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2014年04月21日

ヴィゴツキーの発達の最近接領域

先日投稿したピアジェの認知発達論の他に、子供の認知発達について基本となる考え方にレフ・ヴィゴツキー(Lev Vygotsky)発達の最近接領域(zone of proximal development)というものがあります。

発達の最近接領域とは「個人的な問題解決によって定められる実際の発達レベルと、大人のガイドやより能力のある仲間との恊働による問題解決によって定められる潜在的発達レベルの差」の事です(Vygotsky, 1978)。つまり、補助があればできる事と自分だけで出来る事の間の事です。

ヴィゴツキーは学習プロセスの一部として、仲間との交流が不可欠だと考えました。子供が新たなスキルを習得するのに、彼はより能力の優れた生徒と、能力がまだ身に付いていない生徒をグループにする事を提唱しました。

生徒が最近接領域にある時、適切な補助と道具(この事を”scaffolding”と呼ぶ。直訳は「足場」ですが文脈に合うように「土台」としましょう)を提供する事は、生徒に新たな課題やスキルを習得するのに必要な物を与える事になります。最終的に土台は省かれ、生徒は自分でその課題をこなす事が出来るようになります。

ここで大事な事が最近接領域は動くという事。生徒が新たなスキルや能力を身につけるにつれ、領域も前進していきます。

例えば実験心理学を担当する先生は、最初は生徒にステップ・バイ・ステップの実験手順を教える事で土台を提供するかもしれませんが、次の実験ではそういった事はせずに、実験概要だけを説明するかもしれません。そして、最終的に生徒は自分で実験を企画して行う事ができるようになります。

これがヴィゴツキーの発達の最近接領域論です。彼の教育論に興味がある人は以下がオススメです。
ヴィゴツキー入門

以下、関連ビデオです(英語、3分)。


参照
http://psychology.about.com/od/zindex/g/zone-proximal.htm
posted by ヤス at 08:39| Comment(2) | TrackBack(0) | 知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月14日

ピアジェの認知発達論

ジャン・ピアジェ(Jean Piaget, 1896-1980)はスイスの発達心理学者、発生的認識論です。彼は自分の3人の子供を研究して、子供が成長する過程で遂げる認知発達を段階的に説明する「認知発達論」を提唱しました。ピアジェ以前は、子供は単に大人の小さい版だと考えられていました。しかし彼の理論によって、子供の考えは大人のものと根本的に異なるという事が認識され始めました。

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ここでは彼の認知発達論を見ていく事にしましょう。

1.感覚運動期(Sensorimotor Stage)

生まれてから2歳まで。赤ちゃんが自らの動きや感覚を通して外界を学ぶ時間。この時期に赤ちゃんは例え物事が自分から見えなくなっても、存在し続けるという事を学びます(物体不変性)。また自分は周りの人や物事とは別の存在だという事、自分の行動が外界の物事に影響するという事も学びます。ここでの学びの鍵は、同化と調整です。


2.前操作期(Preoperational Stage)

2〜7歳の段階です。子供は抽象的思考が始まり、物体を表すのに言葉や絵を使い始めます。また自己中心的になり、自分の視点だけで経験し始めます。この時期、子供の視点は自己中心的で、他人の視点から物を見る事に苦労します。言語力や思考力が高まりますが、まだ具体的にしか考えられない段階です。


3.具体的操作期(stage of concrete operations)

7〜11歳の段階です。この期間、子供は具体的な出来事に対して論理的に考えられるようになります。会話を聞いたらその内容を理解したり、2つのグラスを見て、水かさの高さが違っても、そのグラスの幅が違えば、水の容量は同じかもしれない、などと考える事ができます。思考は論理的、体系的になりますが、まだ具体的なままです。特定の情報から一般的な法則を導くという帰納的な考えができるようになります。

この前の段階では、グラスの幅に関わらず水かさが高い方がたくさん水が入っていると考えます(ピアジェの保存課題 "Piaget's conservation tasks")。





4.形式的操作期(Formal Operational Stage)

12歳以降。思春期に入る子供は抽象的に考えられるようになり、仮説を立てる事ができるようになります。子供は道徳や哲学、倫理、社会、政治的な問題といった理論的な、また、抽象的理由が必要な事柄について考え始めます。一般的な規則から特定の情報を導きだすという、演繹的な理論を使い始めます。


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参照
http://psychology.about.com/od/behavioralpsychology/l/bl-piaget-stages.htm
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2014年04月11日

スポーツ心理学「カタストロフィー理論」

スポーツ心理学の中心的な理論に「カタストロフィー理論」というのがあります。これはもともとは1960年代にフランスの数学者、ルネ・トム(Rene Thom)によって提唱されました。

スポーツ心理学においては、この理論は逆U字仮説を発展させた形として使われています。逆U字仮説において、過剰興奮を超えるとパフォーマンスは急降下すると考えられています。

しかしカタストロフィー理論では、パフォーマンスは高い認知緊張と体感緊張の増加によって急降下すると考えます。「カタストロフィー」とは「大失敗、悲劇」を意味します。

実際、カタストロフィー理論は、パフォーマンスがどのように起きるかという事よりも、パフォーマンスを予測する事を目的としているので、理論というよりモデルだと言えます。

そしてこのモデルはパフォーマンスは体感緊張と認知緊張、つまり体の緊張感と心の緊張感、この関係性によって影響される、と考えます。

認知緊張が高くて、体感緊張が低いとパフォーマンスは高められるが、認知と体感緊張が両方とも高いとパフォーマンスは急降下します。この急降下が起きると、アスリートは緊張によって生じた興奮の度合いを下げる事によって状態をコントロールしようとします。こうする事で、瞬時にパフォーマンスが元のものに戻る事はありませんが、緊張や興奮が落ち着く事で徐々にパフォーマンスが改善していきます。しかし、これでもパフォーマンスが上がらない事もあり得ます。

この複次元的な興奮の分析法によると、高い認知緊張と低い体感緊張がパフォーマンスには好影響だと考えます。通常、アスリートは試合の数日前は低い体感緊張を示します。試合が近づくにつれて体感緊張は増加し、最高点に達します。そして試合が始まると体感緊張は下がっていきます。その時点でもし体感緊張が下降しなかったり、逆に増加したりすると、カタストロフィーが起き、良いパフォーマンスは期待できない、と考えます。

カタストロフィーの典型的な例としては、2011年のゴルフ、マスターズのローリー・マキロイだったり、


1999年、ジャン・ヴァン・デ・ヴェルデの「カーヌスティの悲劇」といったものがあります。




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2014年04月06日

フランシス・ベーコン「知識は力なり」

先月からアメリカ、ボストンのIT会社の企画を手伝っています。この企画ではウィキペディアの心理学版のようなものを作り、ユーザーは少額のお金を払う事で、それら全てのコンテンツを見る事ができる、というような企画です。

幸いにもそのアドミニストレーター、世界で約30人のうちの1人として選んでいただきました。だから毎日時間がある時に出来上がった記事を読んで、何か間違っていないかチェックをしています。

先日はチェックをする中で科学的実験方法についての記事がありました。心理学においても他の学問においても、中心的な研究方法は科学的手法です。現象があれば、それの原因を見つけるために関係ない部分を排除して、関係する部分を絞っていく。そして、最終的に原因を突き止める事ができる。この科学的手法によって多くの発明がなされ、今も日々、新たな研究がこの方法でなされています。

この科学的手法の生みの親はイギリスのフランシス・ベーコン(1561-1626)という哲学者、科学者なんだそうです。

「Francis Bacon」ウィキペディア(英語)
「フランシスコ・ベーコン」ウィキペディア(日本語)

彼について読んでいくと、彼の名言が紹介されていました。

「知識は力なり」

この言葉、非常に良いなと思いました。もちろん、知っているだけでは現実は変わりませんが、知る事によってより効果的に欲しい結果を作り出す事ができます。今の僕の研究活動においても、知識は力だと思うと自然ともっと研究しようという気持ちが湧いてきます。

研究活動をより活発にするためにも覚えておきたい言葉だと思いました。

フランシス・ベーコンについてもっと知りたい方はこちら;
学問の進歩 (岩波文庫 青 617-1)


「知識は力なり」ウィキペディア(日本語)


留学は人生を面白くしてくれます。
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posted by ヤス at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月03日

持って生まれたものか?生まれて身につけたものか?

心理学において私たちの性格等は、持って生まれた先天的な物なのか、それとも生まれてから身につけた後天的なものなのか(Nature vs Nurture)というのは、典型的な議論の1つです。

プラトーやデカルトといった哲学者は特定の要素は産まれた環境と関係の無い先天的なものだと主張します。こういった人たちを先天論者(nativist)と呼びます。

対して、ジョン・ロック等の思想家は、生まれたとき心は白紙(tabula rasa)だと主張します。この観点では、私たちの人格や知識は、経験によって作られると考えます。こういった思想家を経験主義論者(empiricists)と言います。





先天性と後天性の例

例えばある人が勉強において成功を収めたとして、これはこの人が先天的に賢かったからこうなったのか、それとも努力したからこうなったのか?ある男性が妻や子供に暴力をふるうのは、彼が生まれながらに暴力的だからか、それとも自分の親を見て習った行動なのか?

先天的な特徴の例としては、遺伝的病気、目の色、髪の毛の色、肌の色などが挙がります。その他、寿命や身長といった事も遺伝的な物だと考えられがちですが、環境やライフスタイルも大きな影響要素だと言えます。

後天的に考える経験主義論者の例としては、チョムスキーの言語習得装置(Language Acquisition Device, LDA)が挙がります。この理論によると全ての子供は、言語を学び生産するための直感的な能力を持つと説かれています。


多くの特徴は環境的影響と関連しています。人がどう振る舞うかは、その人の親の接し方や何かを学んだ経験などといったものと関係があるでしょう。例えば、ある子供は「お願いします」とか「ありがとう」と言う事を、観察や強化から学びます。またある子供は周りの年上の子供の暴力的な行動を見て、乱暴に振る舞うようになります。

心理学において経験主義論の例としては、アルバート・バンデュラの社会学習理論(Social Learning Theory)があります。この理論によると、人は他人の行動を観察する事で学ぶと説かれています。



先天性と後天性について近代的な視点

今日、多くの専門家は行動や発達は先天的、そして後天的、両方ともに影響されていると考えています。しかし、ホモセクシャルの起源だとか、知性といったものに対しては未だに議論がされています。そして、多くの研究者は、どちらか一方に極端に偏るのではなく、どれだけ先天的な、どれだけ後天的かを考えるようになっています。





参照

http://psychology.about.com/od/nindex/g/nature-nurture.htm
posted by ヤス at 05:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする