【心の理屈メルマガ】登録はこちらから!

2019年05月26日

五感を通して自然を体感する森林浴

森林浴とは運動したり走ったりするのではなく、単に自然の中で五感を通して自然を体感することです。森林浴とは、橋に例えられることがあります。私たちの感覚をオープンにすることで、自然界と私たちとのギャップをつなぐことができるからです。

現代社会は都会に住む人が増加する時代だと言えます。2008年に歴史上初めて都会に住む人が自然に住む人の数を上回り、2050年までには、3分の2の地球人口が都会に住むと予想されています。アメリカでは現在、平均的成人は93%の時間を室内で過ごしています(内6%は車内など交通手段)。

しかし幸い、短い時間でもいいので、自然の中で過ごすと、健康にプラスの影響があります。2時間程度、自然の中で過ごすことで、ストレスは減り、リラックス度が上がります。


森林浴の実践は簡単です。まずは自分にとっての良い場所を見つけること。そして、目的もなくゆっくりと歩いてみてください。ただ体が感じるままに歩いてみましょう。体がどこを歩きたいのか感覚に研ぎ澄ませてみましょう。ただ自然の音、匂い、景色を楽しんでみましょう。

大事なことは五感を使うことです。耳、目、鼻、口、手足を使って自然を体感しましょう。小鳥のさえずりや木々が風で揺れて葉っぱが鳴らす音に耳を傾けたり。葉っぱの微妙な色の違いに目を向けたり、木漏れ日を見るのも良いでしょう。森の匂いを楽しんで、健康に非常に良いとされるフィトンチッド(phytoncides)を取り入れましょう。呼吸をしながら空気の味を感じましょう。木の幹に手を当てたり、小川に手や足をつけてみましょう。池面に寝転がるのも良いでしょう。森を五感で感じながら、喜びや穏やかさを感じましょう。心はある意味、第六の感覚かもしれません。心のレベルで自然と繋がってみましょう。


喜びや穏やかさを感じるのに、正解はありません。十人十色、それぞれの方法があります。土の匂いが好きなのであれば、それに落ち着きを感じるでしょう。また何らかの景色が、自分の幼少期や幸せな時間を思い出させることもあるでしょう。

忙しい生活を送っている人たちはゆっくりすることを難しいと感じるかもしれません。そういうときには森林浴ガイドと共に自然を体験すると良いでしょう。

しかし一人でも様々なことができます。例えば、散歩、ヨガ、森の中で食事、温泉療法、太極拳、瞑想、呼吸、アロマセラピー、芸術活動、植物鑑賞など。自分に合うものを選ぶことが大事です。また木々さえあれば、世界中のどこでも実践が可能です。寒くても暑くても、雨でも雪でも。無料ででき、副作用の心配がない。森林浴はもっと今後研究されていくでしょう。

参照
http://time.com/5259602/japanese-forest-bathing/
posted by ヤス at 20:11| Comment(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月19日

木々が放つフィトケミカルが心身の健康にプラス

森林浴が世界で注目を集めています。特に発祥の地、日本では様々な研究結果が報告されています。新たなメタ分析によると自然の環境でより長い時間を過ごした人は、慢性的な症状にかかる可能性が低いことが報告されました。この原因には様々なことが挙げられますが、中でも強い原因として挙がっているのが木々が放出し、人が吸い込むフィトケミカルです。


イースト・アングリア大学の研究者が、103の観察研究と40の介入研究のデータを調べました。これらの研究には、自然の中で時間を過ごすグループと、都市部で時間を過ごすグループを設置して、その違いを調べたものや、手術後に窓から自然が見える部屋で過ごした場合と、窓がない部屋で過ごした場合を比較したものがありました。

これらすべての研究の参加者は3億人(合計20カ国から参加)にも及びました。この半数はヨーロッパの参加者で、森林浴がよく研究されている日本の研究は24件(英語のもののみ)もありました。

自然の中で時間を過ごすことは、様々な症状の軽減につながると報告されました:ストレスホルモンであるコルチゾール、心拍数、冠動脈心疾患、血圧、コレステロール、2型糖尿病、心臓病、総死亡率。また妊婦にとっては、未熟児を産む可能性も下げてくれるそうです。総合的に参加者は自然の中で時間を過ごすと健康面にメリットがあったと報告しています。

その他、がん、神経性関連、睡眠、バイオマーカーにおいて良い影響が見られました。メタ分析の著者は、いくつかの研究は質の高いものではないので、さらに質の高い研究が必要だと述べています。

これらの背景にあるメカニズムとして、外で時間を過ごすことが、体を動かすこと、他者と触れ合うこと、日光に当たること、新鮮な空気に触れるにつながり、これだけでも健康には大きなメリットがあります。さらに調べが必要なのが、「旧友仮説」と言って、微生物に触れ合うことで免疫システムが向上し、病気を防いでいるのでは、という仮説です。

その他、木々が放つ化学物質が免疫力向上の原因として考えられます。フィトンチッドという抗菌性の性質を持った揮発性の物質が、自然のヒーリング効果に一役を担っていると言われています。またフィトンチッドは免疫に大事な、ナチュラルキラー細胞の増加にも影響していると考えられています。

人は19世紀から自然と健康に関係があることに気づいていました。だから当時の都市計画を見ると、自然よく取り入れられています。今回のメタ分析でも言われていることですが、特に日々、自然に触れていない人にとって、自然を「処方」することはそうした人たちの健康に大きく役立つと考えられます。これは体の健康だけではなく、心の健康にも同じことが言えます。


参照
https://www.forbes.com/sites/alicegwalton/2018/07/10/forest-bathing-really-may-be-good-for-health-study-finds/
posted by ヤス at 16:29| Comment(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月12日

自然がもたらすヒーリング効果

千葉大学の宮崎教授は森林浴のもたらす健康への好影響について長年研究をしてきました。例えば、スギ林を40分歩いた参加者は、実験室を40分歩いた参加者と比べて、血圧や免疫に携わるストレスホルモン、コルチゾールの値が低かったそうです。森林で時間を過ごすことが身体のストレス低下をもたらしていたのです。


日本医科大学の李卿教授は、木々はフィトンチッド(phytoncides)という化学物質を放出していることを発見しました。フィトンチッドを取り込むと、体はアロマセラピーのような、体にプラスの効果が現れます。森の中で時間を過ごすと、血中の抗ガン力や免疫力の増加、そして、血圧の低下が見られました。

この他、近年の研究では自然に触れると、心臓病、うつ、ガン、不安、注意散漫などを抑えることができると報告されています。李教授は、森林の持つ雰囲気、美しい景色、良い匂い、そして、フレッシュな空気が健康に良い影響を与えると述べています。

1.血圧を下げる

高血圧は、例えばアメリカでは3人に1人が当てはまるとされ、国の経済に5000億ドルものコストをかけていますが、自然の中で時間を過ごすことで血圧を下げるという結果が出ています。2016年に行われた高血圧者を集めた実験では、1週間に30分以上時間を過ごした人は、より自分の高血圧をコントロールできると報告されています。研究を牽引したオーストラリア、クイーンズランド大学のダニエル・シャナハン氏は、多くの人がこれを実践したら国の医療コストは大きく下がると述べています。

森林にいると空気が綺麗なこともありますが、それに加えてストレスの低下も血圧低下に影響していると考えられます。自然の中にいると、意識をしなくても、勝手に人間の注意は周りのものに向きます。これがストレス低下につながっているのではと考えられます。また木々の香り、そして、フィトンチッドが、闘争・逃走反応を抑え、ストレスを下げていると思われます。


2.畏敬の念を強める

自然の中にいると、畏敬の念を強めてくれます。畏敬の念を抱くと私たちはより健康になります。2015年、カリフォルニア大学アーバイン校のポール・ピフ氏は60秒間、高くそびえる木を見た人は、同じ高さの高層ビルを60秒間見た人と比べて、道で困っている人を見たらより助ける確率が高いと報告しています。

畏敬の念を抱くと自分よりも大きなものがあることに気づけ、自己中心性や自分勝手さを抑え、より人を助けようと思うようになります。また畏敬の念を抱くことがよくあると、身体的にも炎症系の異常が発生しにくくなります。

また別の研究では(2016年)、44都市を比べると、公園が多い都市に住む人の方が、コミュニティーの健康度が高いと報告されています。これは、公園があるおかげで、近所に住む人と話をしたり、触れ合うことで、心の健康が向上する体と考えられます。そして、公園が多い都市に住む人は、そうでない都市に住む人とt比べて、よりエネルギッシュで、健康で、目的意識が高いと述べています。

3.抗ガン細胞の増加

植物の多い場所に住んでいた女性は、そうでない場所に住んでいた女性と比べて、12%も死(事故死以外の)の確率が低いそうです。新鮮な空気も理由の一つですが、フィトンチッドがナチュラルキラー細胞(NK細胞)を増加させ、免疫力を高め、発ガンのリスクを下げます。またNK細胞は炎症を抑え、心臓病や糖尿病の症状も抑えるそうです(実験記事)。

森の中を1日2回、数日間に渡って散歩した人は、NK細胞が50%増加、そして、NK細胞の活動が56%も増加したそうです。そして、散歩を辞めてから1ヶ月の段階でも、23%も通常より高いNK細胞の活動が見られました。また李教授らの実験では、ホテルの部屋にフィトンチッドをまいておくと、そこに宿泊した人は、散歩をしたのと同じような抗ガン機能が見られたそうです。

4.うつと不安に効く

都市部に住む人は、自然が多い場所に住む人と比べて、よりうつだったり不安を抱く可能性が高いです。アメリカでは8割の人が都市部に住んでいます。2015年の研究で分かったのは、90分間自然の中を歩いた人は、同じ時間都市部を歩いた人と比べて、うつや不安の特徴である反芻をする傾向が減り、うつや不安に関する脳の活動も低下していたそうです。手軽にアクセスできるような自然が私たちには必要だと研究者は述べています。

自然がどのようにメンタルヘルスに好影響をもたらすかはまだ分かっていませんが、自然の中で時間を過ごすことがメンタルヘルスに良いことは確実に結果で出ています。これには、空気、水、森、そして、山が持つマイナスイオンがうつ症状を下げているのかもしれません(研究記事)。


5.ADHD(注意欠陥多動障害)の症状を抑えるかも

まだ数は多くないですが、いくつかの研究で、森の中を歩くことがADHDの症状を抑えるのに有効だと述べています。ある研究では子供が20分間、異なる場所を歩きます:自然、家の近所、そして、都市部。歩いた後に、自然を歩いた子供達は、他の場所を歩いた子供達と比べて、かなり高い集中力を見せました。

ADHDでない人も、自然に触れることで集中力を増すことができます。ミシガン大学の実験では、20分間自然の中を歩くと集中力が高まり、逆に同じ時間都市部を歩いたグループにはそうした変化は見られなかったそうです。

6.直接の自然でなくても効果がある

自然の効果は、ただ部屋に植物を置くだけでも見られるそうです。自然に関する写真、音、そして匂いだけでも健康にプラスの効果があります。例えば、ヘッドフォンから自然の音を聞くと、ストレスからの回復がより早くできたそうです。多くのスパでこうした音が流されていることを思うと納得です。

また手術後の患者に対して、自然が見えるような窓がある部屋で休養してもらうと、患者の参加者は集中力が高まり、ストレスが下がったそうです。


参照
http://time.com/4405827/the-healing-power-of-nature/
posted by ヤス at 07:20| Comment(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月19日

研究参加者募集:労働者のメンタルヘルスとテクノロジー

この研究では「労働者のメンタルヘルスとテクノロジー」に関するアンケートに答えていただきます。この研究の目的は、労働者が仕事をどのように良いものにしようとしているのかを調べたいと思っております。そして、その結果を日本人労働者とオランダ人労働者の間で比較しようと考えております。参加条件として、週に最低でも3日一つの組織で働いていること、そして、仕事で情報通信に関するテクノロジー(パソコンやスマートフォン)を使っていることが挙がります。

今回、回答していただくアンケートでは、あなたの仕事を振り返っていただき、それぞれの項目がどれだけ当てはまるのかを考えてもらいます。選択肢からもっとも当てはまるものを選んでください。全てを回答するのにおよそ20分かかります(全7尺度[アンケート])。もし今回の研究でわかったことを後日、メールで受け取りたい場合は、アンケートの最後にメールを記入する質問があるので、そこにご記入ください。データ集計から研究論文の出版に至るまでに1〜2年ほどかかることをご了承ください。

個人情報は守秘義務を守り保管され、アンケートの回答は下記の研究者によって分析されます。出版を目的にこの研究は論文化されますが、データは匿名化され、個人は特定できません。完全に匿名化されたデータは他の研究者と共有することもあります。研究への参加は任意であり、参加しなければいけないというものではありません。また回答後に辞退したいということであれば、回答の7日後までであれば、データの削除をすることができます。辞退する理由は問われません。その際は、研究者まで参加者コードを送信してください。

この研究はオランダ、アムステルダム大学の研究倫理許可を得て、行われています。
研究へはこちらのリンクから参加していただけます。

皆様のご参加、心よりお待ちしております。
その他、この研究に関して質問があれば、研究者、小寺康博(Y.Kotera@derby.ac.uk)までご連絡ください。
ミシェル・ヴァン・レーサム、小寺康博、大嶋玲未
posted by ヤス at 06:37| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月25日

EU一般データ保護規則(GDPR):合法性、公平さ、透明性(lawful, fair, transparent)

EU一般データ保護規則(GDPR)が2018年5月25日に施行され、研究者にどのような影響があるのかをご紹介します。

GDPRとは、個人情報をどのように処理するのかに関係します。イギリスでは、情報委任委員(Information Commissioner's Office; ICO)がこの役を担います。そして、健康研究局(Health Research Authority)が健康分野に関わる研究に対してガイダンスを出しています。

個人情報とは、生きている個人を特定できる情報のことです。従って、名前や誕生日はもちろん、遺伝情報や生物学的な数値も、もし独特で個人特定が可能であれば、個人情報となります。また、匿名化された情報であっても、データと特定可能な情報が同じ組織で保持されていれば、個人情報となります。


ICOの「Anonymisation code of practice (匿名化実施規則)」に沿って匿名化された情報は、個人情報とみなされません。この例としては、個人を特定できる情報が他の組織で管理されていて、特定化をしないとの合意がある場合です。匿名化の行動が、個人情報を処理しているとみなされます。匿名化実施規則は時に更新されるので最新のものを知るようにしましょう。

GDPRが欧州の研究者にどう影響するか
GDPRで求められることは、多くの研究施設の研究倫理で行われていることと同じです。特にGDPRが重視するのが、情報処理が合法的に行われ、公平であり、透明であるということです。研究施設と研究者個人にこれを確かめる義務があります。

研究施設は情報処理の法的な根拠を特定する必要があります。研究者も、HRAやNHSといった医療団体はこれらを尋ねてくるので、この根拠を知る必要があります。最も法的な根拠となるであろうものが、「公の利のためである」というものです。こうした理由があれば、倫理許可を出した組織が情報処理に対して信頼のできる判断を下したと、参加者に知らせることができます。

健康に関する情報など、特別な部類の情報を処理するときは、「セーフガードに準じて、科学的な研究のために必要である」という追加の項目をクリアする必要があります。このセーフガードとは、組織での研究倫理委員会の許可であったり、必要なデータのみを処理する、できる箇所は匿名化を必ず適用する、などといったことです。研究者は、参加者の情報で、特に個人が特定されるような情報については十分に注意をする必要があります。


残りの二つ、公平さと透明性ですが、公平さについては参加者の権利を尊敬し、情報処理が同意した通りに行われているということ。従って、透明性と関連します。参加者への情報は明確で、理解できるものでないといけません。

合法性、公平さ、そして、透明性。GDPRを理解する上で、特に研究者には大事な言葉だと言えます。

参照
https://mrc.ukri.org/news/blog/gdpr-research-changes/
posted by ヤス at 06:34| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする