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2019年09月07日

なぜ森林浴が体にいいのか

現代人は「自然欠乏症」だと言われています。近代化が進み、自然にふれることが少なくなったからです。国連のデータでは2050年に地球人口の75%が都市部に住むようになると報告されています。今でさえアメリカ人は9割以上の時間を屋内で過ごしています。

日本では森林医学研究会が設立され、森林が人間の健康にいかに良い影響をするかを研究し、森林浴の教育をしています。日本は都市化を進める一方で、森林が多い国です。森林が国土の3分の2を占めるものの、国民の多くが都市部に住んでいます。こうした環境が影響して、森林浴が生まれたのかもしれません。森林浴では、森の中を歩きながら五感に注意を払います。


日本では1982年に森林浴を推奨するプログラムが始まり、2004年から科学的な実験が、緑豊かな飯山という地区で始まりました。現在では毎年250万人がストレス軽減や健康促進のために森を訪れています。


森林浴の研究で有名な李教授は、医学生時代に多大なストレスを抱え、その時に森林でキャンプをして、その癒やし効果に興味を持ちました。その後、なぜ森が健康に良いのかを研究し始めました。森で時間を過ごすことが、ストレス、不安、うつ病、そして、怒りを軽減し、免疫力や心配機能の向上につながることがわかりました。

人間には生物的に自然と繋がりたいというニースがあるそうです。20年ほど前にアメリカの生物学者、ウィルソンが人間は自然界と繋がりたいと思うように作られていて、だから、自然にいると健康になると述べています。


ある研究では東京で働く中年のビジネスパーソンを取り上げました。彼らはストレスを溜め、不眠に悩んでいました。研究中、彼らは普段、都市部を歩くのと同じ時間、自然の中を歩きました。自然の中を歩くことで、彼れらの不安は下がり、よく、また長く眠ることができました。また午後の散歩の方が、午前の散歩よりも効果があることもわかりました。

別の研究では自然または都市部を歩く前と後で、彼らの気分を調べました。ウォーキングの数々の研究では、屋外であればどこでも歩くと、うつ、不安、怒りを軽減すると報告されていましたが、李教授の研究では森の中を歩いた場合だけ、人々の活力が増加し、疲労感が低下しました。

木々がなぜ私たちの健康に良いのか。理由は2つあり、1つは自然の中の大量の酸素、そしてもう1つが植物の放つ化学物質、フィトンチッドです。フィトンチッドは木々の防衛機能であり、バクテリア、害虫、カビなどから木を守ってくれます。フィトンチッドによって、身体的なストレスが減り、血圧や心拍数が下がります。松、杉などの常緑樹は多くのフィトンチッドを放出するので、こうした木々の間を歩くことは非常に有効です。

森林浴をするには、別に森の奥に行く必要はなく、体の感覚に任せて森の中を歩いていきます。葉っぱの緑の色に目を向ける人もいれば、木々が風に揺れる音に耳を向ける人もいます。五感を働かせて、森を体感していきます。焦らず、ゆっくりと森を歩きます。

またヨガ、瞑想などのアクティビティーをすることもいいでしょう。その他、詩を書いたり、ピクニックをしたり、植物を勉強するのもいいでしょう。静寂を楽しみましょう。人間が全く介入していない自然の音を聞けるかもしれません。静寂には癒し効果があります。葉っぱが揺れる音、水が滴る音、小鳥のさえずりなど。自然に触れることで、私たちはより大きなものの一部だと認識できます。


参照
https://greatergood.berkeley.edu/article/item/why_forest_bathing_is_good_for_your_health
posted by ヤス at 18:28| Comment(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月16日

予防医療として注目される森林浴

日本医療センターの李教授は月に3日は森林浴をします。森林浴は癌、発作、胃腸腫瘍、うつ病、不安、ストレスに効果があるとされています。森林浴によって免疫力が高まり、血圧が下がり、よく眠れるようになります。


イギリスの森林保護機構は今(2019)年6月、森林浴を非医療介入法として、医学会でも使われるべきだと推薦しました。現在、イギリスでは、ボランティア活動、ガーデニング、クッキング、スポーツ、ふれあいを通しての「社会的処方(social prescribing )」が注目を集めていますが、自然の中でゆっくりすることも社会的処方として使えそうです。

森林浴は1980年代に日本で生まれたコンセプトです。近年の研究では森林浴によって血圧やコルチゾール値の低下、また集中力や記憶力の向上につながると報告されています。木々が放つフィトンチッドが免疫力を高めると言われています。日本の医療界では森林浴は健康のためによく使われています。

李教授は、森林浴は予防医学であり、治療法ではないと言います。現代社会において人は自然の中で時間を過ごさなくなってきました。日本人の8割が自然とかけ離れた場所に住み、アメリカ人は一日の時間の9割を室内で過ごします。しかし人間は本来、自然の中で過ごすようにできています。ケンブリッジ公爵夫人キャサリン妃も森林浴がイギリスでの利用を支持しています。

森林浴では森の中をただ(目的地を持たずに)歩きます。体が感じるように歩きます。ゆっくりと見るもの、聞こえるもの、匂いや感覚に注意を払います。木々や葉の色に注意を向けたり、水が流れる音を聞いたり、風や匂いを味わったりします。こうしたものに注意を向けることで「今ここ」に心を持ってくることができます。

イギリスでは今、日本より40年遅れている考え、科学的な実験を実施する研究者が増えつつあります。キングスカレッジの研究では、都会にいても、木々、青空、小鳥に囀りに触れることで心の健康度が上がったと報告されています。効果は実験後数時間しても保たれたそうです。自然のヒーリング効果はたった20分でも微量ながら見られるようです。


日本人585人を対象にした実験では、都市に住む人は常にストレッサーにさらされていて、それが健康上の問題(不安症、うつ病など)につながると述べています。自然を使ったアプローチはシンプルで、利用しやすく、費用のかからない手法だと言えます。

ちなみに社会的処方の考え方は、人の健康は雇用、住生活、借金、社会的孤独や文化といった様々な要素に影響されていると考えるもので、医者の診療に来る2割の患者は社会的な問題による症状だと考えられています。こうした症状に伝統的な医学的介入はあまり効果がなく、社会的処方のような活動に注目が集まっています。近年の実験では、社会的処方によって来診患者数が3割軽減したそうです。

今後も森林浴の科学的な実証が期待されます。

参照
https://www.theguardian.com/environment/2019/jun/08/forest-bathing-japanese-practice-in-west-wellbeing
posted by ヤス at 05:24| Comment(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月16日

自然に触れるだけでも良い健康効果

森林浴には、血圧低下、免疫機能向上、病気やトラウマからの回復を早めるなどの効果があります。2016年のメタ分析では、血圧の低下に森林浴が大きな効果があると報告されました。高血圧を妨げることで、心臓に負担がかからなくなり、扁桃炎や心臓病などの発症率が下がります

植物はフィトンチッドという化学物質を放出し、これが免疫力の向上につながります。森林浴をするとナチュラルキラー細胞が増えると言われますが、これはフィトンチッドによるところが多いです。李教授らの研究では、免疫力向上の効果が一ヶ月ほど続いたので、定期的な森林浴が薦められています。


また病気からの回復に関しても近年、研究が進んでいます。自然と触れることで回復力が高まります。ロジャー・ウルリッチが行なった有名な実験でも知られるように、病院から自然が眺められる部屋いるだけで回復が早まったというケースもあります。

自然とかけ離れ、また体をあまり動かさないことは健康に大きなダメージとなります。この大きな課題に対して自然は答えを提供してくれそうです。より自然と触れることが、心と体の健康をよくしていく一つの方法だと言えます。

参照
https://www.forestholidays.co.uk/forest-bathing-benefits/
posted by ヤス at 18:47| Comment(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

森林浴の心への効果

森林浴には様々なプラスの効果がありますが、私が勤めるダービー大学の同僚らが「3つの輪モデル」を使い分析しました。3つの輪とは、歓喜の追求、落ち着き感との繋がり、そして、脅威の回避であり、それぞれが異なるホルモンを刺激します。私たちの自然に対する反応は感情に基づくものが主でした。自然と触れ合うことはこれら3つの輪のバランスを保ち、幸せ、心の健康に良い影響をもたらすことがわかりました。


ナチュラルイングランドが、自然との繋がりを報告する研究を分析しました。多くのものが自然の中で時間を過ごしたり、何かをすることが、集中力、感情コントロール、そして、疲れに対して良い、というものでした。その他、自然の中で時間を過ごすことが、都会にいるよりも、子供のADHDに良い影響が出るということも報告されています。

2012年のアメリカでの研究によると、スマホなどを全く使わずに、自然の中で4日間過ごすことで、クリエイティビティーに50%の増加が見られました。森林の中にいるとこで、瞑想的な効果を生み出し(またスマホ等で余計な注意力を使わないので)、クリエイティビティーが向上したようです。

森林浴のストレス軽減効果は今後も研究が続けられていくでしょう。

参照
https://www.forestholidays.co.uk/forest-bathing-benefits/
posted by ヤス at 17:15| Comment(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月10日

森林浴、臨床の現場で推奨されるには更なる研究が必要

近年行われたメタ分析では、森林浴がストレスを下げるのかどうか検討されました。自然の中で時間を過ごして気分が良くなることは大昔から言われてきましたが、日本の農林水産省が1982年に「森林浴」という言葉を作りました。森林浴とはただ単に森の中を歩くだけではなく、森と触れ合い、森の雰囲気を取り入れることだと専門家は言います。


ストレスを下げることが森林浴の主な効果だと述べられていますが、この他の効果も調べられています。2017年に出版されたレビューでは成人のうつ病にも効果があると報告されました。この他、肺や心臓病にも良いという結果が出ました。

森林浴に限らずに、自然に触れることの心理的なメリットは近年、よく報告されています。また研究の質は高くないですが、室内よりも自然の中で運動をした方が精神面に良い影響が出るという研究もあります。これらの発見を踏まえると自然がもたらす心への影響は今後、研究が必要な分野だと言えます。

イタリアの研究者が森林浴がストレスにどう対処するかを調べました。このレビュー兼メタ分析では、コルチゾールがどう変化するのかを見てみました。コルチゾールはステロイドホルモンで、ストレス時に増加します。コルチゾールは血中やリンパ液中にみられるので、比較的簡単に調べられる物質です。このイタリアの研究者たちはおよそ1000の論文から、30の論文を絞り出し、22はシステマティックレビュー、8件はメタ分析の対象としました。

これらの論文には、何の介入も受けない制御グループがあるものや、森林浴と都会を歩くことを比較する研究もありました。

2件を除く、28の論文において森林浴は、制御グループと比べてコルチゾール値を大きく下げるという結果が見られました。それと同時に「期待効果」もあるのではと述べています。コルチゾールが森林浴を始める直前に大きく下がっていたからです。ある論文では、研究者が森林浴をしますと言った途端に参加者のコルチゾールが下がったそうです。つまり、森に行かなくても、森の写真を見たり、頭の中で森を思い描くだけでも、プラセボ効果が出るのではと考えています。この効果が実際に森にいることからくる効果よりも大きいのでは、と結論づけています。


もちろん、その人が森林浴によってある症状を和らげたり、気分が良くなるのであれば、積極的にすれば良いですが、このレビューで分析された論文を見ると、サンプル数が小さく、研究方法もバラバラでした。また「出版バイアス」もあるかもしれないと述べています。つまり、良い結果だけを報告し、効果がなかったものは報告しない。そうだとすると森林浴が過大評価されている可能性もあります。

2012年から2017年の森林浴に関する研究は、統計的に重要な違いを生みませんでした。研究者は、研究の質が十分に高いものが少なく、臨床の現場で推奨されるにはまだ証拠不十分である、と述べています。

また別の視点では、自然が作用しているのではなく、都会に触れることが軽減することで、ストレスが下がっているのでは、という観点もあります。したがって、都会を思い起こすものに触れることで、ストレスが溜まる。だから自然で時間を過ごすと、都会と切り離されるので、それがストレスを減らしているのかもと考えられています。

何れにせよ森林浴がより受け入れられるまで、さらなる研究が必要です。

参照
https://www.medicalnewstoday.com/articles/325060.php
posted by ヤス at 21:55| Comment(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする