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2019年04月19日

研究参加者募集:労働者のメンタルヘルスとテクノロジー

この研究では「労働者のメンタルヘルスとテクノロジー」に関するアンケートに答えていただきます。この研究の目的は、労働者が仕事をどのように良いものにしようとしているのかを調べたいと思っております。そして、その結果を日本人労働者とオランダ人労働者の間で比較しようと考えております。参加条件として、週に最低でも3日一つの組織で働いていること、そして、仕事で情報通信に関するテクノロジー(パソコンやスマートフォン)を使っていることが挙がります。

今回、回答していただくアンケートでは、あなたの仕事を振り返っていただき、それぞれの項目がどれだけ当てはまるのかを考えてもらいます。選択肢からもっとも当てはまるものを選んでください。全てを回答するのにおよそ20分かかります(全7尺度[アンケート])。もし今回の研究でわかったことを後日、メールで受け取りたい場合は、アンケートの最後にメールを記入する質問があるので、そこにご記入ください。データ集計から研究論文の出版に至るまでに1〜2年ほどかかることをご了承ください。

個人情報は守秘義務を守り保管され、アンケートの回答は下記の研究者によって分析されます。出版を目的にこの研究は論文化されますが、データは匿名化され、個人は特定できません。完全に匿名化されたデータは他の研究者と共有することもあります。研究への参加は任意であり、参加しなければいけないというものではありません。また回答後に辞退したいということであれば、回答の7日後までであれば、データの削除をすることができます。辞退する理由は問われません。その際は、研究者まで参加者コードを送信してください。

この研究はオランダ、アムステルダム大学の研究倫理許可を得て、行われています。
研究へはこちらのリンクから参加していただけます。

皆様のご参加、心よりお待ちしております。
その他、この研究に関して質問があれば、研究者、小寺康博(Y.Kotera@derby.ac.uk)までご連絡ください。
ミシェル・ヴァン・レーサム、小寺康博、大嶋玲未
posted by ヤス at 06:37| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月25日

EU一般データ保護規則(GDPR):合法性、公平さ、透明性(lawful, fair, transparent)

EU一般データ保護規則(GDPR)が2018年5月25日に施行され、研究者にどのような影響があるのかをご紹介します。

GDPRとは、個人情報をどのように処理するのかに関係します。イギリスでは、情報委任委員(Information Commissioner's Office; ICO)がこの役を担います。そして、健康研究局(Health Research Authority)が健康分野に関わる研究に対してガイダンスを出しています。

個人情報とは、生きている個人を特定できる情報のことです。従って、名前や誕生日はもちろん、遺伝情報や生物学的な数値も、もし独特で個人特定が可能であれば、個人情報となります。また、匿名化された情報であっても、データと特定可能な情報が同じ組織で保持されていれば、個人情報となります。


ICOの「Anonymisation code of practice (匿名化実施規則)」に沿って匿名化された情報は、個人情報とみなされません。この例としては、個人を特定できる情報が他の組織で管理されていて、特定化をしないとの合意がある場合です。匿名化の行動が、個人情報を処理しているとみなされます。匿名化実施規則は時に更新されるので最新のものを知るようにしましょう。

GDPRが欧州の研究者にどう影響するか
GDPRで求められることは、多くの研究施設の研究倫理で行われていることと同じです。特にGDPRが重視するのが、情報処理が合法的に行われ、公平であり、透明であるということです。研究施設と研究者個人にこれを確かめる義務があります。

研究施設は情報処理の法的な根拠を特定する必要があります。研究者も、HRAやNHSといった医療団体はこれらを尋ねてくるので、この根拠を知る必要があります。最も法的な根拠となるであろうものが、「公の利のためである」というものです。こうした理由があれば、倫理許可を出した組織が情報処理に対して信頼のできる判断を下したと、参加者に知らせることができます。

健康に関する情報など、特別な部類の情報を処理するときは、「セーフガードに準じて、科学的な研究のために必要である」という追加の項目をクリアする必要があります。このセーフガードとは、組織での研究倫理委員会の許可であったり、必要なデータのみを処理する、できる箇所は匿名化を必ず適用する、などといったことです。研究者は、参加者の情報で、特に個人が特定されるような情報については十分に注意をする必要があります。


残りの二つ、公平さと透明性ですが、公平さについては参加者の権利を尊敬し、情報処理が同意した通りに行われているということ。従って、透明性と関連します。参加者への情報は明確で、理解できるものでないといけません。

合法性、公平さ、そして、透明性。GDPRを理解する上で、特に研究者には大事な言葉だと言えます。

参照
https://mrc.ukri.org/news/blog/gdpr-research-changes/
posted by ヤス at 06:34| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月24日

イギリスでは教師が最も長く働いている

労働組合会議(Trade Union Congress)の調べによると、イギリスの教師は、週に12時間をオーバータイムとして無償で働いているそうです。これは教師人口で合計すると週に900万時間、年間で換算すると4億2000万時間に及びます。


小学校教師が13時間と最も長くオーバータイムで働いており、続いて12.8時間の中学校教師、そして、保育園の教師は6時間のオーバータイムを記録しています。これらの数値は、企業の役員、弁護士、サービス業やファイナンス業界のマネージャーのオーバータイムよりも長いものです。教師のオーバータイムを年間で合計すると、約74万人の教師の労働量に相当します。イギリスの教師は他国と比べても、オーバータイムが長い国だと報告されています。

また教師業はストレスの比較的高い職業であり、政府からの手厚いサポートが必要だと言われています。

参照
https://www.tes.com/news/teachers-work-more-unpaid-overtime-anyone-else
posted by ヤス at 06:43| Comment(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月08日

日本人マネージャーによるNLPの活用:質的研究

現在、日本の産業界においてメンタルヘルスの問題は深刻であり、注目を集めています。政府も様々な対策を実行していますが、大きな効果はまだ見えてきません。そこで企業のHRは様々な手法を模索していますが、NLP(神経言語プログラミング)もその手法の1つとして注目されています。一部の企業では、NLPを使うことで、従業員のメンタルヘルスや心の状態を改善しようと試みがなされています。

しかし、NLPが70年代に開発されてから長年の問題点は、その科学的根拠が弱いところにあります。一定量の研究はされていますが、残念ながら研究の質が高いものはあまり多くありません。そこで今回の研究では、NLPを実際に現場で使っているNLPマスタープラクティショナーであり、企業のマネージャーでもある人たちの経験を、科学的に分析をしました。NLPの強みが、主観的な経験を利用するところにあるので、今回のような体験ベースの事象を分析する方法はふさわしいと言えます。


具体的には、半体系化インタビューといって、ある程度の質問は用意するものの、そこから参加者に考えを話してもらって、それを記録するインタビュー法。そして、分析方法は、主題分析といって、話された内容から何が主題となるのかを客観的に分析する方法です。これらの方法は、質的研究で、特にまだあまり研究されていない分野の研究にふさわしい手法です。

合計11人のマネージャーや社長の方々に、1対1のインタビューに参加していただきました。参加条件として、企業でマネジメントを主とする役職にあること、NLPマスタープラクティショナーであること、そして、マスタープラクティショナーの認定から最低でも1年以上は経っていること(そうでないとNLPがどれだけ使えるかわからない可能性があるので)等を挙げました。参加したマネージャーや社長の方々の平均年齢は53歳、うち9人が5000人以上の大企業に属していらっしゃいました。

インタビューデータの分析の流れや、主題の構成は、私の他に、NLPに詳しい研究者と詳しくない研究者が、客観的であるかの判断をしました。インタビューの質問としては、

NLPが職場で役立っているか?そうであれば、どのように役立っているのか?
NLPは何をもたらすのか?
NLPを職場で使う際の問題点は?

などを尋ねました。

インタビューの結果を調べると、全てのマネージャーと社長がNLPが職場で非常に有効だと答えました。具体的には、職場で必要なメンタルヘするや心理学的な能力を高めてくれると答えていました。例えば、8フレームアウトカムでは、ワクワクするようなゴールを設定し、それをさらに五感情報で体感し、ゴールの先のポジティブなビジョンを描きます。そうしたフレームワークが、心をポジティブにしてくれると答えていました。


また、NLPがもたらすものとして、人間の心を理解させてくれる、というのが多くの回答でした。なぜ自分が、または、部下がこう感じるのか。それに対する答えを、NLPを学ぶことでわかりやすく考えることができたと述べています。例えば、カウンセリングやコーチングでは、一定のフレームワークを与えられてそれを実行するだけです。しかし、NLPではそれがなぜ作用するかを考えます。例えば、コーチングで有効だとされる質問。これがなぜ有効なのか、そうしたことをNLPは教えてくれる。

またリフレーミングが非常に有効だという声が多かったです。色々な出来事を、ああよかったと思わせてくれる。そんなものの柔軟な考え方。それが非常に有効だと述べていました。

最後に、職場で使う際の問題点としては、コーチングには職場での「市民権」があるが、NLPにはまだない、という声がありました。だから職場で使う際にはイメトレといったり、コーチングだと言わないと実践してくれない人が多い。その他、もともと臨床の場から来ているので、職場で使うには長すぎたり、特に左脳系の人には理解してもらえなかったりすることがある、という声がありました。例えば、8フレームアウトカムにしても、「8つも質問してられない。せめて3つにして〜」という声や、左脳系の人に「その気持ちは何色ですか?」と聞いても、何も返ってこなかったりする、というのもありました。

分析の結果を考えると、NLPは特にポジティブ心理学との関係性が強いと言えます。例えば、ニューロロジカルレベルもよく使えるスキルだと挙がっていましたが、そこでもポジティブな感情を高めることが特徴でした。また、人の心を理解する上では、メタモデルがNLPでは強みだと言えますが、これは様々な哲学的な概念とも関係がありそうです(例:クオリアや六境など)。NLPの前提も非常に有効なようです。これを意識することで、より支援的に、また、モチベーションを高めるようなリーダーシップが取れる。これらから、今後は、より職場に特化したNLPの開発も有効なのかもしれません。


最後に、NLPはまだ職場での認知度が低いようです。この理由として、NLPが商売化しすぎていると指摘する研究者もいますが、コーチングと比べると、むしろコーチングの方が商売化しているとも言えます。しかし、コーチングはより普及していることを考えると、NLPの資格や実践の規制が不安定なことが上がるのかもしれません。

今後またさらにNLPやメンタルヘルスに関する実験を続けていきたいと思います。

参照
Kotera, Y. & Van Gordon, W. (2019). Japanese managers’ experiences of Neuro-Linguistic Programming: A qualitative investigation. Journal of Mental Health Training, Education and Practice. doi: 10.1108/JMHTEP-06-2018-0033
posted by ヤス at 08:15| Comment(1) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月25日

海外で時間を過ごすほど、自己認識が高まる

海外で時間を過ごすことは自分を知る上で非常に有効なようです。

アメリカ、ライス大学のハヨ・アダムスらの研究で、自分自身をいかに明確に、自信を持って定義できるか、「自己認識度」という概念が初めて研究されました。過去の研究で、人生の変化において(就職、離婚など)人は自分が誰かを見失う傾向があるので、いかに自分を知るかは大事だと言われてきました。

今回の研究では、計1874人の参加者を募りました。まず第一部では、約300人を集め、半分は海外に住んだことがあるグループ、半分はそうした経験がないグループに分けました。彼らは12の項目からなる「自己認識度」に関するアンケートに答えました。例えば、「一般的に、私は自分が何者であるかを明確に知っている」などといった項目です。結果、海外に住んだことがあるグループの方が、より高い自己認識度を示しました

しかしこの段階ではまだ海外で生活することが高い自己認識につながったのか、それとも自己認識が高いから海外でのチャンスに飛びつこうとしたのかはまだわかりません。そこで、第二部ではまたおよそ300人を集め、半分は海外に住んだことがある人たち、そして、他の半分は、9ヶ月以内に海外に住む決定的な計画がある人たちを集めました。参加者は「自己認識度」に関するアンケートと、「自己の振り返り」に関するアンケートに答えました。

海外に住んだ経験のある参加者は、(近い将来、確実に海外に住む予定があるが)海外にまだ住んでいない参加者と比べて、より高い自己認識度を示しました。そして、この自己認識度は、自己の振り返りが良くできている人ほど、高いものとなりました。海外での時間が長いほど、自分を明確に理解できるという結果になりました。


さらに研究者は色々な国から来ている学生を対象に調査をしましたが、結果は(生活をした国の数よりも)海外で過ごす時間が長いほど、自己認識が高いという結果になりました。海外で長い時間を過ごした学生は、自分のキャリアに対して明確な計画を持っていました。

研究論文の最後で、研究者たちは1919年に出版されたヘルマン・カイザーリングの「哲学者の旅日記」で記された「自己理解への最短の道が、世界中を旅するようあなたを導くだろう」を引用し、それから100年した今回の実験はこれを科学的に裏付け得るものになったと述べています。

参照
https://digest.bps.org.uk/2018/05/09/more-time-spent-abroad-increases-self-concept-clarity-confidence-in-and-clarity-about-who-you-are/
posted by ヤス at 05:30| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする