2023年10月05日

AI研究:顔の感情表現が異文化感で共通する

カリフォルニア大学バークレー校の新しい研究によれば、ブラジルの誕生日パーティー、ケニアの葬式、香港の抗議デモなど、さまざまな社会的な状況で人々は同じような表情をする。つまり、笑顔やしかめっ面、不機嫌な顔などが、異なる状況でも共通して見られることが明らかになりました。

この研究結果は、ナチズムやポピュリズムが世界中で台頭している現在、地理的や文化的な境界を越えた人間の感情表現の普遍性を支持しています。この研究の共同筆者であり、カリフォルニア大学バークレー校の心理学教授であり、グレーター・グッド・サイエンス・センターの創設ディレクターであるダッチャー・ケルトナーは、次のように述べています;

「この研究は、人々が人生で最も意味のある瞬間に直面したとき、どのように感情を表現するかに関して、世界中の人々が驚くほど似ていることを明らかにしています。」

カリフォルニア大学バークレー校とグーグルの研究者たちは、「ディープ・ニューラル・ネットワーク」として知られる機械学習技術を用いて、アフリカ、ヨーロッパ、中東、アジア、北中南米にまたがる144カ国の人々からYouTubeにアップロードされた約600万本のビデオクリップの表情を分析した。

UCバークレー校とグーグルの研究者で、ディープ・ニューラル・ネットワーク・アルゴリズムの開発に貢献し、研究を主導した筆頭著者アラン・コーウェン氏は、「これは、日常生活でどのように表情が使われているかについての世界初の分析であり、普遍的な人間の感情表現が、多くの科学者が以前想定していたよりもずっと豊かで複雑であることを示しています」と述べました。

コーウェンは、このアルゴリズムが16の感情に関連する表情の変化をどのように追跡するかを示す、オンラインのインタラクティブ・マップを作成しました。このアルゴリズムは異文化間の共感を促進するだけでなく、自閉症の子どもや大人など、感情を読み取るのが苦手な人が特定の感情を伝えるために一般的に使用される表情を認識できる可能性も考えられます。一般的な人間の顔には43種類の筋肉があり、目、鼻、口、顎、眉の周りを動かすことで何千通りもの表情を作ることができます。

どのように研究がなされたか
まず、研究者たちはコーウェンの機械学習アルゴリズムを用いて、世界中で起こるさまざまな出来事や交流を記録した600万本のビデオクリップに映し出された表情を分析しました。これらのビデオクリップには、花火を見たり、楽しそうに踊ったり、泣いている子供を慰めたりする瞬間も含まれています。

彼らはこのアルゴリズムを駆使して、16の感情に関連する表情を追跡しました。これら感情には、娯楽、怒り、畏怖、集中、混乱、軽蔑、満足、願望、失望、疑念、高揚、興味、苦痛、悲しみ、驚き、勝利といったものが含まれます。

その結果、地理的や文化的な背景に関係なく、人々がさまざまな社会的状況でどのように表情を用いるかについて、注目すべき共通点が見られました。「畏敬、苦痛、勝利などから連想される微妙な表情のニュアンスが、世界中で同様の社会的状況で使用されていることを我々は発見しました』とコーウェン氏は述べました。

たとえば、花火大会では畏敬の表情が見られ、結婚式では満足感を示し、武道をする際には集中し、抗議活動では疑念を示し、ウェイトリフティングでは痛みを表し、ロックコンサートや競技スポーツイベントでは勝利の喜びを表現する傾向があることを、コーウェン氏は指摘しました。

その結果、異なる文化圏の人々は、異なる社会的・感情的状況に対して出る表情の約70%を共有していることがわかりました。

「これは、感情を顔に表すことが人間にとって普遍的であるというダーウィンの説を支持するものです。感情を身体的に表現することによって、私たちが種としてどのような存在であるかを明確にし、コミュニケーション能力や協力性を向上させ、生存に貢献している可能性があります。」

参照
https://greatergood.berkeley.edu/article/item/are_facial_expressions_the_same_around_the_world
posted by ヤス at 17:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年09月28日

「現実主義的評価」を端的に

現場で働くスタッフが、実験で報告されている新たな介入や方法を現場に導入するには様々な壁があります。実際の現場では、患者やスタッフの状況、社会文化的環境が研究の場面とは全く異なる場合があるからです。そのため、新しい介入を実施し評価するには、注意深く考え抜かれた創造的なアプローチが必要となります。そのようなアプローチの一つが「現実主義的評価(RE)」です。

ここでは現実主義的評価の概要と、この方法論はどのように利用できるかを紹介していきます。


現実主義的評価(RE)の特徴
REは、医療介入の評価を行うための枠組みを提供する研究方法論であり、調査を進める際の仕組みだとして知られています。REアプローチにより、研究者は「誰にとって、どのような状況で、どのような点で、どのように効果があるのか」を問うことで、介入がどのように機能するかについての理論を構築することができます。介入がどう機能するかがわかっていない状態のことを「ブラックボックス」と言い、内部の仕組みが見えないことを意味します。REのアプローチはその反対の「クリアボックス」評価です。つまり、「結果」がどのような「(介入プロセス)メカニズム」と「(社会文化的な)状況」の中で生まれたのかを、透明性をもって報告します。

介入がどのように機能するかを説明する理論は、「結果」が「特定の状況」である「メカニズム」を経て起きることを認識します。これは「CMOc(Context, Mechanism, Outcome configurations)」と表記されます。

例えば、
刑務所にいる人の中には反抗的な人もいる(状況)ので、
義務化されていない活動に従事することを拒否する(メカニズム)。
だからC型肝炎検査の受診率は改善しない(結果)。

状況
どのような形の調査であれ、その中で行われる状況があり、これが介入成果に影響します。REの権威であるポーソン(Pawson)は状況には以下の「4I」のいずれかの特徴である可能性があると述べています。

Individual: 評価対象のプログラムに参加する個人。

Interrelationship: すべてのステークホルダー間の相互関係。

Institution: プログラムが運営されている機関。

Infrastructure: プログラムを取り巻く、より広範なインフラストラクチャー(社会的、経済的、文化的)。


医療介入が導入される背景を明確に特徴づけることで、介入のefficacy(理想的な臨床環境で得られた結果)とeffectiveness(現実の環境で得られた結果)を区別することが可能になります。

メカニズム
メカニズムには3つの特徴があります。

介入に対する人々の相互作用や反応であること
介入によって見られた結果がどのようにもたらされるかを説明するものであること、そして
隠れたものであるが、状況の影響を受けるものであること

です。

つまり、メカニズムとは、介入の構成要素ではないということになります。構成要素とは統計的な回帰モデルに含まれたり、そこに見られたりする変数のことです。

結果
観察される結果は、状況とメカニズムを明確に定義し測定できるようにするために、正確である必要があります。また理想的には定量的であるべきです。質的な結果は、記述された差異がカテゴリカルな形式で示される場合は価値があると判断されます。

理論
プログラム理論とは、研究者が「どのように、なぜ、どのような条件下で」介入が機能すると期待されるかを説明する前提のことです。

仮説
次に、研究者は既存の文献を検討し、そして関係者とプログラム理論について議論し、自身の専門的な臨床経験を検討します。これにより、介入はどのように機能することが期待されるか、あるいは機能しない場合はどのような場合か、一連のCMOcを構築することができます。これらは、RE分野では「フォークセオリー」と呼ばれることもあります。

観察
ここで出来上がったCMOcを検証します。REでは、状況や目に見えないメカニズムを十分に探るために、質的調査と量的調査をミックスしたデータ収集を行います。調査結果は、CMOcと合わせて分析され、理論を支持または否定する証拠が求められます。

プログラムのスペック
REの目標は、正式な定量調査の目標である「一般化可能な結果」とは対照的に、確実で移転可能な「プログラムスペック」理論を特定することです。これは、特定の状況から切り離されない抽象度のやや低い理論を開発することで達成されるため、移譲が可能なものです。「プログラムスペック」の理論の正確性を確認するために、REサイクルを繰り返して再テストする場合もあります。このプロセスについては、JackとLinsleyの論文で詳しく説明されています。



REの長所と短所
REの長所は「個人の行動、反応、解釈が介入の結果に影響を及ぼす可能性が高い」と考えている、非常に現実的な点です。したがって、データ収集や結果のテストする際には、これらの要因を考慮します。短所としては、エビデンスに基づく実践の階層で、システマティックレビューとランダム化比較試験(RCT)が、介入による結果の原因を確認できる最も強固で標準化された方法論的アプローチと考えられています。そのため、RE研究ではRCTで期待されるような妥当性、信頼性、一般化可能性が期待できない点です。

結論
REの方法論はこれまで広く用いられてはこなかったが、患者やサービスとの相互作用の後、「目に見えること以上に、本当はここで何が起こっているのか」と自問する医療スタッフの間で、このアプローチが支持されつつあります。医療という学問分野は、患者を評価しケアを提供するために、全体的なアプローチを採用しています。REは、健康の身体的要素だけでなく、心理社会的、環境的、文脈的な領域も含めることの重要性を本質的に理解した研究アプローチです。従って、REの方法論は、研究熱心な医療スタッフの強力なツールだと言えます。


参照
https://ebn.bmj.com/content/25/4/111
posted by ヤス at 03:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・メンタルヘルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年09月11日

現実主義的統合(Realist Synthesis)とは?

現実主義的統合とは、現実世界、特に複雑な状況において、物事がどのように、そしてなぜ機能するのかを理解するために用いられる研究アプローチです。あるプログラムや政策、介入が成功したり失敗したりする理由を考える時などに使われます。この複雑そうなアプローチですが、簡単にいうと以下の5つのステップを経ます。

1 問題またはプログラムの特定
まず、研究したいテーマやプログラムを選ぶ。ヘルスケア・プログラムから社会政策まで、何でも構いません。

2 エビデンスの収集
調査、報告書、インタビューなどさまざまな情報源から情報を集め、プログラムや介入の成果について学びます。

3 パターンの発見
「これはうまくいく」「これはうまくいかない」というだけでなく、現実主義的総合はパターンを見つけ、その背後にある理由を理解しようとします。プログラムのどの部分が、ある人にとっては成功し、他の人にとっては成功しなかったのか、などを考えます。

4 理論構築
発見したパターンに基づいて、なぜそのようなことが起こるのか、理論や説明を作成する。ここでできた理論は、今後同じような状況で何がより効果的かを理解するのに役立ちます。

5 テストと改良
これらの理論が正しいかどうか、あるいは調整が必要かどうかを確認するために、他の環境でテストします。これによって理解が深まり、プログラムや政策の立案においてより良い判断ができるようになります。

つまり現実主義的統合とは、現実世界の状況を「どのように」「なぜ」に焦点をあて、深く掘り下げ、より良く機能させる方法を学ぶ方法です。物事の本質を理解するための探偵のようなものです。


現実主義的評価フレームワーク(Realist Evaluation Framework)
現実主義的統合のための確立された枠組みとして「現実主義的評価フレームワーク」がある。このフレームワークは、研究者や評価者が、プログラム、政策、介入の成果に寄与する根本的なメカニズムや状況を理解するために、体系的に現実主義的アプローチを実施するのに役立ちます。

1  プログラム理論の明確化
研究しているプログラムや介入を明確に定義することから始めましょう。その意図する成果は何か、どのように機能することになっているのか。このステップは、プログラムの論理を明確に理解するのに役立ちます。

2 状況・メカニズム・成果(Context, Mechanism, Outcome, CMO)を特定
現実主義的総合は、特定のメカニズム(物事がどのように機能するか)が特定の状況(物事がいつ、どこで起こるか)において引き起こされ、結果(成果)を生み出すという考えを中心に展開されます。利用可能なエビデンスやデータから、これらのCMO構成を特定していきます。

3 エビデンスの発見
定性的・定量的データ、調査研究、報告書、専門家の意見など、幅広い証拠を収集します。これらの証拠は、CMOの構成を明らかにするのに役立つはずです。

4 初期理論の構築
エビデンスと特定されたCMOの構成に基づき、プログラムや介入がさまざまな状況でどのように機能し、さまざまな成果を生み出すかについて、初期の理論を構築します。

5 理論のテストと改良
構築された初期理論は、追加的なエビデンスや他の情報源からのデータに対して矛盾しないかどうかテストされるべきです。このテストは、理論を洗練させ、より強固なものにするのに役立ちます。

6 発見の統合
最後に、すべてのエビデンスと理論を統合し、プログラムがさまざまな状況でどのように作用し、なぜ特定の結果をもたらすのかについて包括的に理解します。

現実主義的評価の枠組みは反復的であり、新しい証拠が入手可能になるにつれて、継続的に理論を洗練し、検証することの重要性を強調しています。様々な調査や評価の文脈に適応できる柔軟なアプローチであり、現実の環境における複雑な介入やプログラムを理解するための貴重なツールとなります。

posted by ヤス at 06:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年09月09日

現実主義評価(Realist Evaluation)とは?

現実主義評価(Realist Evaluation 以下、RE)の主要な概念とプロセスを簡単に紹介します。REという言葉はポーソンとティレイの著者で初めて使われました。

REは、「ある介入が、どこでも、誰にでも作用するわけではない」という仮定に基づいています。したがって、

「誰にとって、どのような状況で、何が、どのように有効か」を考えます。

特に大事な焦点として、

因果関係 (何かを引き起こす行為)と帰属(何かを帰属させる行為)があります。


基礎となる考え方
REは、現実主義(社会世界を現実とみなす哲学的視点)に基づいています。したがって、文化、階級、経済システムなど、観察不可能な実体やプロセスが、治療の成功に現実的な影響を及ぼす可能性を考えます。家族、学校、経済システムなどの社会システムには、人、資源、情報の流れというダイナミックな動きがあります。これらの社会システムは相互に影響し合うため、現実には必ずしも境界が存在しなくても、評価のためにシステムの境界を定義する必要があります。これらは他の社会システムと相互作用する可能性があるため、因果関係は単純な直線的プロセスでは描けないことが多いです。

どのような場合にREを用いるのが適切か?
REは、地域社会に根ざした公衆衛生プログラムなど、幅広い学習の可能性があるものなど「複雑な介入」を評価するのに適している。しかし、混合的な結果をもたらす治療を評価する際に「どのように、なぜ、どこで、どのように」治療が機能するのかがすでに理解されている場合、治療が単純で、万能なものである場合、介入による正味の効果だけが注目される場合などには適さない。


参照
https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/1004663/Brief_introduction_to_realist_evaluation.pdf
posted by ヤス at 07:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月30日

"Case for Support"について

研究費を応募するときに、 Case for Support というものを要求されることがあります。これは、提案された研究とその意図する成果を記述するものです。背景、重要性、方法論、関連するすべての作業や活動を網羅し、質の高い研究プログラ ムにする必要があります。Case for Support で、なぜこの提案が資金支援されるべきかを審査員に説明します。研究費の申請にはよく共同電子提出(Je-S)システムが使われますが、ここではA4版8ページの1文書として添付する必要があります。


チームの専門性と実績
チームの専門性と実績に関する書類は、A4で2ページ以内とします。

研究チームが研究を実施するのに適切な専門知識と経験を有していることを審査員に示してください。学外のパートナーや共同研究者もチームの一員とみなしましょう。この研究提案に関連するチームの最近の研究成果や進歩を要約してください。これには、その研究が社会や経済に与えた実証可能な貢献についても言及することができます。

また、受入機関のチーム、プロジェクト・パートナー、共同研究受益者の専門知識と能力を明記し、それらが提案された研究にどのように、またなぜ適切であるかを説明する必要があります。学際的な提案の場合、チームを構成する専門分野の幅を明確にすることが特に重要です。

産業界などの受益者とのパートナーシップについては、提案された研究活動に対するその重要性と、そのパートナーシップがどのように研究に利益をもたらすか、または影響の可能性を高めるかを説明します。適切であれば、これらのパートナーとの関連する過去の共同研究を詳細に説明すること。

客員研究者との共同研究については、その研究者がプロジェクトにどのような貢献をするのか、なぜその研究者が最も適切な人材なのかを説明する必要があります。

フレックス勤務やキャリアの中断が、研究チームのメンバーにどのような影響を与えたかを述べてください(該当する場合のみ)。その必要が生じた個人的な事情を説明する必要はなく、個人の実績やキャリア開発への影響を説明する必要があります。

提案する研究とその背景の説明
提案された研究とその背景の説明は、A4 で最大 6 ページまでとします。このセクションを使って、提案する研究とその背景を説明してください。あなたが何を達成しようとしているのか、なぜそれがタイムリーで重要なのか、そしてどのように目的を達成するのか、その詳細な計画を提案書を審査する人に示す必要があります。

申請書の構成は、以下が一般的です。

背景
提案テーマを紹介し、その学術的、産業的、政策的、社会的、その他関連する背景を説明する。その研究によって誰がどのような恩恵を受けるかを示す。

EPSRC の助成金を受けている現在の研究ポートフォリオの中で、この研究がどのような位置づけにあるのか、また、英国内外の過去および現在の研究とどのように関連しているのかを説明する。

知識の貢献
研究が、当該分野および関連分野の国内外の研究者にどのような利益をもたらすかを説明すること。他分野の研究者と連携し、新たな知見を広める機会も含め、研究者が恩恵を受けられるようにするためにどのようなことを行うかを詳述すること。

国にとっての重要性
イギリスが国際的な競争力を維持するために、なぜその研究がイギリスの税金で支援される必要があるのかを申請者に説明することです。なぜその研究がイギリス経済に利益をもたらしうるのか、なぜその研究が別の学問分野の発展につながりうつのか、国際的な見地からもなぜその研究が支援を得るにふさわしいのかを説明する必要があります。

以下の点を踏まえながら、提案された研究が長期的にどのような効果をもたらすかを説明します。

1 他の研究分野の健全性、現在または将来のイギリス経済の成功、主要新興産業の発展、イギリス社会の主要課題への対応に貢献できる。
2 ニッチを有する分野を含め、世界をリードする独自の研究活動を確立または維持することで、国家戦略上のニーズを満たすことができる。
3 イギリスのポートフォリオの他の研究や戦略とマッチし、補完するものである。

申請者は、その研究がEPSRCの研究分野と戦略にどのように関連し、補完するかを示す必要があります。ポートフォリオの詳細は、EPSRCのGrants on the Web (GoW)から入手できます。


研究仮説と目的
研究のアイデアや仮説を述べる。提案されたプロジェクトが斬新で時宜を得たものである理由、例えば科学的野心や変革的成果の可能性を強調する。プロジェクトの全体的な目的と、それに対する成果、結果、影響を評価するための測定可能な目標を明確にすること。

プログラムと方法論
研究方法論の詳細と正当性。実施される研究およびインパクトに関連する活動を含む作業プログラムを説明すること。プロジェクト・パートナーや利害関係者を含め、研究チームの各メンバーの貢献を明らかにすること。進捗状況のモニタリングに使用する目標とマイルストーンを示し、プロジェクトの管理方法を説明する。

プロジェクトのインパクトを強調する
助成金の申請プロセスにおいて、インパクトは重要な検討事項です。そのため、提案された研究のインパクトを最大化する方法を、研究の性質と範囲に適した方法で強調する必要があります。

例えば、発見研究に重点を置いた提案では、主に新知見の創出に重点を置くかもしれませんし、応用研究の要素が大きい提案では、経済的・社会的利益に関連する影響を持つかもしれません。

研究申請の評価基準では、創造性を発揮し、適切であれば、インパクトに関連する活動を支援のケース全体に統合することができます。EPSRCは、そのような活動のための完全なコスト計算とリソースの要求を強く推奨しています。

国にとっての重要性とインパクトの関係
国にとっての重要性の目的は、イギリスが国際的な競争力を維持するために、なぜその研究がイギリスの税金で支援されることが重要なのかを明確にすることです。国にとっての重要性には、上記の通り様々な側面があるため、この質問に対する回答には、なぜその研究がイギリス経済に利益をもたらすのか、なぜその研究が異なる学問分野の発展につながるのか、なぜEPSRCの戦略的実施計画の文脈において重要なのか、なぜ国際的にリードするグループが支援を受け続けることが重要なのか、などが含まれます。

インパクトは品質基準の中で「提案された方法論の適切性とインパクトを実現するためのアプローチが適切かどうか」というで項目で問われます。インパクトとは「研究の受益者が誰なのか」また「知識の発見から利用までの時間を短縮するために、その受益者とどのように協力するのか」ということです。

私たちは、応募者が研究のインパクトを予測できることを期待しているわけではありませんし、インパクトがもたらす便益を完璧に計算するよう期待しているわけでもありません。しかし、私たちはすべての研究者に、自分の研究の成果を「誰が利用しうるのか」そして「それを実現するためにはどうすればよいのか」を早い段階から考えることを奨励しています。


責任あるイノベーション
責任あるイノベーションとは、社会的に望ましく、公共の利益のためになる「科学とイノベーション」の創造性と機会を促進しようとするプロセスのことです。イノベーションには、資金提供者、研究者、一般市民を含む利害関係者、影響を受ける当事者すべてが重要な役割を担う「集団的責任」が伴います。申請者は、プロジェクトの計画中および期間中、責任あるイノベーションを考慮し、EPSRCの責任あるイノベーションのためのフレームワークの中で活動することが期待される。

パブリック・エンゲージメント
効果的なパブリック・エンゲージメントとは、研究者が参加者の話を聞き、参加者から学ぶという双方向のコミュニケーションです。助成金の対象となる研究に関連した、十分に計画されたパブリック・エンゲージメント活動が奨励されます。正当な理由があれば、広報活動に関連する費用を申請することができます。どの人口グループを対象とし、彼らがどのような恩恵を受け、どのようにその活動を評価しますか?これを明確にしましょう。

Case for Support を書くコツ
Case for Support は、あなたの研究が資金提供されるべきであると研究仲間を説得する機会です。明確で簡潔、専門用語を使わないスタイルで書きましょう。特に査読者には、研究の何が魅力的なのかを説明しましょう。自分の研究分野の専門家たちに、あなたのプロジェクトの価値を納得してもらう必要があります。


あなたの提案が独創的であることを審査員に納得させ、目的を明確かつ簡潔に説明しましょう。他の人が同じような研究をしているからといって、提案が却下されるわけでは ありませんが、アプローチの新規性や成功の可能性を説明できなければ、提案の価値は不確かなものになります。

研究の性質によっては、研究問題の定義、研究プログラムの方針策定、インパクトを実現する計画に、主要な利害関係者を含めることが適切な場合もあります。このような場合、これらの詳細と、今後どのようにステークホルダーを関与させるかを説明してください。

適切であれば、インパクトの実現を支援する活動は、質の高い研究プログラムの不可欠な一部となり得ます。例えば、社会、経済、人々、知識など、どのようなインパクトが研究プログラムにふさわしいかを検討してください。

インパクト創出を促進するための適切なリソースを申請書に要求する際には、経費を節約しようとするよりも、潜在的な成果の実現を支援する適切な経費を含める方がはるかに好ましいです。

パートナーシップと共同研究は、知識の交換を可能にする重要なやり取りです。適切であれば、研究成果から利益を得るであろう関連するエンドユー ザー、パートナー、潜在的パートナーを特定しましょう。

提案書への貢献やレビューに外部のパートナーを招いた場合は、それもCase for Supportに記載しましょう。産業界のパートナーや政策立案に携わるパートナーは、インパクト創出の経験を持っており、提案された活動のこの側面を実現するのに役立つ可能性があります。

研究であれインパクト重視であれ、すべての活動は十分に練られたものでなければなりません。それぞれの活動には、適切に配分され、正当化された資源が必要であり、また、どのように達成されるかを明確に示すために、実施のための責任の所在が定められていなければなりません。提案内容を明確に考え、それがどのように成功するかを説明しましょう。

プロジェクトの期間については、現実的に考えてください。他者を巻き込む時間やインパクトが実現するまでの時間などを確保するために、より長い期間のプロジェクトを申請することを希望する場合もあります。

ジャーナルベースの評価基準
研究評価に関するサンフランシスコ宣言(DORA)の勧告と原則を支持するUKRIのコミットメントの一環として、UKRIの審査員およびパネルメンバーは、個々の研究論文の質の代用尺度として、ジャーナル・インパクト・ファクターのようなジャーナル・ベースの指標を使用しないことを推奨しています。

論文の内容は、特に初期段階の研究者にとっては、出版指標や掲載誌の特定よりも重要です。査読者やパネルメンバーは、研究発表に加えて、すべての研究成果(データセット、ソフトウェア、発明、特許、プレプリント、その他の商業活動を含む)の価値と影響力を考慮するよう奨励されています。査読者やパネルメンバーには、政策や実務への影響力など、研究インパクトの質的指標を含め、幅広いインパクト指標を考慮するよう推奨されています。

参考文献や図版のリストは、A4 版 6 ページ以内に収め、追加添付や付録として提出することはできません。


参照
https://www.ukri.org/councils/epsrc/guidance-for-applicants/what-to-include-in-your-proposal/case-for-support/
posted by ヤス at 19:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする