる症状は15歳以上の段階で見られます。
・法律を幾度と破る
・異常な程度の虚言癖
・身体的な攻撃性
・自他共の安全を軽視する
・仕事や家庭において無責任な行動を取り続ける
・自責の念が無い



ソシオパスとサイコパスの対比

サイコパスはソシオパスの発展形と考えら、より多くの症状を持ちます。従って、全てのサイコパスはソシオパスだと考えられますが、ソシオパスは必ずしもサイコパスだとは言えません。

サイコパス研究会によると、サイコパスの特徴はいかが挙がります。
・自責の念や罪悪感が無い
・共感力が無い
・深い感情的愛着が無い
・ナルシシズム
・表面的な魅力(チャーム)
・非正直さ
・人を巧みに騙す
・リスクを軽視する


更に、およそ93%のサイコパスは犯罪更生施設に入っているとされています。


ソシオパスとサイコパスの違い

これらの二つは共通点を多く持ちながらも、ソシオパスは共感や罪悪感の欠如度合いが、サイコパスと比べて少ないと言えます。従って、ソシオパスはまだ強い人間関係を結べる可能性があるが、サイコパスにはそれは不可能だとされています。また、ソシオパスは見知らぬ他人に害を被ることに何の罪悪感も感じないけれど、人間関係を結んだ人に対しては罪悪感や自責の念を感じると言われています。また、ソシオパスの反社会的な行動はときを経るについれて収まるが、サイコパスにはそうした動きは見られないそうです。サイコパスは反社会的な行動がもたらす結果に対して何の心配もしない一方で、ソシオパスはそれを恐れ、反社会的な行動を減らす傾向があるそうです。


サイコパスは冷淡ながら、社会的なチャーム(魅力)やそのカリスマを使って、他人を騙します。また社会の中で「普通」に振る舞ったり感情を装ったりします。驚異的な状況においても、サイコパスは感情を見せずに、犯罪的な思考を明確に持つことができます。彼らは自分がしていることが悪いことだと分かっていますが、気にしません。

それとは反対にソシオパスは、そうした状況では緊張や怒りを隠すことができません。また自分の行動の結果を考えずに、無計画な行動を取ります。サイコパスと比べると、感情的な愛着などのために、冷淡な犯罪を上手にはできません。

サイコパスもソシオパスもどちらも犯罪をすることが可能ですが、ソシオパスは愛着や人間関係を形成した人に対しては、犯罪をしにくい傾向があります。

参照
https://www.healthyplace.com/personality-disorders/psychopath/psychopath-vs-sociopath-what-s-the-difference
posted by ヤス at 02:44| Comment(1) | 心理学理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月11日

健康長寿は主に菜食、定期的な運動、そして、生き甲斐を持っている

モチベーションの研究をする中で、「生き甲斐」が内的モチベーションに関係するものかもしれない、また、日本人が内的モチベーションを表すのに「生き甲斐」という言葉がフィットするのかもしれないと考えるようになりました。


生き甲斐とは、生きる理由があり、自分の人生には意味があり、生き続ける価値があると感じることを言います。例えば、最近のキャリアに関する研究では、この生き甲斐がキャリアに大事な4つの領域全てを満たすと考えます:自分はそれが好きか、世間が必要としているか、お金をもらえるか、そして、自分にできるか・得意としているか

この日本語である「生き甲斐(ikigai)」が世界的に注目されるようになったのは、長寿を研究するダン・ビュットナーらの研究によるところが大きいと言えます。ビュットナーらは幸せてより長く人々が生きている地域をブルーゾーンと呼び、世界に4ヶ所そのような領域を見つけました。例えば、イタリアのサルデーニャ、ギリシャのイカリア、アメリカ・カリフォルニアのロマリンダ、そして、日本の沖縄です。そして、長寿の要因が、これらの地域の人々は、主に菜食であり、適度な運動を定期的に行い、そして、生き甲斐を持っていることを挙げています。ビュットナーは生き甲斐とはその人の価値観と好きなこと、そして、得意なことが交わる場所だと言います。


「生き甲斐」とは他の言語では翻訳が難しい言葉なので、そのまま ‘ikigai’ としてた言語の文献で使われることが多いです。似たような意味の言葉として、’meaning(意味・意義)’ ‘purpose(目的)’ ‘fulfilment(充実)’のような言葉があり、これらは全て健康と幸せに関連するものです。しかし、これらの言葉が「生き甲斐」のような大きさと深さを持つとは言えません。

今後のモチベーションの研究において、生き甲斐は大事なコンセプトとなってきそうです。


参照
https://www.psychologytoday.com/us/blog/finding-light-in-the-darkness/201804/what-does-it-mean-have-passion-and-purpose
posted by ヤス at 17:11| Comment(0) | 心理学理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月26日

お金はモチベーションに影響するのか?その1

人はいくら稼げば幸せになるのか。多ければ良いということでもないようです。また面白いことに、ある研究では、自分で給料を自由に決められるとしても、人々は自分の仕事をより楽しめるようにならないだろうと言われています。

つまり、お金は仕事をより楽しいものにしてくれるのか?または、高い給料がモチベーションを下げることがあるのか?これらについて考えたいと思います。

まずは、お金が仕事へののめり込み度合いを高めるか?120件の研究をまとめた論文によると、給料と仕事への満足との間の相関度数は非常に弱かった。r = .14、つまり、この2つが交じり合うのはたった2%ということ。そして仕事への満足ではなく、給料への満足と、給料との相関関係は約5%の関係性でした。つまり、人の給料とその給料への満足感はあまり関係がないと言うことです。


更に、異文化比較をすると、給料と仕事満足、給料と給料満足の関係性は、どの国や文化でもほぼ同じだと分かっています(例えば、アメリカ、インド、オーストラリア、イギリス、台湾では大きな違いはなかった)。同じような結果は、グループ間での分析でも見られました。トップ50%の給料を得ている人たちは、ボトム50%の給料を得ている人たちと同じような仕事満足度を示していました。ギャロップ社のエンゲージメント調査(34カ国、49産業、192組織、140万人が参加)でも同じような結果が出ました。

つまり、より深く仕事に関わるような社員が欲しければ、お金は答えではないということです。つまり、エンゲージメントはお金では買えないということです。では、お金はモチベーションを下げてしまうのか?一部の研究者はそうだと言います。つまり、給料という外的なモチベーション要因をもらうことで、内的モチベーションが「曇って」しまうと述べています。

心理学でこれを「過度の正当化理論」と言いますが、具体的にどれくらい給料が上がれば、モチベーションが下がるかなどは分かっていません。しかし、興味深い研究報告があります。


エドワード・デシらは、128の制御された実験をメタ分析しました。最も強く現れたのは、外的報酬がもたらすモチベーションへの悪影響です。この悪影響は、与えられた課題が興味深いものであるほど、大きくなりました。具体的には、報酬が標準偏差1つ分上がる旅に、内的モチベーションは25%下がりました。報酬が期待できて、その規模が分かっていれば、内的モチベーションは36%も下がりました。デシらは、外的な報酬に頼ることで、内的モチベーションをなくしてしまうリスクがあると述べています。

※ちなみに、つまらない課題に対しては、報酬がモチベーションを高めるそうです(参照)。

もう1つ注目したいのが、チョーとペリーのアメリカ20万人の公的機関に務める労働者を対象にした実験。従業員の内的モチベーションは、外的モチベーションの3倍もエンゲージメントに関連していて、更に、この2種類のモチベーションは互いに潰し合うということ。つまり、外的な報酬にあまり興味のない社員は、内的モチベーションが高く、また、エンゲージメントも高い。逆に、報酬に興味のある社員は、内的モチベーションが低く、仕事への関わりも低い。つまり、仕事そのものに集中していて、それが楽しいと思える社員は、仕事への関わりも高い。これは給料が低い社員の間でもみられました。

この結果を見て、例えば、今の仕事が嫌いな人は、給料くらいしか楽しみにするものがないから、こうした相関関係せ見つかったのでは、と問う人もいるかもしれません。それを実証するのは難しいですが、無きにしも非ずかもしれません。また、給料に注目する社員は、仕事を楽しむことを避けている可能性もあります。


その2へ続く

参照
https://hbr.org/2013/04/does-money-really-affect-motiv
posted by ヤス at 02:21| Comment(0) | 心理学理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする