2022年03月29日

イギリス国民保健サービスの自閉症に関する研究5カ年計画

自閉症は決して珍しい症状ではありません。イギリスでは人口の約1〜2%が自閉症の診断を受けています。自閉症の人は、自閉症でない人と比べて、以下のような経験をすることがよくあります。2022年3月、イギリスの国民保険サービスが自閉症に対して、5年の研究計画を発表しました。その資料(リンク以下)の最初に自閉症の人の健康に関する概要が書かれてありました。

より多くのメンタルヘルスの問題
例えばADHD、反抗挑発症、不安障害、摂食障害、気分障害、人格障害などである。また、心血管疾患、てんかん、身体障害または学習障害を持つ可能性が高い。

健康不良の決定要因がより多い、またはより広範である
自閉症者は、不完全雇用、不適切な住居、スティグマや差別、肥満、運動不足、制限された栄養価の低い食事を経験する可能性が高い。

ケアにアクセスするのが難しい
自閉症の人々が一般的な医療サービスを受けるのに苦労することが多いのは、医療提供者が彼らの感覚過敏、コミュニケーションの困難、不安、計画性や組織力の低さなどに対応できないためで、すでに悪い結果をさらに悪化させています。

短命
悲しいことに、自閉症の人は平均して、自閉症でない人よりも若く亡くなることが分かっています。学習障害のない自閉症者の場合、早期死亡の主な原因は自殺であり、晩年になるまで診断されなかった人の中で最も高い割合となっています。学習障害のある自閉症者の場合、早期の死因の第一位はてんかんです。ほとんどの自閉症者は複数の長期疾患を併発しており、自閉症に特化したサービスを改善するだけでなく、すべての医療・介護サービスにおいて自閉症者のケアを改善することの重要性が強調されています。

参照
https://www.england.nhs.uk/publication/five-year-nhs-autism-research-strategy-for-england/
posted by ヤス at 19:57| Comment(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月26日

デジタルヘルスにおける人間中心の設計

テクノロジーを健康のために使っていく「デジタルヘルス」。この研究と実践は世界中で活発になってきています。イギリスでもNHSデジタルという組織が出き、デジタルヘルスをどんどん進めていっています。デジタルヘルスのツールを作る中で、大事なのが人間中心の設計を提供することです。仕組みがあっても、使えなければ意味がありません。その意味でユーザーに対していかにフレンドリーにするのかが大事です。

人間中心の設計のための6原則が紹介されていました。

1. デザインは、ユーザー、タスク、環境に対する明確な理解に基づいて行われる。

この原則を実現するためには、サービスを利用するユーザーを対象に、観察的・探索的なユーザー調査を行い、サービスを利用する場所やタスク、目的を明らかにする必要があります。

ISO 9241-210(国際標準化機構が制定するインタラクティブシステムの規格)では、ユーザーを製品やサービスを利用する人だけでなく、その利用によって直接的、間接的に影響を受ける可能性のある人たちとも表現しています。これらのグループを特定し、そのニーズを発見する必要があります。ユーザーのニーズのきちんと理解せずにシステムを構築することは、失敗の原因の一つです。

ISO 9241-210では「ユーザー中心設計」の代わりに「人間中心設計」という言葉を使い、「一般的にユーザーと考えられている人だけでなく、多くの利害関係者への影響に対処する」ことも強調しています。これは、ユーザーや顧客となる人たちだけでなく、すべてのステークホルダー、そしてサービスの運営に関わる人たちに注意を向けるサービスデザイン思考を意識しています。

イギリスのNHSの第一原則「NHSは、すべての人が利用できる包括的なサービスを提供する」は、人間中心のデザインを意味しています。この原則では、医療サービスのデザインにおける公平性が特に強調されています。私たちは、健康の向上が遅れている社会のグループやセクション(社会的弱者と呼ばれる人たちなど)に特に注意を払わなければならないと記されています。公平性は、最も影響を受けるユーザーグループの声に積極的に耳を傾け、彼らが必要とするサポートを提供することによってのみ達成することができます。


2. 設計と開発を通じてユーザーが参加する

ユーザーリサーチは最初に一度だけ行えばいいというものではありません。デザインから稼働、そしてサービスのライフサイクルを通じて、ユーザーを巻き込まなければなりません。

3. デザインは、ユーザー中心の評価によって改良される

ユーザー調査の結果がデザインに影響を与えなければ、ユーザー調査の意味はほとんどありません。


4. プロセスは反復的である

デザインはユーザー中心の評価によって改良されるものであり、そのプロセスは反復されるべきです。そのためにも、何かを開発する際には、頻繁なユーザーリサーチセッションを計画する必要があります。こうしたユーザーフィードバックを繰り返すことで、不確実性を徐々に排除し、リスクを軽減しています。

5. ユーザーの体験全体を考慮した設計

これは単に「使いやすさ」を意味するだけではなく、ユーザーが体験するすべての要素を考慮します。どのようなルートを経てツールを使うのか?ヘルプデスクにアクセスするのか?そしてそれはユーザーの体験にどのような影響を与えるのか?長期間の使用による影響は?ユーザーは以前のシステムや他のシステムの知識を持って私たちのサービスを利用するのか?

6. デザインチームには学際的なスキルや視点を含む
「デザイン・設計」は「デザイナー・設計者」という肩書きを持つ人たちだけのものではありません。デザインプロセスで役割を担うチーム全員の関心事なのです。マシュー・サイードは、著書『Rebel ideas』の中で、認知的多様性と人口動態的多様性について語り、個人がいかに複雑な問題を自分一人だけで解決できないかを説明しています。同じような経歴や信条を持つ人たちで構成された均質なチームでは、問題空間全体をカバーすることはできないのです。

ISO 9241-210規格では、チームメンバーに、他の分野の事柄をより認識するように求めています。NHSデジタルでは、テクニカルアーキテクトとサービスデザイナーが協力して問題を解決することが主流になりつつあります。

今後デジタルヘルスが進むにつれて、こうした原則はフレームワークはますます必要になってくると考えられます。



参照
https://digital.nhs.uk/blog/design-matters/2022/how-a-20-year-old-standard-is-still-relevant-today
posted by ヤス at 00:23| Comment(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月21日

自己評価維持モデル:親密さ、パフォーマンス、関連性

私たちは友人や配偶者の功績を誇りに思い、それによって彼らとより親しくなることもあれば、時には彼らの功績が脅威となり、人間関係が壊れる原因となることもあります。このような現象を「自己評価維持SEMモデル」と言います。

自己評価維持モデルは、2つの仮定に基づいています。

(1)人は自分に対する肯定的な評価を維持したいと思う。
(2)自分が自分をどう評価するかは、ある程度、親しい人々の成果によって決まる。

そしてこれらの仮定は社会的・個人的な行動を理解する上で有用だと考えられています。親しい人の業績が脅威となり、自己同一性の変化や対人関係に否定的な結果をもたらすのが「比較過程」、彼らの業績が個人的にも関係的にも肯定的な結果をもたらすのが「振り返り過程」と考えられます。


「振り返り過程」では、周りの成功によって自分も自分のことをよく思える状態。ここには「親密さ」と「パフォーマンス」が関連します。親密さは、その人たちとどれだけ近いか。パフォーマンスは、その功績がどれだけ優れたものか。これら2つの掛け算の積が、自己評価を上げる程度を決めます。

逆に「比較過程」にある時は、相手のすごい達成で自分の功績が曇ってしまい、自己評価が下がります。ここで親密でなかったり、相手との間に何らかの違い(年齢、性別、人種など)があれば、そこで正当化ができ、ネガティブな感情を減らすこともできます。また、パフォーマンスもすごければすごいほど、感情は大きくなる。つまり、振り返り過程のように、ここでも2つの掛け算の積が自己評価に影響します。

ここで大事なのが「関連性」です。例えば、サッカーのスキルを誇らしく思っている人は、ピアノですごい成果を上げた人と知り合いだったとしても、自己評価を脅かすことはなく、プラスの影響があることの方が多いでしょう。しかし、同じサッカーだったり、フットサルですごい成果をあげている人と会うと、自己評価が脅かされるかもしれません。

従って、自己評価維持モデルによると、人は、親密さが高く、関連性が低い時に、パフォーマンスをたくさんサポートをしてくれて、逆に、親密だけれど関連性が高い時は、それほどサポートせず、邪魔することもあると考えます。また親密さは物理的な距離感を表すこともあり、例えば、見知らぬ人でも目の前でパフォーマンス難にあれば、助けたくなる場合がそうです。

また、人間関係の構築(親密さ)で考えると、関連性が高く、また、他者のパフォーマンスが高い時、自己評価を脅かすので、人はその人から距離を置く傾向があります(親密さを下げる)。逆に、関連性が低いけれど、他者のパフォーマンスが高い時は、自己評価にプラスなので、より親密になろうとします。

最後に、関連性の観点から言うと、キャリア選択や趣味選択への影響があります。パフォーマンスが自己評価に影響する場合、近い他人が何かで非常に優れていると、関連性の高い分野を選ぶと、そこでネガティブな比較が起きるので、関連性の低い他の道を選択するでしょう。そうすることで、比較過程ではなく、振り返り過程に入り、お互いの功績をよりポジティブに見ることができます(親密さの強化)。


このように自己評価が周りの功績でどう変わるのか。これを説いたのが自己評価維持モデルです。一つのモデルなので弱点や当てはまらないこともありますが、社会心理学などでよく触れられるモデルです。

参照
http://psychology.iresearchnet.com/social-psychology/self/self-evaluation-maintenance-model/
posted by ヤス at 20:57| Comment(0) | 心理学理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月22日

不安の原因と治療法

不安発作とは?

不安発作とは、圧倒されてしまうほど大きな不安、心配、苦悩、または恐怖を感じることです。多くの人にとって、不安発作は急ではなく、徐々に進行します。ストレスのかかる出来事が近づくと、不安発作が悪化することもあります。

不安発作の症状は様々で、個人差もあります。これは、不安の多くの症状が誰にでも起こるわけではなく、時間の経過とともに変化することがあるためです。

不安発作の一般的な症状は以下の通りです。

気が遠くなる、めまいがする
息切れがする
口の渇き
発汗
寒気やほてり
不安や心配
落ち着きのなさ
苦悩
恐怖
しびれやうずき


パニック発作と不安発作には共通の症状がありますが、同じものではありません。


不安の原因は何か?

不安の正確な原因は研究者にもわかっていません。しかし、いくつかの要因が絡み合っていると考えられています。それは、遺伝的要因、環境的要因、脳内化学物質などです。

さらに、研究者たちは、恐怖をコントロールする脳の領域が影響を受けているのではないかと考えています。現在の不安症の研究では、不安症に関係する脳の部分をより詳しく調べています。


不安症を診断するテスト

1つのテストで不安症を診断することはできません。むしろ、不安症の診断には、身体的検査、精神的評価、心理学的アンケートなどの診断が必要です。

医師の中には、あなたが経験している症状の原因となりうる基礎疾患を除外するために、血液検査や尿検査を含む身体検査を行う人もいます。

また、あなたが経験している不安のレベルを医師が評価するために、いくつかの不安テストや尺度が使用されます。


不安症の治療法

不安症と診断されたら、医師と一緒に治療方法を検討します。人によっては、医学的な治療が必要ない場合もあります。症状に対処するためには、生活習慣の改善で十分な場合もあります。しかし、中等度や重度の場合は、医学的な治療によって不安を克服します。

不安症の治療には2種類あり、心理療法と薬物療法です。多くの場合、まずは心理学者や精神科医に相談することが第一のステップとなります。

参照
https://www.healthline.com/health/anxiety
posted by ヤス at 08:03| Comment(0) | 心理学理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月18日

不安障害の種類と症状

不安障害の種類

不安が関係する障害にはいくつかのものがあります。

パニック障害:予期せぬ時にパニック発作が繰り返し起こる。パニック障害の人は、次のパニック発作を恐れて生活することがあります。

恐怖症:特定の物体、状況、活動に対する過度の恐怖。

社交不安障害:社会的な場面で他人から批判されることを極度に恐れる。

強迫性障害:不合理な考えが繰り返され、特定の行動を繰り返してしまうこと

分離不安障害:家や愛する人から離れることへの恐怖

疾病不安障害:自分の健康に対する不安(以前は心気症と呼ばれていた)

心的外傷後ストレス障害(PTSD):心的外傷を受けた後の不安



不安の症状

不安の感じ方は、人によって異なります。胃の不快感から、心臓がドキドキするような感覚まで様々です。心と体の間に隔たりがあり、コントロールできない感じがするかもしれません。

また、悪夢を見たり、パニック発作を起こしたり、自分ではコントロールできないつらい考えや記憶があったりします。全般的に恐怖や心配を感じることもあれば、特定の場所や出来事を恐れることもあります。

全般性不安の症状には、以下のようなものがあります。

心拍数の増加

速い呼吸

落ち着きのなさ

集中力の低下

不眠


あなたの不安の症状は、他の人とは全く違うかもしれません。だからこそ、不安の現れ方を色々と知っておくことが大切になります。


参照
https://www.healthline.com/health/anxiety
posted by ヤス at 18:39| Comment(0) | 心理学理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする