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2018年12月16日

学校を早い段階で始めるのは良いことか?

幼い子供にとって1年間の変化は非常に大きいものです。よちよち歩きの1歳児も2歳になれば走り回っています。4歳になると常に動き回り、想像力豊かで、常に「なんで?」と聞き、それが5歳になる頃には、比較的長時間集中できるようになります。

こうした子供の成長は長年変化をしませんが、親の期待は変化をしているようです。最近の子供はより早い段階で学校をはじめ、より長い時間を学校で過ごします。学問的な事柄をより早い段階で学ばされていて、彼らの脳の成長のペースと一致しない事柄も多々あります。


1998年、31%の小学校の先生が、本読みは幼稚園で学習したはずだと思っていたのに対して、2010年では80%がそう思っていました。近代の子供は幼稚園を卒園したらすぐに読めるものだと思われています。しかし、発育の早い段階で、文字を読ませるのはプラスよりもマイナスな影響が多いと研究が報告しています。

発育レベルに合わないタスクをさせると、自信の喪失、不安、混乱などといったマイナスな影響を及ぼします(参照)。

現状では、早い段階で学校を始めることが問題ではなく、子供に問題があると解釈されることが多いです。読む速度が遅ければ、それが問題となり、読む速度を上げるような介入が施されます。先生の話を聞くのが難しく、他のことを考えていたりすると、ADHDだと判断され、時には薬を処方されます

アメリカ疾病管理予防センターによると4〜17歳の子供の11%がADHDと診断され、2003-2004から2011-2012の間に、この診断は42%も増加しています。ADHDの主な治療法は薬物療法です。さらに悪いことに、4〜17歳のADHD診断のうち、3分の1は6歳以下です。


また、ハーバード・メディカルスクールの新たな研究によると、早い段階で学校を始めた児童(例:早生まれなど)はより多くADHDの診断を受けています。9月に新年度が始まるアメリカで、8月生まれの児童は、他の児童と比べて3割もADHDの診断が多いそうです。

5歳になったばかりの子供と、6歳になろうかという子供では成長過程に大きな差があります。

しかし一般的に多くの親が早く学校を始めさせようとしているのも事実です。イギリスでは現在、4歳で小学校が始まり、アメリカのアイオワでも最近そのような法案が可決されました。またニューヨークでもそのような動きがあります。


子供の成長にあった発達チャレンジが必要です。日本もそうですが、子供が最も幸せだとされるオランダでも初等教育は6歳から始まります。幼いうちはどんどん遊び、彼らの興味(内発的モチベーション)に気づかせる期間にすべきだと思います。こうした期間・機会を十分に提供せずに、特定のカリキュラムを押し付け、十数年後に「何がしたいんだ?」と聞くのは無理があると思います。

参照
https://fee.org/articles/harvard-study-shows-the-dangers-of-early-school-enrollment/?fbclid=IwAR3QolNcayAa7Rp2J5wyt3RC7sKGrH2qx_hhldVEjKqhy4gmJhwfCV506aQ
posted by ヤス at 20:51| Comment(0) | 心理学実験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月26日

貯め込み症(Hoarding ホーディング)の心理学

過度に物を貯め込むことを Hoarding と言います。ウィキペディアでは「ホーディング」として紹介されていますが、ここでは「貯め込み症」と呼ぶことにしましょう。貯め込み症は、人間関係や、心と体の健康に悪影響だと知られています。

貯め込み症はかつてはOCD(強迫性障害)の一部と分類されていましたが、現在それが見直されています。OCDの4人に1人が貯め込み症だと言われ、近い将来、溜め込み症が独立した症状になると見られます。


貯め込み症は必ず強い不安を伴い、時に認知症や統合失調症などの心の病気を伴います。近年の脳内イメージ実験では、貯め込み症患者の脳には、物質への強い愛着や、決断に対して強い不安を感じるなどといった特徴が見られたと報告されています。

貯め込みの行為は、不安を減らすと同時に、増やします。物が周りにあることで、外部の危険から守られていると感じる。それと同時に、家族や友人から乖離してしまいます。溜め込み症の人にとって、物を捨てることは、過度のパニックと不快感をもたらします。


ある人が、溜め込み症かどうかを見分けるには、貯め込む行動が他の日常的な生活行動に支障をきたさないかどうかです。その判断には以下のようなチェックリストがあります。

物が散らかったリビング
物が捨てられない
新聞、雑誌などを積み重ねて保存している
物の整理は、捨てるのではなく、場所を変えるだけ
不必要なものでももらっておく
日々の活動の決断ができない
物の整理ができない
完璧主義
所有物に過度の執着があり、他人に使わせるのが不快
他の人との交流が少ない、もしくは、無い



何が貯め込み症の原因となるかはまだ研究中ですが、貯め込み症の人にはいくつかの共通点があります。

年齢:強度の貯め込みは50才前後によく見られ、発症は11〜15才。この時期に壊れたおもちゃやもう使えないノートなどを貯め込んでいた。
性格:決断が難しく、よく不安を抱えている。
遺伝:十分な証拠は無いが、少しそのような傾向もあるかもしれない。
トラウマ:ストレスがかかったり、トラウマとなるような出来事があり、それを貯め込むという行為で対処している。
社会的な孤立:他人との交流が少なく、貯め込むことで不快感をしのぐ。

海外ではこの症状に関する多くのドキュメンタリーやテレビ番組があります。それだけ注目されている症状だと言えます。今後ますます研究が進んでいくと思われます。


参照
https://www.psychologytoday.com/gb/blog/hope-relationships/201409/the-psychology-behind-hoarding
posted by ヤス at 02:04| Comment(0) | 心理学理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月20日

「自己への思いやり」の定義

思いやりを自分に対して持つことは、思いやりを他人に対して持つことと変わりません。他人から思いやりのある行為をしてもらった時どう感じるか考えてみてください。まず、思いやりを持つにはその対象となる人は、何らかの苦しみを経験しているでしょう。その人がどんな辛い体験をしているかを考えずに、思いやりを発揮することは非常に難しいでしょう。第二に、思いやりは他人の苦しみに動かされるものであり、だからこそ、あなたの心が彼らの痛みに反応することができます(英語の思いやり"compassion"は「共に苦しむ」という意味を持ちます)。あなたの心が他人の痛みに反応する時、その人を助けたいという欲求と暖かさを感じることができます。思いやりとは同時に、他人を厳しく批判的に判断するのではなく、理解と優しさを提供します。そして、他人に思いやりを持って接することで、苦しみ、失敗、非完璧さは人間誰しもあるものだと認識することになります。


自己への思いやりもこれと同じです。あなたが苦境にあったり、失敗したり、自分の嫌いなところが目についたりする時にどれだけ理解し、優しさを持てるか。そうした苦しみをただ我慢するのではなく、そこで自分をいかにケアしたらいいかを考えます。

自分の欠点について批判的に自分を咎めるのではなくて、それらに対して優しく、理解を持って接します。つまるところ、誰があなたが完璧でなければならないなどといったのでしょうか。

人はより健康で幸せになるために、いろいろなことをしますが、それは自分自身のことをいたわっているからです。自分に価値がないと思ったり、自分を受け入れられないとそうしたことはできないでしょう。つまり、自分の人間らしさを誇り、受け入れることが、自分への思いやりにとってすごく大事だと言えます。物事はいつも思い通りにいくとは限りません。ほとんどいかないでしょう。そこでフラストレーションや悲しみ、落胆を経験します。これが人間であることの条件であり、人間誰もが共有する体験です。この現実により心をオープンにするほど(抵抗するのではなく)、自己への思いやり、そして、他人への思いやりを感じることができるのです。


参照
https://self-compassion.org/the-three-elements-of-self-compassion-2/
posted by ヤス at 07:32| Comment(0) | 心理学理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月01日

留学/海外生活のジャンルで1位になりました!

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お陰様で当ブログ『心の理屈(こころのりくつ)』が、留学/海外生活のジャンルで1位になりました!

これまで心理学で面白い、役立ちそうな理論や実験結果を中心に書いてきました。特に自分にとって書いてアウトプットすることが楽しく、それが大きな動機となりここまで1800以上の記事を投稿してきました。また今後も、どんどん書いていきたいと思います。これからもよろしくお願いいたします!
posted by ヤス at 19:14| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月29日

医療現場におけるNLP(神経言語プログラミング)

医療の場において、患者との診察は非常に大事な役を担います。この10分ほどの間に、その人の世界に入り込み、彼らの観点を理解し、彼らの問題を定義し、患者と医療スタッフの間で同意できるような治療プランを設計する。これは非常に難しいことだと思います。

しかしながら医者のコミュニケーションが問題視されることは多々あります。私たちはそれぞれ外見が違うように、内的な情報処理の仕方も大きく異なります。NLP(神経言語プログラミング)は、臨床の現場において、人がどのように考え、コミュニケーションをとるか、また、そこから生まれる変化を観察するところから生まれました。


NLPは優れた結果をモデルし、同じような結果を複製することを目的とします。NLPの創始者たちは、エビデンスベースの医療界とは異なり、良い結果を出している人がいたら、その人がしていることを真似して、似た結果を出そうと考えました。したがって、NLPのテクニックを見ると、基となったゲシュタルト療法や催眠療法はもちろんですが、認知行動療法などその他のアプローチをモデルしたものもあります。ビジネスやスポーツの領域でNLPはより活発に使われています。しかし、一部のNLP指導者は時に裏付けのない宣伝文句を、声高々に訴えることでも知られています。イギリスで20年以上医者として働くデイヴィッド・マクドネル博士は、NLPを学び、コミュニケーションを理解するのに最も役立ったツールだと述べています。マクドネル博士は過去3年間、医者にNLPを教えてきましたが、患者との診断中にNLPが非常に有効だったと好評だそうです。

NLPは患者が使う言葉や比喩を理解し、彼らの内的な世界にマッチしたコミュニケーション方法を取らせてくれます。NLPはシンプルで素早く使えるスキルを提供し、患者が表現しづらいような問題も理解できるように手助けしてくれます。患者とのラポールを形成し、より広い視点からソリューションベースのアプローチを取らせてくれます。NLPでは、多くの心理療法が考えるような、変化を起こすには時間がかかるという考え方をしません。者の視点が瞬時にかかる「アハ!」モーメントは瞬時にして起きます。このような瞬間がセラピーで起きると、非常にプラスの影響をもたらします。


NLPは医療業界で働く人たちにとって非常に有効なツールです。マクドネル博士のように、NLPが「代替的なアプローチ」ではなく、より「メインストリーム」として受け入れられる日が来てほしい者です。

参照
https://bjgp.org/content/64/624/363
posted by ヤス at 01:02| Comment(0) | NLP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする