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2019年06月10日

森林浴、臨床の現場で推奨されるには更なる研究が必要

近年行われたメタ分析では、森林浴がストレスを下げるのかどうか検討されました。自然の中で時間を過ごして気分が良くなることは大昔から言われてきましたが、日本の農林水産省が1982年に「森林浴」という言葉を作りました。森林浴とはただ単に森の中を歩くだけではなく、森と触れ合い、森の雰囲気を取り入れることだと専門家は言います。


ストレスを下げることが森林浴の主な効果だと述べられていますが、この他の効果も調べられています。2017年に出版されたレビューでは成人のうつ病にも効果があると報告されました。この他、肺や心臓病にも良いという結果が出ました。

森林浴に限らずに、自然に触れることの心理的なメリットは近年、よく報告されています。また研究の質は高くないですが、室内よりも自然の中で運動をした方が精神面に良い影響が出るという研究もあります。これらの発見を踏まえると自然がもたらす心への影響は今後、研究が必要な分野だと言えます。

イタリアの研究者が森林浴がストレスにどう対処するかを調べました。このレビュー兼メタ分析では、コルチゾールがどう変化するのかを見てみました。コルチゾールはステロイドホルモンで、ストレス時に増加します。コルチゾールは血中やリンパ液中にみられるので、比較的簡単に調べられる物質です。このイタリアの研究者たちはおよそ1000の論文から、30の論文を絞り出し、22はシステマティックレビュー、8件はメタ分析の対象としました。

これらの論文には、何の介入も受けない制御グループがあるものや、森林浴と都会を歩くことを比較する研究もありました。

2件を除く、28の論文において森林浴は、制御グループと比べてコルチゾール値を大きく下げるという結果が見られました。それと同時に「期待効果」もあるのではと述べています。コルチゾールが森林浴を始める直前に大きく下がっていたからです。ある論文では、研究者が森林浴をしますと言った途端に参加者のコルチゾールが下がったそうです。つまり、森に行かなくても、森の写真を見たり、頭の中で森を思い描くだけでも、プラセボ効果が出るのではと考えています。この効果が実際に森にいることからくる効果よりも大きいのでは、と結論づけています。


もちろん、その人が森林浴によってある症状を和らげたり、気分が良くなるのであれば、積極的にすれば良いですが、このレビューで分析された論文を見ると、サンプル数が小さく、研究方法もバラバラでした。また「出版バイアス」もあるかもしれないと述べています。つまり、良い結果だけを報告し、効果がなかったものは報告しない。そうだとすると森林浴が過大評価されている可能性もあります。

2012年から2017年の森林浴に関する研究は、統計的に重要な違いを生みませんでした。研究者は、研究の質が十分に高いものが少なく、臨床の現場で推奨されるにはまだ証拠不十分である、と述べています。

また別の視点では、自然が作用しているのではなく、都会に触れることが軽減することで、ストレスが下がっているのでは、という観点もあります。したがって、都会を思い起こすものに触れることで、ストレスが溜まる。だから自然で時間を過ごすと、都会と切り離されるので、それがストレスを減らしているのかもと考えられています。

何れにせよ森林浴がより受け入れられるまで、さらなる研究が必要です。

参照
https://www.medicalnewstoday.com/articles/325060.php
posted by ヤス at 21:55| Comment(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月02日

森林浴の6つのメリット

森林浴は体にも心にも良いとされています。ストレスホルモンの生産を抑え、幸せ感を増加させ、創造性を高め、心拍数と血圧を下げ、免疫力を高め、病気からの回復を加速させます。


1. ストレス軽減

千葉大学の宮崎教授は2004年から森林浴の効果について研究をしていて、レジャー感覚で森の中を歩くだけで、同じように都市部を歩く人たちと比べると、12.4%もコルチゾール(ストレスホルモン)が下がったそうです。その他、森林を歩いた人たちは、計測はしていないものの感覚的に良い気分で不安が少ないと答えたそうです。


2. 気分をよくする

ダービー大学の僕の同僚らが森林浴に関する研究論文をメタ分析をしたところ、自然とつながることが幸せと心の健康につながっていると報告しています。自然の中で時間を過ごすと、喜びに関するホルモンが放出され、落ち着き感が強まり、恐れが減るそうです。

3. クリエイティビティーの強化

ユタ大学のデイヴィッド・ストレイヤー心理学教授によると、自然の中で3日間過ごした人たちはのクリエイティビティーは50%も高まっていたそうです。

4. 免疫力強化

木々はフィトンチッドを空気中に放出します。この自然化学物質は体内のナチュラルキラー細胞の活動を強化し、病気に対抗してくれます。

5. 高血圧を下げてくれる

高血圧は心臓に悪影響ですが、森林浴は高血圧に対しても有効です。日本でのメタ研究で、20の実験、合計732人の参加者を調べたところ、森林で時間を過ごしたグループはそうでないグループよりも血圧が低かったそうです。

6. 病気からの回復を速める

自然は病気からの回復プロセスを速めてくれます。よく知られた研究で、健康施設の建築を専門とするロジャー・ウルリッチ博士が、窓から自然が見える部屋にいる人は、窓から都会が見える部屋にいる人と比べて、回復が速かったそうです。

参照
https://www.forestholidays.co.uk/forest-bathing-benefits/
posted by ヤス at 07:30| Comment(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月26日

五感を通して自然を体感する森林浴

森林浴とは運動したり走ったりするのではなく、単に自然の中で五感を通して自然を体感することです。森林浴とは、橋に例えられることがあります。私たちの感覚をオープンにすることで、自然界と私たちとのギャップをつなぐことができるからです。

現代社会は都会に住む人が増加する時代だと言えます。2008年に歴史上初めて都会に住む人が自然に住む人の数を上回り、2050年までには、3分の2の地球人口が都会に住むと予想されています。アメリカでは現在、平均的成人は93%の時間を室内で過ごしています(内6%は車内など交通手段)。

しかし幸い、短い時間でもいいので、自然の中で過ごすと、健康にプラスの影響があります。2時間程度、自然の中で過ごすことで、ストレスは減り、リラックス度が上がります。


森林浴の実践は簡単です。まずは自分にとっての良い場所を見つけること。そして、目的もなくゆっくりと歩いてみてください。ただ体が感じるままに歩いてみましょう。体がどこを歩きたいのか感覚に研ぎ澄ませてみましょう。ただ自然の音、匂い、景色を楽しんでみましょう。

大事なことは五感を使うことです。耳、目、鼻、口、手足を使って自然を体感しましょう。小鳥のさえずりや木々が風で揺れて葉っぱが鳴らす音に耳を傾けたり。葉っぱの微妙な色の違いに目を向けたり、木漏れ日を見るのも良いでしょう。森の匂いを楽しんで、健康に非常に良いとされるフィトンチッド(phytoncides)を取り入れましょう。呼吸をしながら空気の味を感じましょう。木の幹に手を当てたり、小川に手や足をつけてみましょう。池面に寝転がるのも良いでしょう。森を五感で感じながら、喜びや穏やかさを感じましょう。心はある意味、第六の感覚かもしれません。心のレベルで自然と繋がってみましょう。


喜びや穏やかさを感じるのに、正解はありません。十人十色、それぞれの方法があります。土の匂いが好きなのであれば、それに落ち着きを感じるでしょう。また何らかの景色が、自分の幼少期や幸せな時間を思い出させることもあるでしょう。

忙しい生活を送っている人たちはゆっくりすることを難しいと感じるかもしれません。そういうときには森林浴ガイドと共に自然を体験すると良いでしょう。

しかし一人でも様々なことができます。例えば、散歩、ヨガ、森の中で食事、温泉療法、太極拳、瞑想、呼吸、アロマセラピー、芸術活動、植物鑑賞など。自分に合うものを選ぶことが大事です。また木々さえあれば、世界中のどこでも実践が可能です。寒くても暑くても、雨でも雪でも。無料ででき、副作用の心配がない。森林浴はもっと今後研究されていくでしょう。

参照
http://time.com/5259602/japanese-forest-bathing/
posted by ヤス at 20:11| Comment(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月19日

木々が放つフィトケミカルが心身の健康にプラス

森林浴が世界で注目を集めています。特に発祥の地、日本では様々な研究結果が報告されています。新たなメタ分析によると自然の環境でより長い時間を過ごした人は、慢性的な症状にかかる可能性が低いことが報告されました。この原因には様々なことが挙げられますが、中でも強い原因として挙がっているのが木々が放出し、人が吸い込むフィトケミカルです。


イースト・アングリア大学の研究者が、103の観察研究と40の介入研究のデータを調べました。これらの研究には、自然の中で時間を過ごすグループと、都市部で時間を過ごすグループを設置して、その違いを調べたものや、手術後に窓から自然が見える部屋で過ごした場合と、窓がない部屋で過ごした場合を比較したものがありました。

これらすべての研究の参加者は3億人(合計20カ国から参加)にも及びました。この半数はヨーロッパの参加者で、森林浴がよく研究されている日本の研究は24件(英語のもののみ)もありました。

自然の中で時間を過ごすことは、様々な症状の軽減につながると報告されました:ストレスホルモンであるコルチゾール、心拍数、冠動脈心疾患、血圧、コレステロール、2型糖尿病、心臓病、総死亡率。また妊婦にとっては、未熟児を産む可能性も下げてくれるそうです。総合的に参加者は自然の中で時間を過ごすと健康面にメリットがあったと報告しています。

その他、がん、神経性関連、睡眠、バイオマーカーにおいて良い影響が見られました。メタ分析の著者は、いくつかの研究は質の高いものではないので、さらに質の高い研究が必要だと述べています。

これらの背景にあるメカニズムとして、外で時間を過ごすことが、体を動かすこと、他者と触れ合うこと、日光に当たること、新鮮な空気に触れるにつながり、これだけでも健康には大きなメリットがあります。さらに調べが必要なのが、「旧友仮説」と言って、微生物に触れ合うことで免疫システムが向上し、病気を防いでいるのでは、という仮説です。

その他、木々が放つ化学物質が免疫力向上の原因として考えられます。フィトンチッドという抗菌性の性質を持った揮発性の物質が、自然のヒーリング効果に一役を担っていると言われています。またフィトンチッドは免疫に大事な、ナチュラルキラー細胞の増加にも影響していると考えられています。

人は19世紀から自然と健康に関係があることに気づいていました。だから当時の都市計画を見ると、自然よく取り入れられています。今回のメタ分析でも言われていることですが、特に日々、自然に触れていない人にとって、自然を「処方」することはそうした人たちの健康に大きく役立つと考えられます。これは体の健康だけではなく、心の健康にも同じことが言えます。


参照
https://www.forbes.com/sites/alicegwalton/2018/07/10/forest-bathing-really-may-be-good-for-health-study-finds/
posted by ヤス at 16:29| Comment(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月12日

自然がもたらすヒーリング効果

千葉大学の宮崎教授は森林浴のもたらす健康への好影響について長年研究をしてきました。例えば、スギ林を40分歩いた参加者は、実験室を40分歩いた参加者と比べて、血圧や免疫に携わるストレスホルモン、コルチゾールの値が低かったそうです。森林で時間を過ごすことが身体のストレス低下をもたらしていたのです。


日本医科大学の李卿教授は、木々はフィトンチッド(phytoncides)という化学物質を放出していることを発見しました。フィトンチッドを取り込むと、体はアロマセラピーのような、体にプラスの効果が現れます。森の中で時間を過ごすと、血中の抗ガン力や免疫力の増加、そして、血圧の低下が見られました。

この他、近年の研究では自然に触れると、心臓病、うつ、ガン、不安、注意散漫などを抑えることができると報告されています。李教授は、森林の持つ雰囲気、美しい景色、良い匂い、そして、フレッシュな空気が健康に良い影響を与えると述べています。

1.血圧を下げる

高血圧は、例えばアメリカでは3人に1人が当てはまるとされ、国の経済に5000億ドルものコストをかけていますが、自然の中で時間を過ごすことで血圧を下げるという結果が出ています。2016年に行われた高血圧者を集めた実験では、1週間に30分以上時間を過ごした人は、より自分の高血圧をコントロールできると報告されています。研究を牽引したオーストラリア、クイーンズランド大学のダニエル・シャナハン氏は、多くの人がこれを実践したら国の医療コストは大きく下がると述べています。

森林にいると空気が綺麗なこともありますが、それに加えてストレスの低下も血圧低下に影響していると考えられます。自然の中にいると、意識をしなくても、勝手に人間の注意は周りのものに向きます。これがストレス低下につながっているのではと考えられます。また木々の香り、そして、フィトンチッドが、闘争・逃走反応を抑え、ストレスを下げていると思われます。


2.畏敬の念を強める

自然の中にいると、畏敬の念を強めてくれます。畏敬の念を抱くと私たちはより健康になります。2015年、カリフォルニア大学アーバイン校のポール・ピフ氏は60秒間、高くそびえる木を見た人は、同じ高さの高層ビルを60秒間見た人と比べて、道で困っている人を見たらより助ける確率が高いと報告しています。

畏敬の念を抱くと自分よりも大きなものがあることに気づけ、自己中心性や自分勝手さを抑え、より人を助けようと思うようになります。また畏敬の念を抱くことがよくあると、身体的にも炎症系の異常が発生しにくくなります。

また別の研究では(2016年)、44都市を比べると、公園が多い都市に住む人の方が、コミュニティーの健康度が高いと報告されています。これは、公園があるおかげで、近所に住む人と話をしたり、触れ合うことで、心の健康が向上する体と考えられます。そして、公園が多い都市に住む人は、そうでない都市に住む人とt比べて、よりエネルギッシュで、健康で、目的意識が高いと述べています。

3.抗ガン細胞の増加

植物の多い場所に住んでいた女性は、そうでない場所に住んでいた女性と比べて、12%も死(事故死以外の)の確率が低いそうです。新鮮な空気も理由の一つですが、フィトンチッドがナチュラルキラー細胞(NK細胞)を増加させ、免疫力を高め、発ガンのリスクを下げます。またNK細胞は炎症を抑え、心臓病や糖尿病の症状も抑えるそうです(実験記事)。

森の中を1日2回、数日間に渡って散歩した人は、NK細胞が50%増加、そして、NK細胞の活動が56%も増加したそうです。そして、散歩を辞めてから1ヶ月の段階でも、23%も通常より高いNK細胞の活動が見られました。また李教授らの実験では、ホテルの部屋にフィトンチッドをまいておくと、そこに宿泊した人は、散歩をしたのと同じような抗ガン機能が見られたそうです。

4.うつと不安に効く

都市部に住む人は、自然が多い場所に住む人と比べて、よりうつだったり不安を抱く可能性が高いです。アメリカでは8割の人が都市部に住んでいます。2015年の研究で分かったのは、90分間自然の中を歩いた人は、同じ時間都市部を歩いた人と比べて、うつや不安の特徴である反芻をする傾向が減り、うつや不安に関する脳の活動も低下していたそうです。手軽にアクセスできるような自然が私たちには必要だと研究者は述べています。

自然がどのようにメンタルヘルスに好影響をもたらすかはまだ分かっていませんが、自然の中で時間を過ごすことがメンタルヘルスに良いことは確実に結果で出ています。これには、空気、水、森、そして、山が持つマイナスイオンがうつ症状を下げているのかもしれません(研究記事)。


5.ADHD(注意欠陥多動障害)の症状を抑えるかも

まだ数は多くないですが、いくつかの研究で、森の中を歩くことがADHDの症状を抑えるのに有効だと述べています。ある研究では子供が20分間、異なる場所を歩きます:自然、家の近所、そして、都市部。歩いた後に、自然を歩いた子供達は、他の場所を歩いた子供達と比べて、かなり高い集中力を見せました。

ADHDでない人も、自然に触れることで集中力を増すことができます。ミシガン大学の実験では、20分間自然の中を歩くと集中力が高まり、逆に同じ時間都市部を歩いたグループにはそうした変化は見られなかったそうです。

6.直接の自然でなくても効果がある

自然の効果は、ただ部屋に植物を置くだけでも見られるそうです。自然に関する写真、音、そして匂いだけでも健康にプラスの効果があります。例えば、ヘッドフォンから自然の音を聞くと、ストレスからの回復がより早くできたそうです。多くのスパでこうした音が流されていることを思うと納得です。

また手術後の患者に対して、自然が見えるような窓がある部屋で休養してもらうと、患者の参加者は集中力が高まり、ストレスが下がったそうです。


参照
http://time.com/4405827/the-healing-power-of-nature/
posted by ヤス at 07:20| Comment(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする