2021年06月25日

目で判断する日本人、口で判断するアメリカ人

ハッピーな顔文字には、なぜ目の部分にキャレット(^^)が付いているのでしょうか?研究によると、表情豊かな目を持つ顔文字がアジア(特に日本)のユーザーに好まれるのは、異文化間の心理の違いによるものだと考えられています。2005年に発表された研究では、個人の文化的背景によって、顔の表情を解釈する方法が異なるという仮説を立てています。

研究者は、
「人が感情を表現するとき、目は口よりもコントロールが難しいことから、日本のように感情を沈めることが当たり前になっている文化圏の人は、他人の感情を解釈するときに、口よりも目をより強く意識すると予測しました。対照的に、あからさまな感情表現が主流の文化(米国など)では、顔の中で最も表情豊かな部分である口の位置に基づいて感情を解釈する傾向があると考えました。」

2つの実験が行われました。1つ目の実験では、イラストで描かれた顔を使用し、2つ目の実験では、実在の人物から撮影した編集済みの表情を使用しました。2つ目の実験では、口と目の感情表現を調整しました。いずれの実験でも、被験者はアメリカ人と日本人のみであり、この2つの文化を比較しました。

研究者らは、西洋人と東洋人では、周囲の世界をどのように解釈し、理解するかが異なる可能性があると説明しています。具体的には、欧米人は個人主義を重視しており、感情を否定することは本当の自分を否定することに等しいと考えられます。一方、日本、中国、韓国などでは、集団主義、相互依存の傾向があるため、人間関係の調和を保つために感情を抑制することが多いです。

笑顔としかめっ面は、大頬骨筋と眼輪筋という2つの筋群によってコントロールされています。大頬骨筋は口の動きを、眼輪筋は目の動きをコントロールしています。口よりも目の方が感情表現を抑えにくいため、日本をはじめとする東洋文化圏では、目が最も正確な感情の指標であると考えられているのです。

これに関連して、偽の笑顔(ファイクスマイル)は口だけを動かしますが、真の笑顔は目と口を動かします。写真を撮るために笑顔を装ったことがある人は、この違いがわかると思います。

今回の調査結果は、顔文字の違いを説明するのに役立ちます。例えば、文章を書くとき、アメリカ人は通常、嬉しいときには :) 、悲しいときには :( と入力して顔のアイコンを表します。一方、日本人は嬉しいときには(^_^)、悲しいときには(;_;)と入力します。このような違いは、上記の研究にあるような目と口の違いにあるのかもしれません。


参照
https://www.psychologytoday.com/gb/blog/the-red-light-district/201608/the-cross-cultural-significance-emoticons
posted by ヤス at 17:40| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月17日

リモートワークの孤独感にはセルフコンパッション

リモートワークが世界中で活用されています。コロナの後でも引き続き、リモートワークの活用は続くと思われます。メリットが多いですが、健康上の問題があることも近年、報告されています。インディアナ大学の研究者は、リモートワークが孤独感をもたらし、うつ病のリスクを高めることを発見しました。

職場での孤独感は、従業員のメンタルヘルスや行動にどのように影響するのか。この研究では、孤独感を助長するとされる3要因、「仕事の不安感」、「在宅勤務の頻度」そして、「パンデミックへの対応に関する会社からの十分なコミュニケーションの有無」が調べられました。

2020年3月中旬から5月中旬までの間、研究者は様々な業種の従業員を対象に毎週調査を行いました。

その結果、リモートワークをしている人は、うつ病の症状が出やすいことがわかりました。また、同僚を助けようとしたり、プロジェクトを率先して進めようとしたりすることも少ないとわかりました。


リモートワークの憂鬱を解消するには?
研究チームは、人々が在宅勤務のライフスタイルにうまく適応できるようにするには、セルフコンパッション、つまり、自分を理解してやることが必要であると述べています。日常生活にセルフコンパッションの行動を加えた人は、うつ病の症状が顕著に減少しました。

辛い時に自分に思いやりを与えることで、孤独感を減らし、仕事へのパフォーマンスを維持することができます。セルフコンパッションによって、自分自身に優しくなり、自分と同じような辛い気持ちを抱えているのは一人ではないと認識しやすくなり、ネガティブな感情を意識しながらも、それに飲み込まれないようにすることができるからではないか、と研究者は考えています。また、セルフコンパッションが高い人は、必要な休憩をとる傾向が高いこともわかったそうです。

今後、研究チームはセルフコンパッションを高める介入法などを考えていく予定です。

リモートワーカーが孤独にならないようにしたいと考えている企業にとって、雇用主は3つの簡単なことができると研究チームは言います。

一貫性のある明確なコミュニケーション
従業員のためのバーチャルな交流会
セルフコンパッションを奨励するような環境を作る


私の研究でも出ているのですが、セルフコンパッションは極めて大事なメンタルヘルス要素です。この分野での研究がさらに進んでいくことを願っております。


参照
https://www.studyfinds.org/self-compassion-remote-work/
posted by ヤス at 06:56| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月07日

インパクトファクター(IF)は注意して解釈を

ジャーナルを評価する指標の1つにインパクトファクター(IF)というものがあります。これが高いジャーナルで出版される論文はインパクトが高く、この数字が低いとインパクトも低いと大雑把には言われます。

このネイチャーの記事ではIFは注意して解釈をした方がいいよ、と述べています。

この記事ではネイチャー・ニューロサイエンスの引用数の分布を調べたのですが、非常に歪んでいて、中央値は平均値よりもかなり低く、このジャーナルに掲載された特定の論文への被引用数の可能性を予測するものとしては、ほとんど役に立たないと述べています。


IFの高いジャーナルでは、長い尾部(つまり、引用数が100、150といったずば抜けて高い論文が1、2件ある状態)です。これは、例外的に高い被引用度を持つ比較的少数の論文が存在することを意味します。これらの論文がIFを釣り上げ、ジャーナルの評判に貢献しています。これとは対照的に、IFの低いジャーナルは、引用数の少ない論文を多く出版する傾向にあります。

もちろん引用数だけで論文の総合的な価値が判断できるわけではないですが、このようなスター論文があるかどうか、これがIFの高いジャーナルと低いものの大きな違いの一つと言えそうです。

その他、興味深い点としては、すべての参考文献の8割は、元の論文からではなく、他の参考文献リストから転記されていることです。つまり、多くの著者は自分が引用したすべての論文を読んでおらず,代わりに他の著者の参考文献リストに最も多く掲載されている論文を引用する傾向があることが推測されます。これは、社会学者のロバート・マートンが35年前の古典的な論文で、科学の分野でもマシュー効果(経済学で金持ちがより金持ちになるという理論)があると指摘したことと関係します。

IFは何らかの参考にはなるものの、やはりイギリスの大学間でも行われているような、一つ一つの論文に対して、詳細なジャッジメントが必要なのは、明らかに言えそうです。IFについて詳しく教えてくれる良い記事でした。


参照
https://www.nature.com/articles/nn0803-783
posted by ヤス at 05:50| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月07日

国際学術誌で論文を出版する

大学でアカデミックとしてやっていくには(アカデミックのタイプはあれども)論文出版はすごく大事です。私もこれまで数々の論文を書き、研究結果をまとめたり、新たな治療法を提案したりしてきました。おかげさまで今では100件を超える出版物があります(RG参照)。

日本の研究者の方々ともご一緒させていただき、その他、研究経験はないけれども、論文出版に興味がある学生さんや労働者の方々の指導もさせていただいております。

そこで、当ブログ読者の方々の中でも、国際学術誌に論文を出版したい!興味がある!という人は、以下コメント欄からご連絡ください。コメントは承認しない限り非表示なので、この件でのご連絡は基本、非表示とさせていただき、そこから連絡を取るという形にさせていただきます。

コメントにはお名前(フルネーム)、メールアドレス、所属、どういった研究分野に興味があるのか、などをご記入ください。

分野や論文の種類によって、出版までの時間はさまざまですが、大抵の場合、1〜2年くらいです。アカデミックの分野でのキャリアを志すにしろ、そうでない分野にしろ、国際学術出版があることは非常にプラスになると思います。よろしくお願いいたします。
posted by ヤス at 21:15| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月05日

在宅勤務の心理についてインタビューをしていただきました

たまには私の仕事のことも書こうと思います。

先日、CGNTヨーロッパというテレビ局の「アジェンダ」という番組で、在宅勤務の心理についてインタビューをしていただきました。彼らは私のこのテーマに関する論文と大学ブログを見たらしく、コンタクトを取ってくれました。視線を調整するためにパソコンのカメラの位置はどうあるべきか、音はどうかなど非常にプロフェッショナルでした。テレビ局の皆様の素晴らしい編集のおかげで、それっぽいことを言っているように映っています。企業と労働者のお役に立てばいいなと思います。以下、15:25から始まります。ご興味あればどうぞ!
posted by ヤス at 07:27| Comment(0) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする