2021年05月07日

国際学術誌で論文を出版する

大学でアカデミックとしてやっていくには(アカデミックのタイプはあれども)論文出版はすごく大事です。私もこれまで数々の論文を書き、研究結果をまとめたり、新たな治療法を提案したりしてきました。おかげさまで今では100件を超える出版物があります(RG参照)。

日本の研究者の方々ともご一緒させていただき、その他、研究経験はないけれども、論文出版に興味がある学生さんや労働者の方々の指導もさせていただいております。

そこで、当ブログ読者の方々の中でも、国際学術誌に論文を出版したい!興味がある!という人は、以下コメント欄からご連絡ください。コメントは承認しない限り非表示なので、この件でのご連絡は基本、非表示とさせていただき、そこから連絡を取るという形にさせていただきます。

コメントにはお名前(フルネーム)、メールアドレス、所属、どういった研究分野に興味があるのか、などをご記入ください。

分野や論文の種類によって、出版までの時間はさまざまですが、大抵の場合、1〜2年くらいです。アカデミックの分野でのキャリアを志すにしろ、そうでない分野にしろ、国際学術出版があることは非常にプラスになると思います。よろしくお願いいたします。
posted by ヤス at 21:15| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月05日

在宅勤務の心理についてインタビューをしていただきました

たまには私の仕事のことも書こうと思います。

先日、CGNTヨーロッパというテレビ局の「アジェンダ」という番組で、在宅勤務の心理についてインタビューをしていただきました。彼らは私のこのテーマに関する論文と大学ブログを見たらしく、コンタクトを取ってくれました。視線を調整するためにパソコンのカメラの位置はどうあるべきか、音はどうかなど非常にプロフェッショナルでした。テレビ局の皆様の素晴らしい編集のおかげで、それっぽいことを言っているように映っています。企業と労働者のお役に立てばいいなと思います。以下、15:25から始まります。ご興味あればどうぞ!
posted by ヤス at 07:27| Comment(0) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月18日

自閉症の人の脳はどう違うのか

自閉症は神経発達に関わる症状です。自閉症の診断が下るのは、制限された興味、動作の反復、そして、コミュニケーション難、これら3つのうち2つがあれば下ります。そして、これらの診断特徴は脳の違いのために起きると考えられています。

自閉症の人の脳の特徴を示すような研究はまだありません。つまり、特定の決まった変化をするわけではない、ということです。自閉症の人たちの脳を見ると、それぞれ全く異なります。しかし、自閉症の人たちの中でも、特定のグループの人たちには特定の脳の傾向があるかもしれないと報告されてきました。これらの傾向がヒントとなり、自閉症のタイプに準じた治療法が開発されるかもしれません。

以下が現在、自閉症の人とそうでない人の、脳の違いでわかっていることです。MRIを使っての研究。

自閉症の子供は、大きな海馬を持つことが多いです。海馬は記憶の構築・維持に携わります。しかし、この大きさが中学や高校生になる段階でも維持されているかどうかはわかっていません。

扁桃体も異なるかもしれないと言われていますが、研究結果は今のところバラバラです。自閉症の子供の扁桃体は小さいという研究もあれば、大きいという研究もあります。不安の度合いが高いと扁桃体が小さいと報告するものもあります。別の研究では、小さい頃は大きいが、成長するにつれて普通の大きさに戻る、というものもあります。

17の写真を分析したメタ分析の論文では、自閉症の人は小脳の中の脳組織の数が少ないと報告しています。小脳は体の動きを調整するものだと考えられていましたが、最近では認知や社会的なコミュニケーションにおいても大事だと言われています。

脳の大きな部分に目をやると、大脳皮質の厚みに違いがあるという研究もあります。この違いは、自閉症の人は成長過程で、一つのタイプの神経細胞に切り替わるからかもしれないと2020年の研究で報告されました。


これらの構造的な変化は、成長過程でどのように起きるのか?

あとで自閉症と診断される乳児は、特定の脳の部分が通常よりも速く成長します。自閉症の乳児は生後6ヶ月から12ヶ月にかけて大脳皮質の表面が速く大きくなります。生後2年目になると自閉症の子供の脳の大きさは拡大し続けます。

いくつかの研究で、自閉症的な行動が顕著に現れる前に、大脳皮質が大きく成長すると報告されています。その後の成長過程では、自閉症ではないニューロティピカルな脳は、大きさを増し続けます。そして、大人になると小さくなります。対して、自閉症の脳は、20代半ばで、まだニューロティピカルな脳は大きくなり続ける段階で、小さくなっていきます。

自閉症だと診断される子供には、脳を取り囲む液体、脳脊髄液が多い場合があるそうです。これがあるために自閉症の子供の頭は大きいのかもしれないと言われています。この脳脊髄液の量と、自閉症的な行動は比例関係にあります。この脳脊髄液のニューロティピカルとの違いは、生後6ヶ月で現れ、39歳まで続くそうです。


脳のそれぞれの器官とのつながりはどうか?

脳の各部分を結びつける神経繊維、白質が自閉症の脳とそうでない脳では異なります。脳梁と呼ばれる白質管の一部、または全てがない人は、自閉症である可能性が高いとされています。脳梁は脳内の長い距離にある部分をつなぐ役割をし、この機能がないと自閉症になる。これは自閉症の関連理論と一致する結果です。

2020年の研究では、自閉症と診断をされた乳児の脳には、白質管の構造にいくつかの違いが見られました。また他の子供世代でも、同じような白質管の構造の違いがありました。


自閉症の人たちの脳で、性別による違いはあるか?

これはまだわかっていません。この理由としては、男の子と比べて女の子の方が遥かに少ない診断数だからだとノースカロライナ大学チャペルヒル校のマーク・シェン准教授は言います。

しかし最近の研究では、性別による脳の違いを示唆する研究がいくつかあります。扁桃体への影響は、男の子よりも女の子の方が大きく、また、大きい扁桃体は特に女の子において、感情面での問題と関連しているそうです。

幼稚園児において、白質の変化も性別によって異なります。自閉症の女の子は、非自閉症の女の子と比べて、脳梁の構造がより複雑であり、男の子においては、自閉症の子の方が、非自閉症の子よりもシンプルだそうです。

その他の脳構造については(サイズの成長度合い、脳脊髄液の量など)男女で違いは見られないそうです。


脳の構造は自閉症の研究になぜ大事なのか?

自閉症は、個人で大きく異なる症状だからです。つまり、全ての自閉症と診断をされる生後6ヶ月の赤ちゃんの脳で脳の液体が多いわけではないし、自閉症を持つ全ての成人の脳梁が非自閉症の脳梁と異なるわけではないですが、これらの特徴を研究することで、自閉症を持つそれぞれの人に個別で効果的な治療を考えることができます。

また、非観血的に、自閉症的な行動が現れる前に、自閉症のタイプを見分けることができれば、より効果的な手立てを打てる可能性が高まります。

参照
https://www.spectrumnews.org/news/brain-structure-changes-in-autism-explained/
posted by ヤス at 08:24| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月20日

同志と目標を共有することが進歩を妨げるケース

自分のゴールを他の人に伝たり、他の人のゴールを聞くことは、相互的な励ましを促し、有効だと言われています。しかし、最近のある研究で、特定の状況では、そうした行為が私たちを競争的にしてしまい、逆効果になることがあると報告されました。

似たような目標を持つ、能力的にも似た人たちが集まると、他人を競合とみなすようになり、彼らの努力を妨げたり、究極的には自分の努力も緩めようとする場合があるそうです。


今回の研究では6つの実験を行いました。最初に200人の参加者が「ワードクリエイティビティー」と言って、一連のアルファベットからできるだけたくさんの単語を考えつくゲームをします。そして参加者はパートナーがいると告げられ、彼らは少し参加者よりもうまくやっていると伝えられます。実際はパートナーはなく、架空の存在です。参加者は個人的な目標を与えられ、達成するとギフト券がもらえます。そして、参加者はパートナーの課題を難しくも易しくもできます。

たとえパートナーのパフォーマンスが自分のゴール達成とは無関係であっても、参加者はゴール達成に近づくにつれて、パートナーの課題を難しくしていきました。さらに参加者はその後、少し努力を緩めるようになりました。

その他の実験でも同じような傾向が見られました。自分のゴールに近づくにつれて、パートナーの課題を難しくし、自分の努力を緩める。この行為はパートナーが自分よりも少し先を行っている場合でも、少し後ろを行く場合でも見られました。しかし、最後に自分の努力を緩めた参加者は、パートナーの課題を難しくしたことが実際にパートナーの進歩を遅らせたと知った人たちだけでした。

つまり、パートナーを少し蹴落とすことができたら、参加者は少し気を抜く。気を抜くことは全く自分のゴール達成には役立たないにもかかわらず参加者はそのような行為を取りました。

この研究の大事なポイントは、私たちが同じような目標を持つ人と進歩を共有しながらすると競争的になってしまい、自分の目標達成から目が逸れて、他人との比較に焦点が向いてしまう。そして、他人の進歩が緩んだら、自分の進歩も緩めてしまう、ということです。


この結果はグループで何かをする際に、避けたい心理状況を報告すると同時に、自分の目標に対して自分がどれだけ進むかを常に念頭に置いておくことの大切さを教えてくれる研究だと言えます。

参照
https://digest.bps.org.uk/2019/02/26/how-competitiveness-leads-us-to-sabotage-other-peoples-personal-goals-at-the-expense-of-our-own/
posted by ヤス at 06:30| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月06日

セラピストの共感能力がクライアントの相性の基本となる

どのようなトレーニングや経験を得ても、特定の性質がなければ本当に良いセラピストにはなれないと近年の論文で報告されました。心理療法において、クライアントの抱える悩みに対してセラピストが持つ共感は必須です。


そこでこの研究では、セラピストの性質的な共感を調べました。プロのセラピストを集めて、彼らの持つ共感について調査をしました。そこで次の4つの要素を調べました。

他人の視点を理解する度合い;
想像上の物語のキャラクターに共感する度合い;
苦しんでいる人への思いやりの度合い;
他人が苦しんでいるところを見ると自分がどれだけ影響されるかという度合い。


参加したセラピストの23%が、一般データの平均以下のスコアを出し、これはつまり、「自分に夢中かつ感情コントロールがそれほど上手ではない」ことを示します。この部類のセラピストは他人の立場を理解するのが上手ではなく、他人の悩みに共感する力がそれほどなく、同じ状況に対して自分の感じたネガティブ感情を投影している可能性を示唆します。

26%のセラピスとが平均以上のスコアを出し、つまり、高い共感度を示しました。この部類のセラピストは他人の感情に没頭でき、他人の感情を察する能力に長けています。

最も多いグループのセラピスト(38%)は、クライアントに対して、適当なレベルの感情移入と彼らの視点の理解度を持っていました。

第四のグループに入るセラピスト(13%)は、「合理的な共感」をし、つまり、クライアントの悩みに対して、感情同化することなく、合理的な理解をすると出ました。

今回の研究から、セラピストの共感度や柔軟性が、クライアントのニーズと「合う」かどうかは今後調べていくべき問いだと言えます。また共感性が発揮できないセラピストに対してどう教育していくかも課題となりそうです。

参照
https://medicalxpress.com/news/2019-03-qualities-good-psychotherapist.html
posted by ヤス at 22:46| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする